PCメーカーのレノボは「CES2019」で新製品を発表した。
レノボは、アメリカ・ラスベガスで開催中の世界最大級のテクノロジーショー「CES2019」でPCやスマートアシスタント搭載製品など数多くの新製品を発表した。注目機種を紹介する。
フルモデルチェンジで質感と軽量化を両立した「ThinkPad X1 Yoga」
画面が背面まで倒れるYogaシリーズの機構を受け継ぎつつ、ボディーやデザイン意匠が完全リニューアルされた「ThinkPad X1 Yoga」。
画面を背面までぐるりと畳むとタブレットのようにも使える高性能な2in1ノート「ThinkPad X1 Yoga」はこれで第4世代。最新モデルは、ボディーまで完全に新設計だ。
薄さは従来機と比べて11%薄い15.2mm、フットプリント(接地面積)は17%小さい323×218mm。アルミ素材の高い質感を持ちながら、重量は1.35kgだ。
ディスプレイが360度倒れる独特のヒンジ機構。また側面が切り落とされたようなエッジの効いたデザインで、メタリックな輝きがある。質感の高さもさらに磨きがかかった印象。
右側面。左右側面ともに、フルサイズのUSBも搭載するのはビジネスマシンとしてのユーザビリティへのこだわりを感じる。
ディスプレーは14インチ。CPUは第8世代Core iを採用し、メモリーは最大16GB、バッテリー駆動最大15時間と申し分のない性能。LTE内蔵モデルも選択できる。
インターフェースとしてはUSB Type-C 3.1(Gen1)やThunderbolt 3(DisplayPort1.4対応)の端子を搭載しているため、充電や画面出力などもケーブル1本で実行できるのも嬉しいポイントだ。価格は1929ドル(約21万円)から。北米市場では6月発売予定。
カーボンファイバー柄も選べる「ThinkPad X1 Carbon」
高性能ながらも薄型軽量な「ThinkPad X1 Carbon」。
薄型軽量・高性能が特徴の「ThinkPad X1 Carbon」もアップデート。X1 Yogaと同じく第8世代Coreと最大16GBのメモリーを採用。バッテリー駆動時間も同様に15時間。
薄さ14.95mm(前モデル比で-6%)、重さ1.08kgと前モデルに比べて薄型軽量化したが、堅牢性はビジネスノートThinkPadシリーズに恥じないものになっている。
ThinkPad X1 Carbonで採用されたカーボン繊維の織り目を強調した“カーボン柄”の天面。
また、もともとX1 Carbonはカーボンファイバーで強度アップが図られているが、今回のモデルでは天板にカーボンファイバーを織り込んだような柄を選択できるようになった。「カーボン素材を使ってるなら、それとわかるようにする」というマーケティング上の理由もありそうだ。
価格は1709ドル(約18万6000円)から。X1 Yogaと同じく6月発売予定。
Surface Desktop対抗の一体型モデルが新登場
Yogaシリーズでは初の液晶一体型モデルとなる「Yoga A940」。
前述の通り回転ヒンジが特徴のYogaシリーズだが、今回、ついに本格的なクリエイティブ向けのデスクトップPCも登場した。
「Yoga A940」は、27インチの大型タッチディスプレイを搭載した液晶一体型モデルだ。CPUはインテルの第8世代Core i7、グラフィックスにはAMDの「Radeon RX560」を採用。メモリーは最大32GB、ストレージは最大512GBのSSDまたは最大2TBのHDDが選択可能。ディスプレイには、2560×1440ドットIPS液晶以外に、3840×2160ドットの4K IPS液晶も選べる。
大画面のタッチ対応デスクトップといえば、マイクロソフトの「Surface Studio 2」があるが、Yoga A940はまさにその対抗モデルと言える存在。ディスプレー部を最大25度傾けることで巨大なペンタブレットのように使え、CADやペイントアプリの利用でクリエイティブ作業をより快適に行える設計になっている。
さらに注目は、Yoga A940は2349.99ドル〜(約25万6000円)と、日本では最小構成でも48万384円(直販価格、税込)のSurface Studio 2より大幅に安価なことだ。Surface Studioの使い勝手は認めつつも価格から手を出せなかったクリエイターにとっては、注目の1台といえる。
ディスプレー部は傾けながら手前に寄せられるため、液晶ペンタブレットとしても使える。
Yoga A940にはワイヤレス充電パッドが内蔵されている。この位置にQi対応スマートフォンを置くとiPhone でもAndroidでも充電できることを現地で確認した。
ちなみに、正面右側はワイヤレス充電スタンドがビルトインされており、Qi規格を採用するスマートフォンなどをワイヤレス充電できる。発表会現地で確認したところ、iPhone XS Maxも問題なく充電できた。
「Amazon Echo相当」のAlexa対応タブレットが日本上陸予定
4インチの「Lenovo Smart Clock」。背後にあるのは従来機である「Lenovo Smart Display」。
各種スマートアシスタントを搭載したスマートデバイスも3製品発表された。
そのうちのGoogleアシスタントを採用したものは1つで、「Lenovo Smart Clock」というスマートディスプレーだ。
Lenovo Smart Clockはその名の通り、家に置くような時計をイメージしており、大きさもベッドサイドに置くような時計サイズ(ディスプレイは4インチ)。レノボが既に発売している「Lenovo Smart Display」のディスプレーサイズは10インチだったことを思うと、かなりコンパクト。ボディー全体がファブリックに覆われたデザインは、グーグルスマホ「Pixel 3」シリーズの純正ケースのような、上質感ある仕上がりだった。価格は79.99ドル(約8700円)と手頃で、2019年春に発売。気になる日本への投入は、現時点では未定。
「Smart Tab P10」の実機。専用ドックを装着することでEcho Showのような使い方が可能。
スマートデバイスでは、アマゾンのアレクサを搭載した「Smart Tab」シリーズも登場。こちらは上位モデル「 Lenovo Smart Tab with Tab P10 」(299.99ドル、約3万2700円)と普及モデル「同M10」(199.99ドル、約2万1800円)の2機種での展開だ。両者は、P10ではスピーカーが2スピーカーから4スピーカーに、指紋認証にも対応といったように、仕様が豪華になるのが違う点。いずれも2019年1月から事前予約を開始する。
Smart Tabのコンセプトはユニークだ。一見するとシンプルなタブレットだが、専用のドックに接続することで「Echo Show」のようなAlexa対応スマートディスプレーに早変わりする(アマゾン純正「Fire」タブレットシリーズにもShow Modeという機能で同様のことはできるが、Show Modeは日本未展開)。
なお、Smart Tabシリーズは日本への投入がすでに決定している。
ドックから外せばシンプルなAndroid 8.0搭載10インチタブレットとして動作。Smart Tabシリーズには「Smart Tab P10」と「Smart Tab M10」が用意されているが、P10の方がディスプレーの明るさやフロントスピーカーの数、カメラの画素数などのスペックがM10より上。
Echo Show最大の弱点は「場所をとること」と「YouTubeを見るのにやや不自由」であると思われるが、Smart Tabシリーズは普段はスマートディスプレーとして声操作中心の家電の操作などに活用し、必要な時はAndroidタブレットとして各種コンテンツにアクセスするといった使い方が可能だ。
(文・伊藤有、小林優多郎 撮影・伊藤有)