Associated Press/Jacquelyn Martin
- アメリカの政府機関の一部閉鎖は12日(現地時間)に22日目を迎え、史上最長となっている。
- 政府機関の閉鎖が株式市場や経済成長に大きな影響を及ぼしたことは、これまで基本的にはなかったと、金融街のエコノミストやストラテジストたちは言う。
- しかし、閉鎖が長引けばアメリカと中国の貿易協議に遅れが生じ、市場に不確実性という悪影響が出かねない。
政府機関の一部閉鎖は、株式市場や経済に大きな影響を及ぼさない —— その影響が出るまでは。
これが、アメリカ金融街の見通しの核心だ。アメリカでは、トランプ大統領が提案したメキシコとの国境沿いの壁の建設費をめぐって政府機関の一部が閉鎖、12日に22日目を迎え、史上最長となっている。
専門家は過去、政府機関の閉鎖が株式市場や経済成長に大きな影響を及ぼしたことはないと言うが、米中の貿易協議や消費マインド、市場のパフォーマンスに関するリスクは依然としてあると指摘する。
「いずれ政府機関の再開で合意するだろうと我々は見ているが、それは経済、金融、政治的な痛みが実際に感じられた後のことだろう」
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのエコノミスト・チームは10日、顧客に語った。
「政府機関の閉鎖は、2週間ごとに0.1パーセントポイント、成長を低下させる。これ以上長引けば、支出と投資に遅れが出るだろう」
同社は過去の政府機関の閉鎖を振り返り、「一般的な経験則」としては、閉鎖によって感じられる直接的な影響は1週間あたり約0.1~0.2パーセントポイントの成長の低下だという。これにより、同社は第4四半期のGDP伸び率の予想を2.9%から2.8%に引き下げた。
「政府機関の閉鎖によって不確実性が高まり、業績低迷や消費マインドの冷え込み、株価の下落につながれば、さらに成長が鈍化する可能性もある」
確かに、株価は政府機関の閉鎖の影響をほとんど受けない。LPLファイナンシャル・リサーチの分析によると、政府機関の閉鎖が株価を大幅に下落させることはまれだ。同社は、過去40年間の20の政府機関の閉鎖は、いずれも株価をほとんど変動させなかったと言う。12月22日から続く今回の政府機関の一部閉鎖が始まって以来、S&P 500は7.4%伸びている。
そして今回の政府機関の閉鎖は、不確実性が今後の金利上昇について回るようなら、連邦準備制度理事会の金利上昇の道にも影響を及ぼす可能性がある。
「目先の経済成長が続けば、2019年前半に多ければもう2回、利上げがあると我々は見ている」と、キャピタル・エコノミクスのアシスタント・エコノミスト、ニヒル・サンガーニ(Nikhil Sanghani)氏は顧客に対して述べた。「しかし、株式市場の急落もしくは政府機関の閉鎖によるさらに深刻な混乱は、恐らくこれ以上の利上げの余地をなくすだろう」
(翻訳、編集:山口佳美)