BTSキャラで大ヒット、自分アバターアプリ「ZEPETO」から見る2019年アバター市場

ZEPETOの画面

ZEPETOの #グループショット の画面。

ラブグラフ共同創業者兼CCOの村田あつみさん提供

韓国大手企業NAVER傘下のSNOWが2018年にローンチした3Dアバターアプリ「ZEPETO(ゼペット)」が話題だ。

ZEPETOは顔写真から自分にそっくりなアバターを作成し、洋服を着せ変えたり、アバターを写真に合成したりできるアプリで、ジェネレーションZ(1990年代半ばから2000年代初めに生まれた世代)を中心に利用者を増やしている。

日本では8月頃からインスタグラムを中心に流行し始め、2018年12月に韓国アイドルのBTS(防弾少年団)のキャラクター「BT21」とツーショットが作れるキャンペーンが当たり、大ヒットしている。

キャラデザインの可愛さが大事

avator

左が編集部でインターンとして働いている女子のアバター。最初に自分の顔を撮影すると、自動でアバターを作成。顔のパーツを似せていき、化粧・着替えまでできる。右が編集後。より髪の色など実物そっくりに。でも目は実物より大きくした。

BTSのアバターキャラクター「BT21」はLINEがコラボグッズを発売。日韓のLINE FRIENDS STOREで毎日行列ができるほどの大ヒットを記録している。だが発祥の地、韓国では「ZEPETO」は日本ほどの盛り上がりを見せていないという。

韓国のIT企業で働く女性は、「韓国ではそもそも自撮りが主流で、わざわざアバターを使う必要がなく、日本人はSNSで自分自身を出したがらないからアバターがウケるのかも」と推測する。

ロサンゼルス ハリウッドのLINE FRIENDS BT21のポップアップストア

米ロサンゼルス・ハリウッドのLINE FRIENDSのBT21のポップアップストア。

Shutterstock

ZEPETOの機能は大きく2つ。アップロードした写真にアバターを置いたり、友だちのアバターを一緒に登場させたりといった加工アプリとしての側面と、アバターの洋服やポーズへの課金という課金ゲーム的な要素だ。

アバターのクオリティーが高いこともZ世代に支持される大きな理由だろう。

出張撮影サービスのラブグラフ共同創業者兼CCOの村田あつみ氏も「使ってみて、単純にキャラデザインが可愛い。アバター作成において大切なことは、まず可愛く作ることができるかどうか、ZEPETOはそこをクリアしている」と説明する。

ZEPETOは“盛り”文化の延長

ZEPETOは自分自身をベースに“現実の延長”を作りあげるサービスなので、かつてギャルたちがプリクラなどプリントシール機で生んだ“盛り”の文化の延長。スマホの自撮り文化で“盛る”ことを目的としたSNOWが手がけたことには納得がいく。

ZEPETOの画面

ZEPETOの #パパラッチ風 の画面。

著者提供

SNOWとZEPETOの違いはその“盛り方”。両方とも自分がベースなのは同じ。“より可愛く見せる”ことが目的の画像加工アプリSNOWの加工は、肌の色補正などのビューティ加工が中心で、その盛り方はあくまで“補正”といえる。

一方のZEPETO。できあがるのは自分をベースとしたアバター。それは“虚構”の存在だ。

この“虚構”という概念について、マッキャン・ワールドグループのミレニアル世代によるイノベーションプロジェクトMcCANN MILLENNIALSをはじめ、「古着女子」運営のyutoriでPRプランナーとして活躍する中沢渉氏は、こう話す。

「物心ついた頃からSNSに触れてきたジェネレーションZには、こうした虚構のプラットフォームで理想の自分を表現する価値観がすでに浸透している。『SNOWでないと写真を撮りたくない』という意見もあるほどで、虚構と現実は交差し、どんどん曖昧化しているように感じる。ジェネレーションZの今後の市場を考える上で、この“現実と虚構の曖昧化”は避けて通れない」

SNS疲れの若年層の拠りどころになれるか

動画:A.I.Channel

ZEPETOの他にアバターと聞いて思いつくのは、VTuber(バーチャル YouTuber)だろう。

VTuberとはYouTubeで自身の動きに合わせて動くキャラクターで、チャンネル登録者数237万人(12月21日時点)のキズナアイや同71万人のミライアカリなどが有名。Vtuberはリアルタイムでキャラクターの動きを配信できる、いわば“生放送アニメ”とも言える存在だ。

最近ではドワンゴやKADOKAWA、アソビシステムなどが共同でVTuber事業のための新会社「リド」を立ち上げたり、ミライアカリが「週刊ヤングジャンプ」のグラビアに登場するなど、市場として広がりを見せている。そんなVTuberはアニメ文化の延長にある架空の存在で、いわば“被り物”のようなもの。VTuberもアバターだが、“中の人”とVTuber本人は関係がなくてもいいという点がZEPETOとの違いだろうか。

(荒木英士氏のツイッター)

なぜアバター市場は盛り上がってきたのか。

インスタグラムにおける作り込んだ“映え”の文化から、ありのままを見せるストーリーズ機能が生まれ、もはやありのまますら見せなくていい“虚構”のプラットフォームが出てきたという流れがある。

そして、VtuberもZEPETOも、アバターは詐欺のない“虚構”の世界だからこそ、現実のSNSに疲れたZ世代やミレニアル世代にとっての拠りどころになる可能性すらある。

今後はZEPETOという虚構のプラットフォーム内で、インスタ映えならぬ“バーチャル映え”コンテンツや動画SNSのTikTok発で流行したようなカルチャーだって生まれるかもしれない。

ゲーム業界のような企業と組めば、プラットフォームの中での収益化も可能だし、ファッション業界でもバーチャル・スーパーモデル、シュドゥ(Shudu)が話題となったように、ファッションショーだってアバターの世界で実現できる。

ただ、今のままのZEPETOのままだと流行は長くないかもしれない。長く使いたくなるような追加機能が必要だろう。

若年層の拠りどころになりうる“虚構”のプラットフォームという観点から、2019年に拡張するアバター市場に注目したい。

角田貴広:1991年、大阪生まれ。東京大学医学部健康総合科学科卒業同大学院医学部医学系研究科中退。ファッション業界紙「WWDジャパン」でのウェブメディア運営やプランニング、編集・記者を経て、現在フリーランスに。ウェブメディアの取材・執筆をメーンに、IT企業のコミュニティプラットフォーム運営やソーシャルホテル事業など、メディア以外の編集に関わる。取材対象はファッションビジネス、EC、テック、ホテル、ミレニアルなど。

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