【独占】Tinder CEO「1年で売り上げ倍増の理由と日本市場での勝算」

オンラインデーティングの世界に革命を起こしたアプリ「Tinder」が本格的に日本進出を進める。1月24日、Tinderのエリー・セイドマンCEOが来日。Business Insider Japanは同氏に単独インタビューを行い、日本市場での経営方針について聞いた。

Tinder 記者会見

Tinder CEOのエリー・セイドマン氏。

撮影:岡田清孝

非ゲーム系で Netflixに次ぐ2位

「出てくる顔をスワイプしてマッチング」—— そんな革命的なコンセプトでミレニアル世代のデートの常識を覆したTinder。

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すでにローンチから7年が経つが、happnやHinge、Bumbleなどの後続アプリを抑え、いまもデーティングアプリの王者として君臨する。

注目すべきはここ2年の成長スピードだ。現在の有料会員数は約410万人だが、2016年からの2年間でアプリのダウンロード数は3.3倍に伸長。さらに2017年の売り上げは4億ドル(約438億円)、2018年には8億ドル(約876億円)と、1年で約2倍になったという。

この数字をアプリ市場全体から見てみると、最も多くの課金を記録した非ゲーム系アプリとして、Tinderは2017年と2018年の2年連続で、Netflixに次ぐ2位に輝いている。

「セックス目的のアプリ」ではない

swipelife

「Swipe Life」には、「大学生でオープンリレーションシップをするには」というタイトルの記事も。

「Tinderはただの出会い系アプリではありません。それはカルチャームーブメントです」—— Tinderのサイトには、そんな説明が書いてある。セイドマン氏も、Tinderの急成長の理由として、グローバルなコミュニティとそこから生まれるカルチャーの重要性を挙げた。

筆者が見る限りでも、Tinderはここ最近コミュニティ形成に力を入れている。英語版のみの提供だが、オウンドメディア「Swipe Life」やインスタアカウントも開設。「Swipe Life」の記事では、ポリアモリー(複数愛)やオープンリレーションシップ(オープンに複数人と交際すること)などのトピックも扱われ、「ミレニアル向け」アプリであることが強くアピールされている。

さらに、女性同士で友人を見つけられる新アプリ「Hey! VINA」や、大学生向けの新機能「Tinder U」(アメリカ版のみ)をローンチ。「一夜限りの恋愛(ワンナイト・スタンド)のためのアプリ」のイメージが強かった従来からの脱却を図ろうとしている。

Tinder 記者会見

Tinderは2018年、非ゲーム系アプリでNetflixに次ぐ消費支出(課金額)を記録している。

撮影:岡田清孝

こうしたTinder愛好家たちの支持を集めながら、力を入れるのは有料プランの充実だ。Tinderには月額2200円の「Tinder Plus」と、同3300円の「Tinder Gold」という二つの有料会員プランがある(男女によって差はあり、契約期間によって値段も変動)。

Netflixの1カ月のスタンダードプランが1200円であることを考えると決して安くはない値段だが、この価格設定についてセイドマン氏に聞いてみると、「それだけ恋愛や広い意味での“つながり”に価値を感じている人が多い」との答えだった。

また同氏は「大多数の人はTinderを無料で使っている。有料ユーザーの割合はとても少ないが、ビジネスを成り立たせていくには十分な人数だ」とも明かした。

ちなみに、Tinderの有料プランでは無制限の「Like」、月に一度、自分のプロフィールを自分のいるエリアで30分間優先的に表示させることができる「ブースト」機能、まちがえたスワイプを取り消して再検討できる「リワインド」機能などが使えるようになる。「Tinder Gold」ではさらに、誰が自分を気に入ったかを見られる機能も使えるようになる。

「人が多過ぎて出会えない」問題は?

Tinder

Tinderの人気はグローバルに広がり、ケイティ・ペリーなどもTinder愛好家であることを明かしている。

撮影:西山里緒

一方で、Tinderについて筆者の周りでよく聞くのは、「Tinderはマッチ率が悪い」「なかなかいい人と出会えない」という不満だ。

関連記事:広がる“若者のTinder離れ” マッチングアプリ離れても「#つながりたい」ミレニアルが向かう先は?

セイドマン氏も、ユーザーが増えるにつれて高まるマッチングの精度への不満は認識しているという。

この不満を解消する取り組みとして、レコメンデーション・エンジンの強化を同氏は挙げた。その内容について詳しくは伏せられたが、過去に右スワイプをした人のデータから、最適な人が表示されるような仕様になっているという。

また、ビジネス・ネットワーキングや、就活目的、そして海外旅行時にローカルの人とのつながりを求めて、といった活用のされ方も増え始めていると同氏は話した。

「Tinderは一つの目的のために使われるわけではない。例えばアメリカにいる18歳の大学生が、“ビジネス・ネットワーキング”のためにTinderを使うとは考えにくいが、東京やニューヨークにいる25歳の人たちは、自分たちのニーズに合わせた使い方をするだろう」

日本市場のカギは「安心・安全」

Tinder 記者会見

Tinderの日本マーケティング担当である久次米裕子氏。

撮影:岡田清孝

現在、Tinderにおける日本市場の規模は、アメリカに次ぐ第2位だという。東京オリンピックに向けて、日本はさらに重要な市場になっていくとセイドマン氏は強調した。

市場拡大のためのキーとなるのは、安心・安全の確保だ。

「特に日本ではセキュリティ問題が重要だというのは、本社でも認識している」と、日本におけるTinderのマーケティング担当である久次米裕子氏は語った。実際、2018年には日本でもTinderを通じた出会いから起こった殺人事件も報じられている。

実際、Tinderではセキュリティシステムの確保にどのような施策を講じているのか?セイドマン氏は、以下の3つを挙げた。

  • 安全なユーザー体験を提供するためのカスタマーサポート
  • AIと機械学習を使った、問題ある会話やプロフィールの検知
  • ユーザー自身による報告機能

日本市場においては、「日本独自で、より安全にTinderを楽しめるような機能の追加を予定している」と久次米氏は付け加えた。

すでに190カ国超で使われているというTinder。2020年に向けてさらにユーザー層が拡大すれば、いくつもの「オリンピック・ラブ」がこのアプリから生まれることになるのかも、しれない。

(文・西山里緒、写真・岡田清孝)

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