シャープ傘下になったDynabook社 第1弾ノートPC発表、どれくらい「シャープらしい」のか

dynabook G

長年モバイル向けPCを生み出してきたDynabookが「これぞノートPC」と称する新モデル「dynabook G」。

元・東芝のPC事業子会社で現在はシャープ傘下のDynabook社は1月17日、新型ノートPC「dynabook G」シリーズを発表した。法人向けモデルは1月17日、個人向けモデルは1月24日に発売予定。

dynabook Gシリーズは、13.3型ディスプレイを搭載しつつ、約779gの軽さ、アメリカ国防総省制定のMIL規格にも準拠した堅牢性、最大約19時間ものロングバッテリーなどの特徴を備えた肝入りのノートPCだ。

dynabook Gシリーズは、dynabookブランド30周年を記念したモデルとしての側面が大きいが、一方でシャープグループとなって初のdynabook PCでもある。同社はシャープおよびその親会社の鴻海(ホンハイ)精密工業が持つ豊富な営業・生産基盤を活かすことを明らかにしていたが、第1号機であるdynabook Gにはどのような変化があったのか?

シャープ×dynabookのシナジーは液晶とコスト削減

シャープとdynabook

dynabook Gは、シャープ傘下になってから初めての製品。

ハードウエアで、最も“シャープらしさ”を感じる点は、ディスプレイだ。Gシリーズは13.3インチフルHD解像度(1920×1080ドット)のシャープ製IGZO液晶を搭載している。IGZO液晶はシャープ製品はもちろん、国内メーカーや海外では中国の小米科技(シャオミ)なども採用するなど、省電力性に実績のある液晶パネルだ。

Dynabook社長の覚道清文氏はGシリーズの特徴について「Dynabookが培ってきた軽量・薄型・堅牢設計技術と、シャープの軽量・高精細の省電力液晶技術が融合した結果」と話しており、最小で約779g、最大でも約859gの軽さと、最大19時間のバッテリー駆動を実現した背景には、シャープとのシナジーも活きていると強調している。

dynabookの堅牢性

例えば、薄型ながらもMIL規格や独自基準をパスする堅牢性は、東芝時代から続いているこだわりのポイント。

ただし、dynabookブランドとして、IGZO液晶の採用は今回が初めてではない。軽量化に大きく寄与する超高密度の回路設計技術や堅牢性担保の技術は、世界初のノートPCを生み出したdynabookが長年培ってきたものだ。

この点について、Dynabook社執行役員で技術・品質を統括する柏木和彦氏は「IGZO液晶は最新のものをいち早く取り入れた。いかにシステム全体の消費電力を下げられるか、軽くできるかを、シャープのもつ薄型・軽量な高精細技術を取り込みながらプロジェクト全体で取り組んでいった」と製品プロジェクト全体にシャープとのシナジーがあったと強調。

Dynabook 覚道氏

Dynabook社長の覚道清文氏。

さらに、取材陣からの具体的なコスト削減などがあったかという質問に対して、覚道氏は「具体的に何%削減と答えることはできないが、再編直後から調達レシーブ、VA、調達コスト削減の活動に取り込んでいる。全体としては調達コストは削減されている」と話している。

※VAとは:
Value Analysisの略。提供する価値を下げずに、原価を下げること。

なお、Dynabook社会長の石田佳久氏は、今後の端末はすべてシャープ製の液晶になるのかいう質問に対しては「優先順位は高いが、シャープ製しか使わないわけではない」と回答している。

AIoT技術については今後の展開、と石田会長

dynabook ロードマップ

シャープが中期経営計画で発表した、Dynabook社としての商品力強化のロードマップ。その中にはCOCORO+との連携の文字もある。

一方で、Gシリーズのソフトウエア面を見てみるとユーザー目線でシャープらしさを感じることは全くない。

石田氏は以前からシャープの家電などに搭載されているAIoT(同社のAI+IoTの造語)サービス「COCORO+」の搭載について検討していると話していたが、Gシリーズでは非搭載となっている。

これについて石田氏は「継続的に協議する」とする一方で、以下のようにCOCORO+側の開発方針について要望を述べている。

「PCはそもそもオープンなプラットフォームだが、COCORO+は家電などをメインにした埋め込み型のプラットフォーム。シャープがそこを開放するような方向に持っていきたい

シャープでは既に150機種以上の製品がAIoTに対応している。これをパートナーだけではなく競合他社にも開放できるように実現していって欲しい。もちろん(すでにプラットフォームを持っている)アマゾンやグーグルとの連携も含めて考えたい。

(中略)

ただ、いろいろなものがつながって便利に、というだけでは人はお金を払ってくれない。1つのパッケージとして月々いくら、という形にして新しく展開していきたいと考えている」(石田氏)

集合写真

写真左よりインテル日本法人社長の鈴木国正氏、Dynabook会長の石田佳久氏、同社社長の覚道清文氏、日本マイクロソフト社長の平野拓也。

石田氏はDynabook社の会長であると同時に、シャープの取締役兼AIoT戦略推進室長を務めている。今回の発表会では、あくまでDynabookとしてAIoT技術をどのように活用していくかという質問だったが、サブスクリプション型のパッケージサービスも視野に入れた幅広い展開を考えているようだ。

(文、撮影・小林優多郎)

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