「ワイドナショー」(フジテレビ系)でダウンタウンの松本人志さんがHKT48の指原莉乃さんに対し「お得意の体を使って何とかすれば」という趣旨の発言をして大きな批判を集める中、指原さんがTwitterを更新して現在の心境を語った。一方で、沈黙を守ったままのフジテレビに見解を問い合わせると、意外な答えが返ってきた。
暴行事件のトークで「お得意の体を使ってなんとか」
指原さんがTwitterを更新。決意を新たにした。
指原莉乃さんTwitterより
話題になっているのは、2019年1月13日の放送回だ。番組はNGT48・山口真帆さんへの暴行事件について取り上げ、放送前から運営の対応をTwitterで批判していた指原さんはスタジオでも「すべての対応が間違っていた」「私がTwitterで批判したことがガス抜きになって『これでいい』と思ったり、うやむやにしては絶対にいけない」と改めて運営を厳しく批判。
古市憲寿さんが「指原さんも引退するんだしNGTのトップになったらいいじゃないですか」と提案すると、松本さんも「そっち回ったらええやん」と言い、スタジオ全体が賛同する空気に。
問題はここからだ。指原さんが「メンバーと運営の間に立つ人間が少なすぎるので、そのケアはこれからもしたい」と話す一方、「でも現状ではえらい人たちが仕切っても何も出来ていないので、私がトップに立っても何も出来ないとは思うんです。メンバーの人数に対して少ない運営なので」と言うと、松本さんが
「まぁでもそれはお得意の体を使ってなんとかするとかさ。そういうやり方も」
と返したのだ。
これに対し指原さんは「何?何言ってるんですか?ヤバ……」とすぐに切り返し、MCの東野幸治さんも「すみません指原さん」と謝罪したが、松本さんは笑っていた。
直後に発言した古市さんも「指原さんがトップって説得力あるんじゃないですか。だってこんな感じでトップにいけたわけでしょ」と、特に松本さんの発言を気にしてはいない様子だった。
「言い返してくれてありがとう」指原さんに共感する女性たち
フジテレビホームページより
松本さんの発言について受けてTwitterでは「セクハラ」「番組打ち切りでいいんじゃないですかね。ていうか、それぐらいしないとダメでしょ。アイドルのセキュリティと性暴力の問題に『性的駆け引き』で解決しろと言ったんだから」など批判の投稿が溢れた。
ワイドナショーは事前収録であり編集が可能なことから、批判は放送局であるフジテレビにも殺到。
「NGと思わずそのまま放送してしまったフジテレビの感覚めちゃくちゃやべえなという感想しかない」
「これだけの事件についてこんな最低のコメントをする松本氏を今後も起用し続けるメディアはそのメディア自身セクハラを理解してないんだなともう絶対信頼できない」
などのツイートが見られた。
一方で、指原さんの対応には過去の自分と重ねた女性たちから賞賛とねぎらいの声も。
「『何言ってるんですか?』と松本人志に真顔で言い返した指原さんは本当に偉いと思う。若い頃、その手のセクハラ発言をされた時に『やめてくださいよ、もう』とへらへら笑うしかできず、さらにそれが大人の対応だと思っていた自分が恥ずかしい」
「指原さんのことよく知らなかったけど、松本人志という、芸能界ではたぶん皆が意見できなくなってる存在に対してよくがんばって、ちゃんと被害者を守ろうとする意見を言ってくれた。素晴らしい勇気だ。松本さんが変わることは難しいかもしれないが、ワイドナショー製作陣は反省してほしい」
ダンマリ決め込むフジテレビ、それでいいの?
フジテレビの制作方針が問われている。
shutterstock/kenstockphoto
こうしたネットの反響を受けてか、指原さんは1月15日深夜にTwitterを更新。
「ワイドナショー、緊張しすぎて本当に記憶がほとんどなく… 改めて録画をチェック… … …… …松本さんが干されますように!!!」「今回の出演でたくさんの方から感想をいただきました。今回のお話だけではなく他のこともコメンテーターとして発言する上で、もっと勉強して、堂々と強く意見できるように努力します!」と投稿した。
これに対し松本さんは「指原様〜」と一言。
指原さんのリプライ欄には「ネタにしてあげてる!優しい!」「強い者や権威に遠慮せずに、自分の考えを正直に話せる莉乃ちゃんのままでいてください」、松本さんにのリプライ欄には「指原さんに救われた松本さん」「あの発言はまじでダメでしたよ ちゃんと反省してくださいね」などのコメントがついていた。
Business Insider Japanはフジテレビに松本さんの発言についての見解や、それを受けた視聴者からの批判をどう受け止めているかなどを問い合わせたところ、以下のような回答が返ってきた。
「視聴者の皆様からはさまざまなご意見を頂戴しており、今後の番組作りの参考にさせていただきます。
なお、これ以上の制作の詳細についてはお答えしておりません」
Twitter上ではワイドナショーへ抗議のコメントを送るフジテレビホームページや、放送倫理・番組向上機構(BPO)の窓口を案内するツイートも見られる。
先日、『週刊SPA!』が「ヤレる女子大学生RANKING」という記事が女性軽視だと大きな批判を受け、謝罪のコメントを出すとともに抗議の署名を集めた女子大学生らと対話の場を設けたことが話題になった。
メディアの責任が問われることが多い昨今、制作責任者が会議室にいるままではいけないだろう。
(文・竹下郁子)