Hollis Johnson/Business Insider
- アキュラ(Acura)NSXの2019年モデルが登場。
- 2代目NSXは2016年に登場し、Business Insider カー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれた。
- NSXは高性能で使いやすいと評判。
- 2019年型アキュラNSXは、数年前に乗ったバージョンよりもさらに素晴らしい。
アキュラNSXは人気だ。大、大、大人気だ。Business Insiderのベン・チャン(Ben Zhang)も長年、1990年に発売された初代NSXのファン。2016年、我々は大幅に生まれ変わった2代目NSXをBusiness Insider カー・オブ・ザ・イヤーにも選出した。
なにがそこまで我々を魅了するのだろう?
NSXは、パフォーマンス、バリュー、テクノロジーの3つがほぼ完璧に揃っている。さらにスーパーカーの中で、日常生活において最も使いやすい。仮に楽しいことをすべて我慢すれば、アキュラのセダンと同じくらい穏やかで従順。
今はスーパーカーの黄金時代。信じられないほど魅力的な車があり、価格も幅広い。
フェラーリ、フォード、ランボルギーニ、マクラーレン、アウディ、ポルシェ、さらにマニアックなところでは、ブガッティ、パガーニ、ケーニグセグ。価格を重視するなら、バージョンアップしたシボレー コルベットやフォード マスタングもある。
その中でもNSXは特別。2019年モデルは、2016年に発表された2代目NSXのアップデートモデル。我々は、数年前に我々を大いに魅了したモデルと同じくらい、あるいはそれ以上に優れたマシンなのか確かめたかった。
2018年の年末、アキュラから19万5000ドル(約2100万円)の試乗車を貸してもらうことができた(ベースモデルは約1700万円)。オハイオで誇りをもって作られた1台だ。
見てみよう。
2019年型アキュラNSXは昨年10月に発表された。「サーマルオレンジ・パール」(プラス700ドル)が秋のマンハッタンの落ち葉とマッチしている。
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NSXの美しさは忍び寄る。フェラーリ488やフォードGTのような華やかさはない。ランボルギーニ アベンタドールやコルベットZR1にも及ばない。だが、そのデザインから目が離せなくなる。
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派手さはないが、数年前に初めて試乗した時と同じくらい見つめてしまった。目を離すことができない!
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よく考えれば理由は明らか。NSXは調和がとれたデザインの素晴らしい事例。プロポーションは丁寧に作り込まれているが、やり過ぎ感はない。
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エンブレムも控えめ。だが、完璧にマッチしている。
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ヘッドからテールまで優雅で上品。おそらく唯一、試乗車で気になったのは、不釣り合いなクロームのドアハンドル。フロントのクロームストリップは、グリルに合わせたブラックになっていた。
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ベントも控えめ。
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エアロダイナミクスを応用したサイドミラーもほとんど主張していない。
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ブラックのY字スポークのホイールは標準装備。カーボンセラミックのブレーキローターとオレンジの分厚いキャリパー……あまりマッチしていないが、オプションで1万600ドル。
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カーボンファイバー リアデッキリッド スポイラーは3000ドル。
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3.5リッター、500馬力のV6ツインターボは驚くほどコンパクト。もちろんミッドシップ。カーボンファイバー エンジンカバーはオプション。0-60mphは3秒、最高速度は時速191マイル(約307キロメートル)。
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NSXは、他の多くのミッドシップエンジンのスーパーカーとは違い、フロント・トランク、いわゆる「フランク」がない。トランクはエンジンハッチの後方にある。スペースは……おそらくキャリー・バッグ1つ分。
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フロントには、前輪を左右それぞれ独立して制御するモーター2基を搭載。エンジンをアシストするダイレクトドライブモーター1基を加えて、NSXは合計3基のモーターを搭載。V6ツインターボと3基のモーターでシステム最高出力は581馬力に達する。
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インテリアは「インディゴ」のレザー・シート。グレーのアルカンターラ。エクステリアがオレンジなので「ゲイター(Gator)」パッケージと呼ぶことにした。
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※アルカンターラ:天然スエードのような内装材。
9速DCTにはレースの経験をフィードバック。自動変速モード、あるいはステアリングに取り付けられたパドルシフトも使える。アナデジのメーター類はかなり実用的。
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インテグレーテッド・ダイナミクス・システム(Integrated Dynamic System)は、「QUIETモード」「SPORTモード」「SPORT+モード」「TRACKモード」の4つの走行モードを用意。公道なら、SPORTモードがベストだと思った。だが、NSXのエンジン音を楽しみたければ、TRACKモードがお勧め。このモードは刺激もマックス、最もアグレッシブな走りになる。
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試乗車のインフォテイメントシステムは古いままだったので、新型RDXでテストした。アップル CarPlayも使える。システムのパフォーマンスは良好。
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おなじみのアプリが並ぶ。
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ドライビング・データも表示可能。
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試乗車にはシリウスXMの衛星ラジオが登録してあった。USB/AUX入力、Bluetoothでのペアリングも可能。
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ELS Studio・プレミアムオーディオ・システムのサウンドは素晴らしい。このシステムは、Business Insider 2018年オーディオ・システム・オブ・ザ・イヤーを受賞している。
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さあエンジンをかけ、2019年型NSXのお手並み拝見!
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結論は?
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「再び、ホンダとアキュラはフラッグシップモデルをラインナップする。素晴らしい、人目を引くスーパーカー。客をショールームへ向かわせ、オーナーの自尊心を満足させる」
我々は2016年、NSXをカー・オブ・ザ・イヤーに選出した時に書いた。
「これからのホンダとアキュラの運命を決める1台」
まさにその通りだった。事実、アップデートされたNSXでのドライブは2年前と同じくらい楽しかった。
NSXはアキュラにとって、数が売れる車ではない。だがスーパーカーは、そもそもアキュラの主力ではない。主力はクロスオーバー。NSXはフラッグシップモデルとしての役割を果たせば、それで十分。
燃費は22mpg(約9.4km/L)と信じられないほど良い(JC08モードでは、12.4km/L)。ハイブリッドテクノロジーを用いた他のスーパーカー、例えばポルシェ918スパイダーならば、価格は10倍にもなる。
「NSXにできないことは何もない」
我々は数年前にそう書いた。
「街をのんびり流す? OK。ハイウェイをクルージング? OK。高性能な9速トランスミッションを操作して、4速か5速でコーナーに入り、レスポンスのいい、魅力的なアクセルワークを楽しむ? OK。まっすぐ突っ走る? OK。サーキット? OK。道路脇に停めてシリウスの衛星ラジオで『Little Steven's Underground Garage』を聴く? もちろんOK。シートは昼寝できるほどしなやか」
何ひとつ変わっていない。
大切なことは、スーパーカーは欲望の対象であり、そしてしばしば、極めて扱いづらいということ。10%のスリルのために、オーナーは90%のイライラに耐えなければならない。
NSXは違う。
ストレスフリーなQUIETモードならイライラはほぼ0%、TRACKモードならスリル100%。このセグメントの他のどんな車とも違う。
確かに、約20万ドル(約2200万円)は安くはない。だがスーパーカーの中ではリーズナブル。直前に乗ったランボルギーニは、さらに12万ドル(約1300万円)高かった。
結論としては、NSXの走行性能がずば抜けてベストなものかどうかは分からない。その名誉はコルベットかマスタングに。
だが本格的なスーパーカーの中で、NSXは際立っている。
写真:ホリス・ジョンソン(Hollis Johnson)
(翻訳:Ito Yasuko、編集:増田隆幸)