2019年の日本株、乱高下の後は年末2万3000円へ。注目の投資テーマは……

東京証券取引所。

REUTERS/Toru Hanai

大荒れのスタートとなった2019年の日本株市場。今後の見通しは、米中関係がどうなるかによってシナリオが大きく変わる。両国が歩み寄れば上昇基調を取り戻すとみられる一方、対立激化や交渉決裂となれば日経平均の2万円割れ定着が確実視される。予断を許さない状況ではあるが、筆者は前者の可能性の方が高いと想定している。

米中関係はいったん沈静化か

米中首脳。

2019年の日本株市場は、米中関係の行方がカギとなりそうだ。

REUTERS/Thomas Peter

まず、中国は2018年11月の小売り売上高の伸び率(前年同月比)が8.1%と約15年ぶりの水準に低下するなど、国内景気の減速が鮮明になりつつある。

中国政府は大型減税など景気刺激策を実施しているものの、アメリカとの通商摩擦を背景とした中国企業の設備投資抑制や、かねてささやかれる住宅バブルも先行き不透明感を強めている。

2021年の中国共産党100周年を控え、「中国発の世界経済危機」を引き起こすわけにはいかないという事情もあろう。

アメリカもハイテク分野の覇権争いは一歩も譲れないものの、中国との対立激化で中国景気が悪化すれば、その影響はアメリカにも跳ね返ってくる。

また、米国債を大量に保有する中国が「売却」をほのめかすと、米金利上昇によってアメリカの景気悪化や株価急落につながり、米国民の批判はトランプ政権に向かい、2020年の大統領選が危うくなる。

こうした双方の事情を勘案すると、貿易戦争が激化する可能性よりも、各国から通信機器を排除されるなど分の悪い中国側が譲歩し、アメリカも強硬姿勢を緩和する可能性の方が高いのではないか。この先の長い覇権争いの中でいったん沈静化することを期待したい。

米景気の減速懸念は時期尚早

アメリカの工場で働く人たち。

アメリカの工場で働く人たち。米失業率は約49年ぶりの低水準を維持している。

REUTERS/Timothy Aeppel

2018年12月にアメリカの長短金利が逆転すると、市場では米景気の減速懸念が急速に広まった。

しかし、過去を振り返ると、長短金利逆転から景気後退まで平均15カ月程度かかっている。現時点でマーケットが織り込むのは時期尚早だ。

実際、アメリカの失業率は約49年ぶりの低水準を維持し、平均時給は前年同月比3.1%で伸びている。

ある日本企業のアメリカの工場では、従来と同じ賃金では質の低い労働力しか確保できなくなったという。そのくらい労働市場が力強さを維持しており、住宅投資など一部を除けば実体経済はまだ悪くなっていない。

制裁関税による「悪い物価上昇」で消費が落ち込んだり、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げペースを読み誤ったりすることがなければ、米景気への悲観ムード見直しで株が買い戻される場面もあるだろう。

企業業績の底堅さ材料に年央から上昇基調へ

2019年の日経平均株価のイメージ

ニッセイ基礎研究所作成

米中関係が悪化しないことが条件だが、日本株は再び上昇基調に戻り、2019年末の日経平均は2万3000円程度まで上昇しそうだ。

最大の要因は底堅い企業業績だが、2019年前半は乱高下も予想される。

米中通商協議の交渉期限が3月1日に設定されていることに加えて、トランプ米大統領のロシアゲート疑惑に関する捜査が終盤を迎えるほか、ブレグジット(イギリスのEU離脱)の不透明感も強い。

そのため、日本株が上昇基調を取り戻すとしても、2019年度の業績予想が出そろう5月ごろまで待たされるかもしれない。

投資先としては家電、システム関連に注目

電器店のテレビ売り場。

2019年、日本株の投資先としては家電関連の銘柄が注目される。

REUTERS/Thomas Peter

日本株の投資先としては、仮に米中対立が緩和すれば電子部品、精密機器、機械、素材など輸出関連銘柄に見直し買いが入りやすくなるが、外部要因の影響を受けにくい注目テーマとして、まず家電を挙げたい。

2009年~2011年に実施された「家電エコポイント制度」から間もなく10年が経過し、買い替えサイクルが近づく。

たとえば薄型テレビの国内出荷台数は2009~2011年の3年間に5800万台を超え、通常の4倍近かった。4K・8K放送の開始に加え、2019年のラグビー・ワールドカップ日本大会、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えており、テレビの買い替え需要が膨らむと予想される。

エアコンや冷蔵庫も期待できそうだ。夏が近づくと2018年の猛暑を思い出して、省エネタイプに買い替える家庭が増えるのではないか。2019年10月に予定される消費増税も家電の買い替えを促進しそうだ。

関連銘柄としては家電メーカーのほか量販店、運送会社も恩恵を受けよう。投資を検討する場合は、今春闘で消費増税を相殺できる程度の賃上げが実現するかを見極めたい。

改元や、上記以外の消費増税関連銘柄も注目だ。

投資先としては印刷関係のほかシステム会社(ソフトウェア)が想定される。消費増税時に軽減税率・ポイント還元といった複雑な仕組みが導入されることも重なり、ただでさえ忙しいシステム会社はいっそう需要が伸びるのではないか。

また、改元に関連してゴールデンウィークが10連休となるので、旅行・レジャー関連、運輸(鉄道など)にメリットがありそうだ。

※寄稿は個人的見解であり、所属組織とは無関係です。

井出真吾:東京工業大学卒業後、日本生命保険に入社。1999年からニッセイ基礎研究所に出向、2015年から現職。

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