※この記事は、Business Insiderのプレミアム・リサーチ・サービス「Business Insider Intelligence」の調査レポートをもとにしています。
BI Intelligence
アメリカでモバイル決済サービスの競争が激化している。
ほとんどのユーザーは、アップル、アンドロイド、あるいはサムソンペイなど、スマートフォンメーカーが提供するサービスを使用している。だが、他のプレーヤー、例えば、ペイパルから銀行やカード会社、大手小売店や飲食店などが提供する数多くのサービスも存在する。
こうしたサービスの普及とともに、モバイル決済の拡大が期待された。
だが、実情は異なる ── Business Insider Intelligenceは、アメリカにおける店頭でのモバイル決済サービスの決済ボリュームは今後5年で5倍になると予測した。だが利用は依然として予想を下回り、2019年の予想額は我々の2年前の予測をかなり下回っている。
つまり、NFC(近距離無線通信)の標準化が進み、サービスの導入のためのインセンティブ策などが展開されているものの、モバイル決済事業者および参入を計画している事業者にとって最も重要なことは、モバイル決済の利用を依然として阻んでいる問題に取り組むことにある。
問題とは、現行の決済方法についての顧客満足度、リピート利用の少なさ、さまざまな決済手段が登場していることに対するユーザーの混乱などだ。
だがアップルペイ、スターバックスのアプリ、サムソンペイなどは、多くの決済サービスの中で優れた実績を上げている。そしてその理由を探ることは、ベストプラクティスを発展させ、より良い結果を残すことにつながる。
Business Insider Intelligenceの「The Mobile Payments Report」 は、2021年までの店頭でのモバイル決済ボリュームの伸び、当初の予測を下回った理由、成功事例から学ぶべきことをまとめた。また状況を改善するためのいくつかの提言も行っている。
主な内容
- アメリカの店頭でのモバイル決済のCAGA(年平均成長率)は40%、2012年には1280億ドルに達する。だが、この数字はさまざまな要因によって抑制された数字となった。Business Insider Intelligenceは2年前の予測から成長率を半分に抑えている。
- 成長のためには、成功事例を築き上げていく必要がある。銀行、小売業、テック企業は初期ユーザーを対象にした戦略を実行することで、それぞれ利益を上げていくことができるだろう。サービスの断片化を排除し、顧客の購入体験を改善し、リピート利用を促進することが重要となる。
- 各サービスレイヤーにおいて価値を創造していくことが普及への鍵。ユーザー体験の価値を高め、利用方法をシンプルにし、可能な限り手間をなくすことが普及とユーザーの利用を促進するために不可欠。
(翻訳、編集:増田隆幸)