撮影:今村拓馬
NTTドコモは2019年4月以降に新料金プランを展開予定。「2~4割ほど低廉化」と同社の吉澤和弘社長は話す。
撮影:小林優多郎
2018年、菅官房長官の発言がきっかけでモバイル業界を騒がせた“携帯電話料金の4割値下げ”。
2019年4月以降には、NTTドコモが「2〜4割程度の低廉化」(同社・吉澤社長)となる新料金プラン、ソフトバンクのサブブランド・ワイモバイルは「1〜2割程度」(同社・宮内社長)の値下げ幅となる分離プランの導入を予定。さらに、10月には第4のキャリアとなる楽天の参入が決まっている。
通話料金に関する本当の大嵐は2019年になりそうだ。それにしても、これだけ通話料金が注目されているにもかかわらず、「やたらと高額なのに、ここ最近、ケータイ料金の内訳を見たことがない」という人は案外多い。
PCやスマートフォンがあればすぐにできる「無理のないケータイ料金断捨離」の方法はこれだ。
知ってる? そもそも自分がいくらケータイ料金を払っているか
月々の携帯料金は各キャリアのポータルサイトで確認できる(画像はNTTドコモの「My docomo(PC版)」)。
出典:NTTドコモ
まず第一歩として、毎月どのぐらいの携帯電話料金を支払っているかを確認しよう。支払い額を調べるためには、クレジットカードや銀行口座の履歴など支払い元の明細を見る方法もあるが、詳細を知るためには各キャリアのサイトを使う。
なお、家族で契約している場合など子回線のアカウントでは、全体の料金や詳細を閲覧できない場合がある。その場合は、親回線を持つ人と一緒に確認しよう。
キャリアごとに料金を確認する方法
- NTTドコモ:「My docomo」に自身のdアカウントなどを使ってログイン
- au:「My au」に自身のau IDを使ってログイン
- ソフトバンク:「My SoftBank」に自身の電話番号などを使ってログイン
筆者の場合、月20GBのデータプランと1回あたり5分間話し放題の通話プランを契約中。オプションなどを含めると支払い額は月8000円ほど。
ハッキリ言うと、総額を見ただけで「●●●●円以上であれば、払いすぎ」という線引きをするのは結構難しい。
- 端末料金を分割払いにしていないか
- 家族で月々のデータ使用料を分け合っていないか
- アプリ課金などキャリア外のサービスで「携帯電話料金合算(キャリア決済)」を使っていないか
- 海外通話などの特別な支出の機会がなかったか
など利用状況は人それぞれだからだ。
そこで、まずは以下の3つの基本チェック項目を確認してみよう。
1. 無駄なオプションがないか確認する
オプション料金には基本の国内通話やデータ以外の料金が計上されている。筆者はNTTドコモ系の動画配信サービスを複数契約しているのがわかる。
最も分かりやすい料金の「払い過ぎ」は、使っていないサービスを契約し続けることだ。新しい端末を買う時に店頭で勧められるまま各種オプションを契約し、実は全然使っていないという人は少なくない。
これらのオプションの解約方法はさまざまだが、何にいくら払っているかは、前述の各キャリアのサイトの詳細で確認できる。契約しているサービス名と月額の料金が書かれているので、使っていないと判断できたら、なるべく早く解約しよう。
ちなみに、その際に多くの人が悩むのが端末補償系のサービスだ。これは保険的なものなので、無駄かどうかは難しい。筆者自身は、スマートフォンに依存した生活を日々送っているので、心の平穏のために契約し続けている。
2. 月々のデータ使用量と契約を比較する
スマートフォンで写真や動画を観るだけではなく撮って公開するようになった。そんな毎日を過ごすのであれば、多すぎず少なすぎないデータプランを選択したいところだが。
撮影:今村拓馬
続いて確認したいのは、契約しているデータプランが自身(もしくは家族)の利用状況と合っているかという点だ。
データ料金の払いすぎをなくすためには、
- 料金表で契約しているデータプランを確認する
- 同サイトにあるデータ使用量の確認ページで前月の利用実績を確認する
の2つを確認する。各社の料金を大きく分けると、毎月のデータ利用状況に応じて変動する「段階制プラン」と、あらかじめ大容量のデータを契約しておく「定額制プラン」の2つがある。
