モルガン・スタンレー:米株式市場は「問題なし」と言える展開とは?

取引初日を祝うフィリピンのトレーダー

Reuters/Romeo Ranoco

  • モルガン・スタンレーの株式ストラテジストチームは、1月7日の終値と比べて、2019年末には株価は8%上昇すると考えている。
  • ただし、連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを一時停止するなど、いくつかの展開が不可欠。こうした展開がない限り、底値が固まったと判断できないとしている。
  • アメリカ株式市場は2019年当初からこれまでに、緩やかながら上昇している。

モルガン・スタンレーの株式ストラテジストチームは、株式市場のポジティブ基調は続き、2019年末には株価は今より高くなっていると見ている。しかし、不透明要素はかなり多く、低迷を脱したと宣言するには、まだ確信が持てないでいる。

「バリュエーション、投資家感情、ポジショニングから考えると、我々はこれまでの1年間よりも間違いなく前向き。しかし、もう問題ないと宣言する時期とはまだ思わない」とマイケル・ウィルソン(Michael Wilson)氏率いる株式ストラテジストチームは1月7日(現地時間)、クライアント向け文書に記した。

「世界全体のマルチプル法による評価は5年間の平均を下回っており、アメリカ株式のリスク・プレミアムは2016年前半以来のレベルに達した。とはいえ、こうした減速はそれほど厳しいものではないと考えている。インデックス・レベルで織り込み済みと考えられる」

ウィルソン氏のチームは、2019年末のS&P500種株価指数を2750と予測、これは1月7日の終値よりも8%近く高い。S&P500は、2019年に入って1月7日時点までに1.6%上昇した。米中の貿易協議が続いていることアメリカ政府機関の一部閉鎖、そして年初にアップルが2019年第1四半期の業績予想の下方修正を発表したことなどによって、不安定な状況になっているにもかかわらず。

モルガン・スタンレーが、株価は底値を打ったと考える展開は以下の通り。

  • テクニカル・ダメージの解消:市場は「著しい」テクニカル・ダメージを経験しているとモルガン・スタンレーは述べた。例えば、S&P500銘柄のうち、200日移動平均線より上で取り引きされているのはわずか20%弱。8年ぶりの低水準に近い、悪い数字。加えて、S&P 500自体も、50日ならびに200日移動平均線を大きく下回るところで取り引きされている。「突破すべきレジスタンスライン(価格抵抗線)が数多くある」とモルガン・スタンレーは記した。
  • FRBのハト派(金融緩和推進派)的行動:モルガン・スタンレーのチームは、FRBはハト派的姿勢を強めている現在の状態から、「よりハト派的な行動」へと移行しなかればならないと述べた。例えば、利上げ路線の一時停止とバランスシートの引き締めのどちらか、あるいは両方を行うなどだ。そうでない限り、「2600〜2650という古いサポートラインを大きく上回る高値を維持することは難しい」とウィルソン氏率いるチームは考えている。
  • ネガティブな数値の消化:投資家は、市場にのしかかる「ネガティブさを増すデータポイントを克服」しなければならない。例えば、米供給管理協会(ISM)が1月はじめに発表した購買担当者景気指数(PMI)が下落したことや、アップルが四半期決算の下方修正を発表したことなどだ。これらの2つの動向は「無関係とは思えない」とモルガン・スタンレーは述べた。
  • ヘッジファンドは弱気、だがそれほどでもない:ストラテジストが持つヘッジファンドに関する内部データから、エクスポージャー(価格変動リスクがある金融資産の割合)がこれほど低かったことは、ネットベースでは2016年以来、グロスベースでは2012年以来だったことが明らかになった。これは投資家が「適度な弱気である」ことを示しており、モルガン・スタンレーは現時点でより前向きになるべき理由としているが、市場心理は、底値が固まったと言えるほどの宣言するほど強さにはなっていない。

モルガン・スタンレーの株価の目標値は「強気の場合」は3000で、現在よりも18%近くの上昇となる。「弱気の場合」は2400、6%の下落となる。

より詳細に見ると、モルガン・スタンレーは、生活必需品、エネルギー、金融、公益事業の株式を推奨している。一方、一般消費財やテクノロジーは投資比率を下げることを勧めている。

バリュー株か成長株かという点については、同社はバリュー株を好んでいる。バリュー株は歴史的に見ると割安という見方をしているためだ。「成長株でも、割高でなければ大丈夫だろう」とチームは結んだ。


[原文:MORGAN STANLEY: Here's what needs to happen before we can 'blow the all clear signal' for stocks

(翻訳:遠藤康子/ガリレオ、編集:増田隆幸)

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