反面教師はバブル世代?20代は就活から出産意識、“彼氏教育”の着々婚

結婚式

「ミレニアル世代の女子がプラニンニングしすぎる件について」調べてみました(写真はイメージです)。

撮影:今村拓馬

入籍を1カ月後に控えた男女が行く場所といえば? 結婚式場の打ち合わせ、学生時代の友人への報告、ブライダルエステ、過去の恋の清算……ではない。

結婚前の「彼氏教育」は常識

大手IT企業の営業として働く亜子さん(仮名、25)と、大学院の博士課程に通う拓人さん(仮名、25)が向かったのは、共働きで3人の子どもを育てる夫婦の自宅だ。仕事を終えて三女を保育園に迎えに行く妻に同行、夕食をつくり家族と共に食卓を囲んだ。

実は夫婦と亜子さんたちカップルは初対面。株式会社manmaが提供している、若者が子育て家庭を訪問し育児などを体験する「家族留学」プログラムに参加したのだ。誘ったのは亜子さんからだという。

保育園に子どもを迎えに行った帰り道、子どもは途中で遊んだり寄り道したりしてなかなか家にたどり着かない。その様子を見た拓人さんが「なるほど」とつぶやくのを見て、亜子さんは心の中でガッツポーズした。

「私は大学生の頃ベビーシッターのアルバイトをしていたので、仕事と子育てのリアルをお母さんたちから聞く機会がたくさんあったんです。でもそれを彼に話してもあまりピンときてなくって。これは結婚前に体験してもらって知識を共有する必要があるなと思いました。

『キャリアか家庭か』という究極の選択を迫られないよう、彼にも学んでもらいたかったんです」(亜子さん)

妊娠出産を機に仕事を辞めると再び正社員で働くことがいかに難しいか、飲み会は一次会を欠席して子どもを寝かしつけて二次会から参加するのもアリ、など夫婦の実体験に2人で耳を傾けた。

家族留学プログラムを提供しているmanmaによると、もともと女性がロールモデルを学ぶことを想定してつくったが、最近はカップルの参加も珍しくないそうだ。

夫も出産時期も計画して就活

就活

ある就活支援サイトの運営会社社員も「就活時からパートナーはもちろん、妊娠出産時期まで計算している」女子学生は多いという。

撮影:今村拓馬

亜子さんが最も悩んだのは就活だ。拓人さんは高校生の頃から博士号を取ると決めており、将来海外で働く可能性も高い。

「結婚、妊娠・出産、夫の海外赴任と、普通だったらもっと後に悩むことを就活中に考えないといけなかったため当時はつらかったです」(亜子さん)

重視したのは、

  • 海外赴任に同行しても継続してキャリア形成ができるか
  • 30歳までに子どもを産みたいが、拓人さんはまだ博士課程のため、産休育休を万全にサポートしてくれる制度があるか

の2点だ。冒頭の「家族留学」から1カ月後、亜子さんの入社、拓人さんがインターンシップで海外に渡航する前のタイミングで、2人は入籍した。

「今振り返ると、仕事(=X)と家庭(=Y)という女性のライフステージにおける2大変数に関する私なりのポリシーを早い段階で決めることができてよかったです。私、男性が女性をリードするという考え方があまりしっくりこなくって。自立した個人として、自分の人生をコントロールする力は持っていたいですから」(亜子さん)

亜子さんと拓人さんは小学生のときに塾で出会い、中学3年生のときに付き合い始めた。直接的なプロポーズは大学生のときに拓人さんからだったが、亜子さんから「そろそろじゃない?」と促したという。中学3年生のときに告白したのも亜子さんからだ。

実は今、こうした“キャリアも結婚もあきらめない”女性たちが主導権を握る、婚活サイトが人気を集めている。

高学歴女子が集う“共働きマスト”の婚活サイト

パソコン

女性はもう「選ばれる」側じゃない。

撮影:今村拓馬

「キャリ婚」は、結婚しても自分らしく働きたい男女のための婚活サイトだ。大事にしているのは「女性の主体性」。月約8000円の会費を支払うのは女性で、男性はなんと無料。男性が登録するにはサイト独自の「独身誓約書」にサインをするほか、「共働きでいいか」「すぐに結婚したいと思っているか」を面談で審査される。

webサイトで登録者のプロフィールを見て気になる相手にメッセージを送る仕組みだが、こうしたアプローチができるのも女性限定。男性は連絡があるのを待つのみだ。

面談はサイトを立ち上げたLintos社長の川崎貴子さん、AV監督の二村ヒトシさん、はぴきゃり社長の金沢悦子さんや研修を受けたカウンセラーが行っている。

「事前にしっかりスクリーニングされている安心感がポイントでした。登録している男性に高学歴の人が多いのもよかった。大学院への進学を控えていたので、私のキャリアや夢を打ち明けたときに、卑屈になったり変に張り合ってきたりしない人と出会いたかったんです」

そう話すのは、キャリ婚を通じて結婚した椿さん(仮名、31)だ。都内の有名大学を卒業後、IT企業に就職。複数の国に駐在してキャリアを積んだ。帰国して大学院に進学したいと思うようになったのは29歳のときだ。同時に結婚も考えるようになり、迷わず同サイトに登録した。