この2種類をどう使い分けるかは、先ほど確認した前月などのデータの利用実績を参考にすることで判断できる。
- 段階制プランを選ぶべき場合 → 毎月5GB未満のデータ利用量でおさまっている
- 定額制プランを選ぶべき場合 → 毎月5GB以上のデータを使う場合
筆者の場合、仕事でテザリングを使ってPCとネットをつないだり、各SNSに動画や写真をアップするため、毎月10~18GBほど使う。
例えば、毎月1〜2GBほどであれば明らかに段階制プランの方がお得だ。使いすぎた月は他の月より高くなる可能性はあるが、それが毎月続くのでなければ、定額制プランに切り替えない方が年間を通して考えれば安い。
また、ポイントは常時毎月5GB以上利用しているなら、20GBを超える定額制の大容量プランを契約すべきという点だ。各社のどの段階制プランも5GBを超えたあたりから定額制プランの最安値より高くなっている。
毎月10GB前後しか使っていなくて「20GB以上もの大容量プランは手に余る」と感じても、あえて定額制プランを選択すべきだ(もちろんWi-Fiなどを活用して、毎月利用するデータ量を抑え、段階制プランでやりくりするといった考え方もある)。
3. 通話プランを再検討する
通話プランは一度「無駄」があるか確かめた方がいい。
撮影:今村拓馬
通話料金に関しては、料金はやや異なるもの通話定額を適用できる範囲の使用は、3キャリアでほぼ共通している。
- 【A】24時間通話し放題で定額(月額2700〜2780円)……「カケホーダイプラン(ドコモ)」「カケホ(au)」「定額オプション(ソフトバンク)」
- 【B】1回5分以内の通話し放題で定額(月額1480〜1700円+5分超過分は30秒あたり20円)……「カケホーダイライトプラン(ドコモ)」「スーパーカケホ(au)」「準定額オプション(ソフトバンク)」
- 【C】通話した分だけ支払い(月額980〜1200円+30秒あたり20円)……「シンプルプラン(ドコモ)」「シンプル(au)」「通話基本プラン(ソフトバンク)」
筆者のある期間の通話履歴。発信回数は多かったようだが、通話はなかなか5分を超えることはなかったようだ。
通話料金もデータと同じく、そのユーザーの利用頻度によっておトクさは異なる。個人的にオススメしたいのは、一旦【B】の1回5分以内の通話し放題を試してみて、料金を確認してみるという方法だ。
筆者は記者という仕事柄、記事を依頼するフリーランスライターや取材先との通話が多い。そのため、8月利用分まで【A】の24時間通話し放題のプランを契約していた。ただ、【A】と【B】では筆者の契約するNTTドコモの場合、1000円ほど差がある。正直、1000円分(超過分25分間)も長々と電話をしているのか自信がなかった。
そこで、9月以降は【B】の1回5分以内の通話し放題に切り替えてみたところ、9月は超過分が20円、10月と11月は640円、12月(27日時点)では420円となっており、明らかに自分にとっては「24時間通話し放題」は払い過ぎだったことが分かった。
もちろん、そもそも「音声通話はかかってくる時しか使わない」「ほとんどすべてLINEや他のIP電話サービスを使っている」という人は迷うことなく【C】を選ぶべきだ。
格安SIMに移行するという手ももちろんあるが……
格安SIM、格安スマホに移行するという手もあるにはあるが……。
撮影:小林優多郎
細かなことを書き続けたが、同じデータ容量、同じ通話時間のままでも各種格安SIM(いわゆるMVNO)や大手キャリアのサブブランド(UQモバイルやワイモバイル)の提供する格安SIMを使えば、料金は確実に下がる。
ただし、店頭などでのサポートが受けられなかったり、家族が3キャリアと契約していて抜けられなかったり、昼に仕事があり速度が出にくくなると困るなど、すぐには格安SIMに移行できない理由は多々あるだろう。
その場合は、今回紹介した3つのポイントを確認してみよう。
一気に携帯料金が4割下がることはないかもしれないが、毎月1000円でも下がれば、年間で1万2000円。それなりの金額になる。もちろん、「自分が何にお金を払っているか」を把握しておくことは、2019年の「4割値下げ」で賢く料金プランを見直すときにも役立つはずだ。
(文、撮影・小林優多郎)