「お正月三が日休業」を導入しながら31期連続増収を達成しているオーケー。
お正月の風物詩……といえば、スーパーマーケットや百貨店の「初売り」がおなじみ。ここ10年ほどは営業日を早める傾向が続き、都内のデパートの多くは1月2日から営業。中には渋谷西武など元日からの営業をウリにするところまである。
一方で、小売り業の現場は人手不足が深刻化している。
働き方の見直しが叫ばれる中で、小売り業の「お正月の三が日休み」を支持する世論の声も大きくなっているが、他社との競争が強いられる中、各社はなかなかその経営判断に踏み切れないという現状もある。
実際に、百貨店最大手の三越伊勢丹ホールディングスは2017年に三が日休業を検討していると報じられたが、結局実施を見送り。2019年も例年と同じく、3日から営業を始める(本店のみ2日から)。
オーケーは三が日休業で31期連続増収
商品について正直に伝える「オネスト(正直)カード」も、顧客満足度の一因?
出典:オーケー公式サイト
その中で異彩を放っているのが、首都圏を中心に展開するローカルスーパー、オーケーだ。1958年の創業以来、ずっと三が日休業を貫き続けている。
注目すべきはオーケーの驚異の安定経営。
「借入無しで年率20%成長」を掲げ、31期連続の連続増収を達成。2018年3月期決算の売上高は約3566億円(テナント除く)となった。毎年、年間約10店舗のペースで新規出店をしているという。
それだけではない。サービス産業の生産性向上などを推進する機関「サービス産業生産性協議会」の発表では、オーケーは顧客満足度調査(スーパーマーケット部門)で8年連続で1位を獲得している。
「大雨と曇天の影響で、生育不足や各産地の出遅れが発生しており、相場は例年の5割高と高騰しています」
など、商品の情報についてなんでも正直に伝える「オネスト(正直)カード」を売り場に置くなど、ユニークな取り組みもあり、顧客から支持を得ているのだ。
「従業員もありがたいと思っている」
オーケーが掲げるのは「高品質・Everyday Low Price」。
なぜ、オーケーは三が日休業を続けているのか?
担当者に尋ねてみると、「創業以来、毎年やっていることでポリシーというほどのものはない」と謙虚な答え。競合他社が三が日に店を開いていることは認識はしているが、「(他社は)あまり意識していない」という。
「従業員も正月は休んでほしい」というシンプルな理由のほか、「お正月には生鮮食品の市場が休みになるため、新鮮な魚や野菜を届けることができない」こともあって、休業を決めているという。
三が日に買い物ができないという客に対しては、「12月31日にある程度はまとめて買っていただくというイメージ」。さらに「(休めることについては)従業員もありがたい思いでいる」(担当者)とのこと。
改めて「極めて謙虚で、極めて誠実、極めて勤勉」というオーケーのモットーも納得できる、回答だった。
(文・写真、西山里緒)