サーブ承継のEVメーカー、中国の不動産最大手が買収

サーブ

NEVSは2012年にスウェーデンの老舗自動車メーカーサーブの事業を承継した。

REUTERS/David W Cerny

中国最大の不動産コングロマリット恒大集団傘下の恒大健康は1月15日夜、EV企業ナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン(NEVS)の株式の51%を9億3000万ドル(約1000億円)で取得したと発表した。

取得額のうち4億3000万ドルは支払いを済ませており、残りの額も1月中に支払う。

NEVSは2011年に経営破綻したスウェーデンの老舗自動車メーカー「サーブ」の事業を承継した企業で、当時は香港のナショナル・モダンエナジー・ホールディングが51%、日本の投資会社サン・インベストメントが49%を出資していた。

経営再建の過程でスウェーデンの工場を閉鎖し、2015年に天津工場を建設。2017年にブランド名を「NEVS」に変更し、中国向けの電気自動車(EV)にシフトした。

恒大トップ

中国屈指の富豪でもある恒大集団の許家印会長。ファラデーとの泥沼の争いを経ても、EV進出への意欲は健在のようだ。

Reutes

恒大は買収にあたって「中国は世界最大の自動車生産・販売国であり、自動車業界はEVシフトが加速している。当社は不動産ディベロッパーからハイテク企業への転身を図っており、再びEV企業を取得することに決めた」とコメントした。

恒大は2017年11月末、一時期は「紅いテスラ」として世界で話題になった中国発の米EVメーカー、ファラデー・フューチャー(FF)の経営危機に手を差し伸べ、新会社(恒大FF)の設立と出資などで合意、FFブランドのEV車の量産化を目指していた。だが2018年10月、ファラデー創業者の賈躍亭氏が恒大との“絶縁”を求めて、香港国際仲裁センターに仲裁を申し立て。両社の争いが泥沼化していた。

恒大は強豪サッカークラブ「広州恒大」のオーナー企業としても知られ、創業者の許家印(シュー・ジアイン)会長は、アリババのジャック・マー(馬雲)会長、テンセント(騰訊)のポニー・マー(馬化騰)会長と、中国の富豪トップの座を常に競っている著名起業家。

恒大のNEVS買収は、FFに見切りをつけるとともに、EV業界参入への意欲を、改めて示したものと言えそうだ。

(文・浦上早苗)

ソーシャルメディアでも最新のビジネス情報をいち早く配信中