椿さんの理想は「互いに高め合える関係」。過去に結婚を考えた相手もいたが、仕事を辞めて椿さんの海外赴任についてくると言われ、彼のキャリアを考えて別れたことがある。

「結婚はプロジェクト」後悔しない事前確認を

オムライス

椿さん夫妻は平日は互いに多忙なため食事はバラバラだそうだが、週末の食事づくりは主に夫が担当しているという。

shutterstock/Piyato

キャリ婚では20人にメッセージを送り、そのうち10人とやり取り。日本に一時帰国した際に3人に会った。特に意識していたわけではないが、3人ともみな学歴は大学院卒業だったという。

最終的に夫になった会社員の涼真さん(仮名、34)が、大学院進学のことを話したとき「それくらい行っておいた方がいいんじゃない」と当たり前のように賛成してくれたときの嬉しい気持ちを、椿さんは今も鮮明に覚えているそうだ。

が、当然それだけでは先に進まない。

  1. ダラダラ付き合わずに1年後に結婚するかどうか結論を出す
  2. 結婚する場合は共働きで子どもをつくる
  3. 結婚する前に必ず同棲する
  4. 同棲する前には収入・貯蓄・1カ月のお金の使い方を明らかにする

ことなどを事前に取り決めた。

「結婚するまでもその後も、結局一つ一つは仕事と同じで『プロジェクト』なんですよね。だから期限を区切ったり、可視化した方がいい。もちろん家事のやり方や分担も事前に話し合いました。今は子育てについての意識をどうシェアしていくかが課題で、男性の育休イベントに誘ったり、子育ての本を読んでもらったりしてジャブ打ちしている状態です」(椿さん)

こうした“プランニング世代女子”が増える一方、男子からは複雑な声も。

「入社何年目で1人目を産んで受験が重ならないように2人目は何年目で……と就活のときから計画を聞かされ続けて、少し疲れました。『だからこのくらい稼いでほしい』と言われるんですけど、妊娠も僕の仕事も予定通りいくか分からないのに」(テレビ局、24)

「デートの途中で突然『取りに行きたい物がある』と言われて彼女の実家に立ち寄ることに。ご両親に挨拶をして家族のLINEグループをつくって、数カ月後には結婚が決まっていました(笑)。今思えば計画的な何かだったのかも。あと1回恋できたんじゃないかと時々考えてしまいます」(国家公務員、28)

情熱なりゆきバブル世代

タクシー

バブル時代は学歴・収入・身長が高い「3高」の男性がモテる条件だったそう。

撮影:今村拓馬

一方で、こうしたプランニングとは無縁の人生を送ってきた人もいる。

独身の女性が25歳を過ぎると「売れ残りのクリスマスケーキ」、30歳を過ぎると「負け犬」と呼ばれた時代を「当時者としてサバイバルしてきた」と話すのは、地方テレビ局でプロデューサーとして働く玲子さん(仮名、52)だ。現在、独身。

玲子さんはトレンディドラマ全盛期に20代を過ごした「恋愛至上主義」のいわゆるバブル世代だ。国立社会保障・人口問題研究所の統計によると、45〜54歳は初婚数・再婚率ともに増加傾向にあり、今なお恋愛は現役の人も多い。

玲子さんは徹夜も急な出張ロケも下ネタもオールOKで、男性たちに負けないようにとがむしゃらに働いてきた。もちろん恋愛も全力だ。職場結婚する友人たちも多かったが、玲子さんは「一目惚れした」という上司と長い間「公然の秘密」として不倫を続けていたため、社内からのアプローチは無かったという。

自身のことを「肉食系だしモテるタイプだと思う」と話す。結婚も一度は経験しておきたいと考えていたそうで、30代後半で不倫を精算した後も自分から告白して複数の人と付き合ったが、いずれもそうはならなかった。

そのプラン、本当にあなたの価値観ですか?

交差点

「どんな生き方でも、互いの価値観を否定するのはナンセンス」と玲子さんは言う。

撮影:今村拓馬

「仕事をセーブしてほしい、専業主婦になってほしいと言われてそれは無理だなと。やっぱり私は仕事も頑張りたいんです。不倫を続けていたのも当時は愛だと思っていたけど、今思うと仕事のテクニックを盗みたいという思いも強かったのかも」(玲子さん)

玲子さんは、少々苦い思いで不倫時期を振り返る。「ワーママばかりがもてはやされる風潮に落ち込んだりすることもあった」(玲子さん)そうだが、今は吹っ切れた。後輩の女性社員たちが結婚相手の条件をリスト形式にしてチェックしていたり、結婚・妊娠出産込みでキャリアプランを立てて会社にハッキリ伝えている姿を頼もしいと思いながら見ているという。

「でも一方で、そのプランは本当に自分の価値観なの?世間の目じゃない?と立ち止まる時間があった方がいいとも思いますね。計画通りにいかないのが人生。いつでも軌道修正できるんだよと伝えたいです」

先に結婚した友人たちの中には、子育てがひと段落してシングルマザーになった人も出てきたそうだ。将来は彼女らやその子どもたちと住人同士が希望を出し合ってつくる集合住宅「コーポラティブハウス」で暮らす計画を立てていると笑った。

(文・竹下郁子)


平成の30年間で、もっとも大きな変化はインターネットの台頭。そして今、小さな頃からデジタルに慣れ親しんできたデジタルネイティブ世代が職場や社会の主役になりつつあります。ただし、デジタルネイティブな平成生まれと、上の世代は時に価値観のギャップですれ違いも。平成が終了し新たな時代の始まる2019年、ズレやギャップの向こう側を探ります。

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