ファーウェイ創業者兼CEO、任正非(Ren Zhengfei)氏。
Dmitry Lovetsky
- ファーウェイの創業者、任正非(Ren Zhengfei)氏は数年来の沈黙を破り、中国政府に代わってスパイ行為を行っているという疑いを否定した。
- ファーウェイはサムスンに次ぐ、世界第2位のスマートフォンメーカー、そして世界中の国々に通信インフラを担う機器を提供している。
- 任氏の娘の孟氏は同社CFO、2018年12月、アメリカの要請によりカナダで逮捕された。
- 任氏は娘と会えずに寂しい、正義がすべてを明らかにしてくれると語った。
- ファーウェイはイランとの取り引きにまつわる孟氏の容疑、そしてトランプ大統領の中国との貿易戦争によって、かつてない注目に晒されている。
ファーウェイの創業者、任正非(Ren Zhengfei)氏はメディアにめったに登場しない。同氏は数年来の沈黙を破り、娘の孟晩舟(Meng Wanzhou)氏に会えず、とても寂しいと語った。また同社はいかなる不正行為も行っていないと述べた。
娘の孟(Meng)氏はファーウェイのCFO、昨年12月、アメリカの要請によりカナダで逮捕された。当局は、ファーウェイはアメリカの対イラン制裁に違反したとしている。孟氏は容疑を否定している。
任氏は、著名な人物にもかかわらず、公の場にはほとんど登場しない。
1月15日(現地時間)、任氏は深センで記者会見を行い、同社が中国政府の代わりにスパイ行為を行っているという疑いを否定した。同氏が海外メディアの取材を受けたのは、2015年以来のこと。
フィナンシャル・タイムズによると、同氏はファーウェイは「いかなる政府からも、不適切な情報を提供するよう要求されたことなどない」と語った。
「私はずっと祖国を愛しており、共産党を支持している。だが私は世界中のいかなる国も傷つけるようなことは決してしない」
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、同氏はさらに「私は顧客の利益を損なうことは決してしない。私も、私の会社もそのような要求には応じない」と付け加えた。
任氏は、娘のケースも正義がすべてを明らかにしてくれると語った。
ファーウェイに対する数年来の疑問
ファーウェイ創業者の娘でCFO、孟晩舟(Meng Wanzhou)氏。
REUTERS/Alexander Bibik
ファーウェイはサムスンに次ぐ、世界第2位のスマートフォンメーカーとしてよく知られている。だが同社のコアビジネスは世界中の携帯電話会社に通信インフラを提供すること。
同社は最も成功した中国企業、だがアメリカの政治家は同社の通信機器は情報を漏らし、中国政府はアメリカの通信をスパイしているのではないかと危惧してきた。ファーウェイはその疑いをずっと否定している。
トランプ大統領の貿易戦争により、中国との緊張関係は高まっている。2018年12月の孟氏の逮捕は、両国間の問題を一層複雑にした。
孟氏に対する容疑の多くは、現在、アメリカの制裁措置の対象となっているイランで営業中の2社、機器販売会社のSkycomとペーパーカンパニーのCanicula Holdingsに関わっている。
当局は、孟氏がこれらの2社はファーウェイとは無関係と銀行に虚偽の説明を行い、イランで取り引きを行ったと主張している。ロイターは、2社がファーウェイと密接に関係していることを示す書類を1月はじめに見つけた。
さらに12日、ファーウェイはポーランド当局にスパイ容疑で逮捕された社員を解雇した。
「ファーウェイは中国とアメリカの貿易紛争の中の小さな一粒に過ぎない」とブルームバーグは任氏の言葉を伝えた。
任氏は2011年、ファーウェイの経営から退いた。同社は現在、複数のエグゼクティブによる数カ月ごとの交代制で運営されている。同氏の娘の孟氏は、2018年3月、副会長の座を同氏から引き継いだ。
(翻訳、編集:増田隆幸)