※この記事は、Business Insiderのプレミアム・リサーチ・サービス「Business Insider Intelligence」の調査レポートをもとにしています。
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メルセデス・ベンツの親会社ダイムラーは、ブルームバーグによると、新しい自動車部品、新しいテクノロジーの開発に向けて、BMWと提携に関する協議を行っている。
具体的には両社は、次世代プラットフォーム、EVのバッテリー、自動運転車のソフトウエアおよびハードウエアの共有を検討している。
ただし、いかなる合意もテクノロジー面に限られる。例えば、BMWのEVの駆動装置がメルセデス・ベンツの車に搭載されることはない。
協議はまだ始まったばかり、合意が成立するかどうかは分からない。
だが両社は2018年はじめ、カーシェアリング・プラットフォーム(ダイムラーの「Car2Go」、BMWの「DriveNow」)を統合することに合意している。
ダイムラーとBMWの協議は、長く競争を続けてきた既存自動車メーカーが提携を模索する一連の動きの最新のものとなった。各社は提携によって、最新テクノロジーの開発を強化しようとしている。
- フォルクスワーゲンとフォードは、EVと自動運転車における提携を協議していると伝えられた。当初、両社はEVと自動運転車の生産における提携を検討していると伝えられた。ヨーロッパ市場を想定していると思われる。
- 2018年はじめ、ホンダはGMの自動運転車部門「GMクルーズ」に22億5000万ドルを出資した。これにより、両社は自動運転についてのデータと技術を共有する。さらに将来的には、GMクルーズは自動運転車を日本で展開する可能性もある。
- 2017年、フィアット・クライスラーは自動運転車の開発に関してBMW連合に参加した。BMW連合にはインテル、モービルアイ、自動車部品大手デルファイが参加している。BMW連合は2020年代はじめ、アメリカで自動運転車を発売することを目標としている。
既存自動車メーカー間の提携は、高騰する開発費を分担し、EVおよび自動運転車をいち早くマーケットに送り出すことが目的。EVおよび自動運転車の開発にはコストがかかる ── 米コンサルティング企業アリックスパートナーズ(Alix Partners)は、2023年までのEVの開発費は2550億ドルに達すると予測している。
このことは、少なくとも各社の利益を減少させる一因となっている。例えば、BMWとダイムラーは2018年、利益が当初予定を下回った。開発費と貿易戦争のためだ。
テクノロジーとデータの共有は、新しい製品と新しいサービスに移行するために必要な巨大なコストを減らすことにつながる。
さらにテクノロジーやコストを分担することは、自動運転車やEVをいち早く市場に出し、こうした車に対する消費者の需要を捉えることにもつながる。
例えば、AAA(アメリカ自動車協会)によると、アメリカの消費者の5人に1人は、次の車としてEVを購入する意向を示している。2017年の15%から上昇した。
PwCは、既存の自動車メーカーは2015年、世界の自動車業界の利益の約70%を占めていたが、その数字はテック企業や新たなモビリティ企業の参入により、50%まで減少すると推定している。
とはいえ、自動車メーカーが提携を模索する動きは永遠には続かないだろう。
配車サービスやライドシェアサービスに乗り出す自動車メーカーは増え続けている。各社が大規模にサービスを展開し始めると、各社はいずれ、直接競合することになる。
この点で、各社は自社のテクノロジーとサービスを囲い込むようになり、かつての提携相手を排除することに注力するようになるだろう。
[原文:Legacy automakers are uniting to beat tech challengers]
(翻訳、編集:増田隆幸)