Superpedestrian
- バード(Bird)やライム(Lime)といった電動シェアスクーター企業は、スクーターの故障やスクーターが壊われる問題に悩まされている。
- スタートアップ企業「スーパーペデストリアン(Superpedestrian)」は、問題はオンボード診断コンピューターと、スクーターのデザインをより頑丈なものにすることで解決できると考えている。
- 同社はまだサービスを開始していないが、電動シェアスクーター・レンタルサービスのプラットフォームを目指している。
電動スクーターのレンタルサービスは、シンプルなビジネスモデル ── セグウェイ-ナインボットやレーザーから電動スクーターを購入し、ユーザーがスクーターに乗るたびに課金する。
そして夜になると、小規模な請負業者ら ── ライムの場合は、ジューサーと呼ばれる ── が、バッテリーがなくなったスクーターを回収するために街を回り、バッテリーを充電してわずかなコミッションを得る。
こうした2つのシンプルな取り引きが、バード、ライム、ウーバー、リフト、そしてここ数年、世界中で電動シェアスクーター事業で巨大な評価額を得ていた企業の中核だった。
だがアメリカでは冬の到来とともに、冷徹な事実がこうした企業を襲った。過酷な環境下での走行が激しい消耗を招き、電動スクーターは壊れてしまっている。場合によっては、30日ももたない。
スタートアップ企業「スーパーペデストリアン(Superpedestrian)」は、そこにチャンスを見つけた。
設立は2013年、マサチューセッツ州ケンブリッジを拠点とするスタートアップ企業は、電動シェアスクーター・レンタルサービスのための「プラットフォーム」にを作ろうとしている。
同社の電動スクーターは故障などを診断するオンボード・コンピューターを搭載し、問題をメインセンターに知らせる。ユーザーが故障を連絡しないで済むようにする。
「都市交通に対する需要は急増する一方。唯一の解決策は基本的にスペースを切り詰め、都市に特化した小型車両を作ること」とCEOのアサフ・ビデルマン(Assaf Biderman)氏はBusiness Insiderに語った。
同氏はマサチューセッツ工科大学(MIT)のセンシブルシティー・ラボ(Senseable City Lab)で10年以上にわたって、都市生活の改善を目指して、ロボティクス、ビッグデータ、AIの研究に取り組んできた。
スーパーペデストリアンの価値は、ダメージが実際に発生する前に検知するところにある。
ビデルマン氏は、同社の「コア・ビークル・インテリジェンス・テクノロジー」は、スクーターであれ、自転車であれ、その内部に4つのコンピューターを搭載していると述べた。
スクーターや自転車以外、例えば自動販売機などにも、同社の診断テクノロジーは有用。バッテリーの充電状況から、タイヤのアライメント、空気圧まで、問題が起きそうな100項目を常時モニタリングする。
「完全に不可知論に設計している。なぜなら我々は、新たな状況は数カ月ではなく、10年、20年以上の年月をかけて形成されると理解している」とビデルマン氏。
「我々はまだ、人々の利用形態の最終形を知らない」
ビデルマン氏は、昨年12月に発表したスクーターは、3〜7日おきに充電すれば、9〜18カ月間使えると語った。この2つの数字は現状の電動スクーターよりもはるかに長く、このビジネスのファイナンス面から見ても革命的なものとなり得る。
現在のところ、スーパーペデストリアンはまだ同社のプラットフォームを使用するパートナーを1社も発表していない。だがビデルマン氏は「大手ライドシェア企業をはじめ、多くの企業と連携」していることを認めた。
同氏によると、車両は今年いずれかの時点で配備される予定。
「都市交通の変化に合わせて、車両に関する数多くの新しいテクノロジーが必要になる。新しいタイプの超小型車両から、メンテナンスを不要にするテクノロジーの進化、自動運転の統合など、数多くのテクノロジーが生まれる。スーパーペデストリアンはその中心に位置する」
(翻訳、編集:増田隆幸)