金融、コマース、人材などLINEは、さまざまな業種への展開を進めている。
撮影:小林優多郎
証券や銀行、決済の金融サービスやeコマースと異業種への参入を次々と進めるLINEが、今度は医療系プラットフォーマーのエムスリーと手を組んだ。
LINEは2019年1月8日、エムスリーと共同会社「LINEヘルスケア」を設立したと発表。出資比率はLINEが51%、エムスリーが49%。事実上、LINEにとって初の医療分野への参入となる。
法整備次第で「健康相談」以上のサービスも
LINEが医療の入口になる?(写真はイメージです)
撮影:今村拓馬
第一弾として、新会社は2019年内にLINEを通じた遠隔健康医療相談サービスを開始する方針だ。法整備の進展次第だが、処方薬の宅配サービスやオンラインでの遠隔診療などのサービスも検討しているという(LINE広報)。また、新会社は、オンラインにおける診察予約などを含む、今の医療における不便を解決する新しいサービスを開発し、医療のプラットフォームを築いていく。
医療のプラットフォームを作る上で、LINEとエムスリーのアライアンスは非常に相性が良いだろう。国内月間利用者数7800万人を誇るLINEに対して、エムスリーは、医療従事者専門サイトの「m3.com」を運営しており、日本の臨床医の約9割にあたる27万人を超える医師会員と16万人以上の薬剤師に、医学関連の情報を配信している。エムスリーは日本に限らず、アメリカ、イギリス、フランス、中国、韓国、インドなどで海外事業を進めている。
LINEヘルスケアが模索するサービスが今後本格的に動き出せば、例えば、診療時にゼロから問診をするのではなく、日常で蓄積された診療・処方データを元により最適な医療サービスの形が実現する可能性がある。
コンシューマーをつなぐLINEと、医師をつなぐエムスリーが作り出す患者主体の医療プラットフォーム。法整備の進展次第の部分があるが、既存の医療サービスを大きく変えうる破壊力はありそうだ。
(文・小林優多郎、佐藤茂)