1月21日から、QRコード決済のPayPayでクレジットカードを登録する際に個人認証作業が必要になった。
QRコード決済サービスを提供する「PayPay(ペイペイ)」は1月21日、2018年12月に予告していた本人認証サービス「3Dセキュア」の導入が完了したことを明らかにした。
3Dセキュアはクレジットカード会社が提供する本人認証サービスで、インターネット上のショッピングを安全に実行するために用意されている。事前に各カード会社のマイページなどで3Dセキュア用のパスワードなどを設定し、さらにPayPayアプリ側でそのパスワードを入力することで、クレジットカード番号やセキュリティーコード(CVC)以外の「本人しか知り得ないパスワード」で、安全性を保とうという仕組みだ。
dカード/dカード GOLDの場合、マイページから3Dセキュアの設定が可能だ(青い枠線は編集部によるもの)。
出典:NTTドコモ
また、PayPayは3Dセキュア導入に合わせて、クレジットカード経由での決済上限額を原則として以下のように改定。2018年12月に行われた「100億円あげちゃうキャンペーン」では、アップル製品やゲーム機などが主役だったが、今後それらのような高額製品をクレジットカードで購入するのであれば、必須の設定となるだろう。
- 本人認証がされたクレジットカードでの決済上限金額……25万円(過去30日間)
- 本人認証がされていないクレジットカードでの決済上限金額……2万円(過去24時間)および5万円(過去30日間)
まずは、クレジットカード側で設定しよう
PayPayにクレジットカードを登録する。家電量販店などで高額な商品を買うには「3Dセキュア」による個人認証が必要だ。
実際に3Dセキュアの認証サービスがどのような仕組みか、筆者の手持ちのクレジットカード「dカード GOLD(Mastercard)」で試してみた。
まず、前述の通り3Dセキュアの認証を行うにはカード側の設定が必要だ。名称はカード会社によって異なり、Visaでは「Verified by Visa」、Mastercardでは「Mastercard SecureCode」、JCBでは「J/Secure」と案内しているが、実際のページでの機能名はそのカードの発行会社によっても違うので注意。
筆者のdカード GOLDの場合は、公式ページのログイン後に表示される「会員ページ」の「設定・お手続き」の下方にあるセキュリティ欄の「インターネットショッピング本人認証サービス」から設定できる。
クレジットカード登録時、3Dセキュア認証が行われる
3Dセキュア非対応のクレジットカードの場合、認証に失敗して上限額を挙げることはできない。
無事、カード側の設定が終わったら、続いてはPayPay側での設定だ。まずは、アプリのバージョンは最新にしておく。
アップデートが完了すると、筆者が既に登録しておいたクレジットカードのイメージに「本人認証していません」というテキストが表示されていた。つまり、「このカードは使用はできるが、24時間で2万円もしくは30日間で5万円の決済上限がある」という意味だ。
なお、3Dセキュアに対応し、かつ設定済みのクレジットカードであればこのテキストをタップしていけば認証を実行し、決済上限を過去30日間で25万円まで上げることができる。ただし、筆者が登録していたKyashのリアルカードのように、3Dセキュア非対応のカードや設定していないカードだと「本人認証に失敗しました」という表示が出てしまう。
先ほど3Dセキュア認証の設定をオンにしたdカードを登録したところ。3Dセキュアの画面では、自分のカード番号(下4桁)のほかに、自分が設定した任意の文字列「パーソナルメッセージ」で、本当に自分が契約しているカード会社の入力画面なのかをチェックできる。
気をとりなおして、dカード GOLDをPayPayに登録するため、PayPayアプリのアカウント画面から「支払い方法設定」、「クレジットカードの追加」を開く。
そこで、カード登録の必要事項である「クレジットカード番号」「有効期限(月/年)」「セキュリティーコード」を入力し、追加を押す。うまく入力できていれば、自動的に3Dセキュアの認証画面が表示される。
とはいえ3Dセキュア対応は特別なものではない
個人認証後のクレジットカードイメージと利用した際のレシート。
無事、認証を終えると「支払い方法設定」画面に登録したカードが追加されている。今度は先ほどとは違い、カードイメージには「本人認証済」とあるので、このカードで支払う限りでは、過去30日間で25万円まで決済可能というわけだ。
新しく登録したクレジットカード経由でファミリーマートの支払いに使ってみたところ、普段のPayPayの使用感と変わらずに利用できた。PayPay側は既にアナウンスしていたが、「決済の度に3Dセキュアの認証が必要」というわけではない。
正直に言えば、3Dセキュア対応はECサイトではほぼ標準の仕様となりつつあり、ECのノウハウを多く持つヤフーとソフトバンクの合弁会社で、キャッシュレス業界において後発のPayPayが、なぜ最初から対応していなかったのか、という疑問は晴れない。
PayPayは「100億円あげちゃうキャンペーン」で大いに注目を集めたが、社会のインフラとなり得るサービスとしては、ようやくスタート地点に立てたのではないかと思う。
PayPayの今後の施策や追加のセキュリティー対策などは、引き続き注目したい。
(文、撮影・小林優多郎)