アップルがラスベガスで打ち出した広告は、iPhoneがプライバシーを尊重し、保護している点を前面に押し出している。
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- アップルは、iPhoneがプライバシーを重視していることをアピールした巨大な屋外広告で、CES 2019で大きな存在感を示している。
- アップルは世界最大級のテックショー、CESに出展していないが、アンドロイドOSを扱う競合企業は数多く出展している。
- アップルは、プライバシーは競合との大きな差別化ポイントと考えている。
- アップルの広告は、車体にグーグルの広告が描かれたモノレールの近くに掲げられている。
アップルは、1月8日(現地時間)からラスベカスで始まったCESには出展していない。だが大きな存在感を示している。
アップルはラスベガスにあるマリオットホテルの壁面に巨大な屋外広告を出している。広告には、iPhoneの背面と「What happens on your iPhone, stays on your iPhone」のコピー。そして広告の下には、アップルのプライバシーポリシーのURL。
※注:キャッチコピーは「What happens in Vegas, stays in Vegas.(ラスベガスで起きたことは、ラスベガスに留まる)」ということわざを踏まえている。
これはアンドロイドに対するアップルの挑発。グーグルのアンドロイドOSが政府やハッカーにユーザーのデータを漏らしている可能性があることを皮肉っている。
一方、アップルはユーザーのプライバシーを尊重する姿勢をアピールしてきた。
例えば同社は、2015年に起きたカリフォルニア州サンバーナーディノでの銃乱射事件の際、容疑者のiPhoneのロック解除をFBIに依頼された際に協力を拒否した。
また、フェイスブックがケンブリッジ・アナリティカの件で注目を集めていた際に、アップルのCEO、ティム・クックが放った批判的な言葉はマーク・ザッカーバーグを怒らせたと報じられた。
「我々は個人データを売買するつもりはない」と2018年6月、クックは語った。
「プライバシーは人権。市民的自由」
またクックは、アメリカでもデジタルプライバシーに関する法整備を進めるべきだと主張している。
アップルの広告は、偶然にもグーグルの広告で装飾された車両が走るモノレールの隣に掲げられている。写真には、グーグルのバーチャルアシスタントの広告として、トリガーワード(アシスタントを呼び出す際の言葉)である「Hey Google」が描かれたモノレールがアップルの広告の隣に写っている。
モノレールに描かれたグーグルの広告とアップルの広告。
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またこれは、マリオットホテルが大規模なデータ漏洩を起こしたことへの、想定外の皮肉かもしれない。同ホテルチェーンは大規模なハッキングを受け、1月4日に525万人分のパスポート番号がハッカーの手に渡ったと発表した。
アップルはCESに出展していないため、発表も展示もない。しかしアップルの従業員は競合の視察にCESに来ているようだ。
アップルが競合を広告のネタにするのは今回が初めてではない。4月に始まったアンドロイドユーザーをターゲットにした広告では、アプリの審査が厳しいAppStoreは、Google Playなど競合のアプリストアよりもはるかに安全とアピールした。
(翻訳:Yuta Machida、編集:増田隆幸)