米中貿易摩擦が加速した2018年後半は、反トランプ大統領の矛先がiPhoneにも向けられるようになった。が
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中国のECサイトや家電量販店が1月11日、一斉にiPhoneを値下げした。ダフ屋による買占め、高値での転売が横行していたiPhone6、7の発売時とは対照的な動きで、世界最大のスマホ市場でもある中国での不振ぶりを裏付けている。
中国EC2位の京東商城(JD.com)は11日0時、iPhone8とiPhone 8 Plusをそれぞれ3999元(約6万3000円)、4700元(約7万5000円)に値下げ。アップルストアの販売価格(iPhone 8が5099元、iPhone 8 Plusが5999元)より1000元(約1万6000円)以上安くなった。京東は1月14日から、iPad mini4などアップル製品全般の期間限定値下げも実施する。
2016年9月、iPhone7発売に沸く北京のアップルストア。当時に比べ中国でiPhoneは苦戦を強いられている。
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安売りはiPhone XRにも及んでいる。ラオックスを傘下に持つ家電量販店蘇寧易購は11日、SNS微博(Weibo)のオフィシャルアカウントを通じ、iPhone XR(128GB)を5799元(約9万3000円)で販売すると告知した。同機種はアップルストアで6999元で販売されており、1200元(約1万9000円)安い。また、蘇寧易購は買い替えキャンペーンも実施。iPhone 7 Plusを下取りに出せばiphoneXRを3500元(約5万6000円)で購入できる。
農村などで人気が高い新興EC拼多多(Pingduoduo)も11日、新iPhoneの値下げを発表。iPhone XRは5099元、iPhone XSは7299元、iPhoneXS Maxは8099元に価格を引き下げた。アップルストアではiPhone値下げの動きはないが、贈答需要が高まる春節(旧正月)を2月に控え、中国の業界関係者は「EC業者や家電量販店での値下げ効果を見て、アップルも公式に値下げする可能性がある」とみている。日本経済新聞の報道によると、アップルは2018年秋に発売した新iPhone3機種の減産を部品メーカーなどに通知した。iPhoneを製造する世界最大のEMS(電子機器の受託製造サービス)企業、鴻海(ホンハイ)精密工業(台湾)が10日に公表した2018年12月の売上高は前年同期比8.3%減少し、6193億台湾ドル(約2兆2000億円)だった。同社の月次売上高が前年同期比で減少するのは2018年2月以来10カ月ぶり。
(文・浦上早苗)