Guang Niu/スタッフ/Getty Images
- 中国では、子どもたちが「スマート制服」を着て学校へ通っている。この制服にはGPS発信機が埋め込まれていて、どこで何をしているか、親や教師がリアルタイムで子どもの行動を把握できる。
- 子どもが学校や教室、寮に入ると、GPSが日付と時間を記録する。
- 「ティーンエイジャーの子育ては大変。その助けになるものは、なんでも必要なのです」と、ある親はチャイナデイリーに語った。
中国の貴州省と広西チワン族自治区の学校では、子どもたちがきちんと授業を受けているか、子どもの所在と安全を確認するためにGPS発信機が埋め込まれた「スマート制服」が使われている。チャイナデイリーが報じた。
貴州省の9校、広西チワン族自治区の2校がこうした制服を導入しているという。
広西チワン族自治区は中国の中でも貧しく、生徒の無断欠席が多い地域だ。
開発した貴州冠宇科技(Guizhou Guanyu Technology)は声明文の中で、このハイテク制服を着た生徒が学校に入ると、日付と時間が記録されると述べた。生徒の動きも動画で捉えられていて、親はアプリで確認できる。
顔認証技術によって、子どもたちが不正に制服を交換できないように設計もされている。
学校を無断で休んだり、授業をさぼろうとすると、教師や親に通報が入る。許可なく学校を離れようとすると、音声警報装置が作動する。
中国は監視技術の開発と導入で、世界をリードしている。
中国共産党はイスラム教を信じるウイグル族の取り締まりの一環として、新疆ウイグル自治区で監視を強化している。
そして、大都市でも車両が集めたデータが「政府の支援する監視センター」に送信されている可能性があることに、大半の裕福な電気自動車のドライバーたちは気付いていない。
貴州省にある修文高校の労働組合長を務めるWang Ping氏は、約1000人の1年生がこのハイテク制服を1カ月以上着ていると語った。
生徒は夏用の制服を2着、冬用の制服を2着持っているといい、その費用は合わせて320元(約5100円)と、一般的な制服とほぼ同じだと、チャイナデイリーは報じている。
修文高校に通う子どもを持つZhao Shengyongさんは、制服の監視機能に満足していると語った。
「高校は全寮制なので、家庭で息子を教育するのは難しいです。この制服は息子に多少のプレッシャーを与え、授業をさぼったらわたしに分かることを彼に認識させています」
「ティーンエイジャーの子育ては大変。その助けになるものは、なんでも必要なのです」
貴州冠宇科技の広報担当者はチャイナデイリーに対し、技術開発を除いて、同社はプライバシー厳守で、集めた情報は保護者と教師のみがアクセスできるようになっていると話した。
スマート制服については、国営メディアによって繰り返し報じられていて、これは個人に対する監視をオープンに議論し、推奨し、標準化したい中国共産党の意思を反映している。
習近平国家主席の権力が拡大する中、中国では急速にデジタルによる独裁が進んでいる。
2018年11月には、中国は北京と上海で監視ソフトウエアを導入、当局は顔が隠れていても、後ろ向きでも、その歩き方で個人を特定できると語った。
中国の監視技術は、政府の野心的な「社会信用システム」が導入される中で発展してきた。このシステムは、社会適合性や行動によって個人をランク付けし、その累積スコアによって見返りもしくは罰則を与えるものだ。
[原文:Chinese schoolkids are being tracked and monitored through tech embedded in their 'smart uniforms']
(翻訳、編集:山口佳美)