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- アマゾンの創業者兼CEOのジェフ・ベゾス氏は1月9日(現地時間)、マッケンジー・ベゾス氏との離婚をツイッターで発表した。2人の結婚生活は25年。
- ベゾス氏の純資産は約1370億ドル(約14兆8000億円)と伝えられる。同氏が住むワシントン州は夫婦共有財産制を取っており、婚姻前あるいは婚姻後契約を結んでいなければ、すべての財産は平等に分割される。
- これにより、ベゾス氏は株式を売却しなければならず、同氏のアマゾンのコントロールに影響を及ぼす可能性があるとCNBCは伝えた。
- ベゾス氏のようなビリオネアの離婚では一般的に、複雑で非流動的な資産、会社、公的なイメージが問題になると離婚弁護士は語った。
アマゾンの創業者兼CEOのジェフ・ベゾス氏は1月9日(現地時間)、マッケンジー・ベゾス氏との離婚をツイッターで発表した。2人の結婚生活は25年。
世界で最もリッチなジェフ・ベゾス氏の離婚は、世界で最も高額な離婚劇となるのだろうか? それは状況次第だ。
ベゾス氏の純資産は約1370億ドル(約14兆8000億円)、他の資産家カップルのケースと同様、一般人の離婚に比べると多くの問題がある。
「ビリオネアの離婚のケースでは、多くの場合、問題は2人の財産が極めて複雑で、ほとんどが非流動的なものであること ── ベゾス氏の場合、財産の多くはアマゾンの株式とリンクしている」とBerkman Bottger Newman & Rodd LLPの マネージングパートナーで婚姻法を専門とする弁護士、ジャクリーン・ニューマン氏はBusiness Insiderに語った。
ベゾス夫妻が住むワシントン州は、ベゾス氏が保有するアマゾンの株式について複雑な問題を投げかける。
ワシントン州は夫婦共有財産制をとっている。つまり、結婚期間中に作られた財産は半分に分割されるとRower LLCの婚姻・信託・不動産担当パートナー、カリン・J・ランデル氏は語った。
ただしこれは、ベゾス夫妻が婚姻前あるいは婚姻後契約を結んでいた場合、変わる可能性があるとランデル氏は語った。
「しばしば、資産家カップルは財産分割について婚姻前契約を結ぶ。婚姻前契約で財産分割の方法を事前に定めておく」
ベゾス夫妻が婚姻前契約を結んでいたかどうかは分からない。結んでいなかった場合、マッケンジー・ベゾス氏は夫婦共有財産法により、アマゾンの時価総額から算出された金額、最高660億ドル(約7兆円強)を受け取ることができるとCNBCは伝えた。
「巨額な支払いのために、ベゾス氏は株式を売却するか担保に入れなければならない。これは同氏のアマゾンの所有とコントロールを弱めることになる」とCNBCは記した。ベゾス氏はアマゾンの株式の16%弱、約8000万株を所有している。
会社の株がビリオネアの離婚を複雑に
財産が会社の株式と密接にリンクしていることが問題となり、ベゾス氏のようなビリオネアの場合、離婚は争い事になるケースも多い。
だが、いずれにせよ用心しなければならない ── 株式を渡すことはできる。だがそうした場合、会社へのコントロールを失うことにもなる。
「もしベゾス氏が株式を売却すれば、株式はその後、どこかに売り渡されてしまう」
もちろん、ベゾス氏がそうなるという話ではない。
「マッケンジー氏は財産を増やし続けたいと考えるだろう。それはベゾス氏が経営するアマゾンと密接に関係している。だからマッケンジー氏は、ベゾス氏が株式を売却することになるような財産分割を強くは求めないだろう。ベゾス氏のアマゾンの株式が15%を下回るようなことは望まないはずだ」とCNBCは記した。
財産分割のために株式を売却して会社のコントロールを失うことに加えて、ビリオネアの離婚には多くの問題がある。
「多くの場合、それは評価に関すること ── ビジネスの価値をどう評価するか」とランドル氏は語った。
「公開株の評価は簡単。だがビジネスの価値は評価が難しく、複雑な財産。ワシントン・ポストの価値は分からない」
ニューマン氏によると、評価が難しく、清算が難しい財産があると、離婚プロセスは長引いてしまう。
またベゾス氏のように多くの人の注目を集めるビリオネアにとっては、離婚が会社に与える影響も問題となる。俳優など、財産が会社とリンクしていないビリオネアは、イメージだけを気にすれば済むとニューマン氏は付け加えた。
だがベゾス氏は違う。
「懸念点は会社と株式。これは大きな問題。さらに子どもたちのこともある。ベゾス氏レベルの離婚となると、関係者も、利害関係も山ほど存在する」
(翻訳、編集:増田隆幸)