KDDIは1月15日、札幌市に本拠地を置くエコモットとの資本業務提携を発表した。
KDDIは1月15日、IoT専業のソリューションベンダーであるエコモットとの資本業務提携を発表した。具体的な取得額は非開示だが、KDDIはエコモットの議決権比率の21.1%の株式を取得。エコモットはKDDIの持分法適用会社となる。
KDDIとエコモットはすでに法人向けIoTソリューション分野においてパートナーシップを結んでいるが、KDDIとしては今後市場が拡大するIoT分野の需要に対応する狙いがある。
エコモットは約12年間のIoT専業で積み重ねたノウハウがウリ
エコモットのソリューションが活かされているロードヒーティングの例。従来のセンサーでは降雨による誤作動が発生していたが、同社の遠隔操作技術により灯油やガス、電力などにかかるコストが年間で30%も削減されたという。
エコモットは札幌市に本拠地を置く、2007年2月に設立されたIoT専業の企業。創立当初は、道路などの凍結を防ぐロードヒーティングの遠隔操作のためのソリューションを提供していた。
その後、他の降雪地帯向け、建設・土木・防災向け、自動車向けのIoTパッケージソリューションなどを展開。2017年6月21日には札幌証券取引所アンビシャスに上場、2018年6月22日には東証マザーズに上場している。
エコモットのIoTソリューションは、防災、減災への取り組みにも活用されている。
KDDIとエコモットが協力して開発した機器の一例。KDDIの閉域網を使うことでよりセキュアな環境でのデータのやりとりが可能となっている。
現在は、2000種類以上のセンサーを取り扱っており、各種IoTソリューションでためた現場レベルの導入および活用ノウハウが強みとなっている。
KDDIのビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏は、「5GやIoT事業を進めて行くためには、強固なプラットフォームが必要。また、データをどうやって集めていくかも重要。そこの知見はエコモットが一番だった」とエコモットに対する期待感を語る。
成長が続く法人向けIoT事業、5Gでの展開も視野に
KDDIの法人向けM2M/IoT回線の契約数はここ数年で大きく成長している。
あらゆる分野において事業の効率化を図るのであれば、法人のIoT導入は今後避けられないものとなる。実際、KDDIの法人向けM2M(機器間)/IoT回線の契約数は、電力会社でのスマートメーターの普及を主な要因としてここ2、3年で大きく成長しているという。
KDDIは既にセンサーからデータを集めるためのネットワーク技術、そのデータを蓄積・分析するためのクラウドプラットフォーム、ソリューションを売るための顧客基盤を持っている。
そこにエコモットが持つセンシング技術やセンサー自体の開発ノウハウを取り込むことで、IoT導入の提案からデータの収集、蓄積、分析まで一気通貫で行えるようになる。
写真左よりKDDIビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏、エコモット社長の入澤拓也氏。
原田氏は「5Gになると法人利用がメインになると思う。遠隔医療やリモート操作など、低遅延で距離を感じさせない使い方に必要となってくる」と語っており、エコモットとは新しいパッケージソリューションの企画・販売だけではなく、5GやLPWA※などの最新技術を用いたセンサー類の開発も行っていくとしている。
※LPWAとは
Low Power Wide Areaの略。低消費電力かつ広範囲な通信エリアの通信方式を指す。
(文、撮影・小林優多郎)