「極渦」の大寒波に襲われるアメリカ、そのメカニズムとは? なぜ頻発するのか?

雪に埋まる車

AP

  • 今週、「極渦(Polar Vortex)」がアメリカの中西部と東海岸を襲い、数百万人が氷点下の気温を体験している。
  • 極渦とは、北極圏と南極圏の上空を循環する冷たい空気の塊。時々、循環は不安定になり、北極の冷たい空気が南に流れ込む。
  • 1月31日朝、シカゴの体感温度は華氏マイナス45度(摂氏約マイナス43度)を記録した。例年よりはるかに低い。
  • アメリカ国立気象局は、数分で凍傷になる恐れがあると警告している。
  • 北極の氷が溶け続ければ、極渦現象はより頻繁に発生するようになる可能性がある。

「極渦(Polar Vortex)」が北米まで南下している。2014年以来のことだ。

中西部、およびニューイングランドの一部地域の住民、合わせて8400万人以上は、氷点下の寒さを体験しているとCNNは報じた。またCNNによると、中西部と北東部の1億4000万人に対して、低い体感気温についての勧告が出ている。

1月31日(現地時間)、ミネソタ州とウィスコンシン州では、体感気温華氏マイナス50度(摂氏約マイナス46度)を記録。ミネソタ州、ノースダコタ州、サウスダコタ州では、気温が例年よりも50度も低くなっているところがある ── 命を脅かす寒さだ。

今回の記録的な寒波が原因で11人が亡くなったとCNNは伝えた。犠牲者はイリノイ州、インディアナ州、アイオワ州、ウィスコンシン州、ニューヨーク州、ミネソタ州、そしてミシガン州に及ぶ。

シカゴの気温は1月30日夜、華氏マイナス21度(摂氏約マイナス29度)まで下がった。これは1985年に記録したシカゴの最低気温、華氏マイナス27度(摂氏約マイナス33度)にわずかに及ばない気温とシカゴ・トリビューンは伝えた

シカゴの住民にとって幸いなことにも、この寒波は週末には終わる見込み。アメリカ国立気象局によると、2月3日には気温は華氏46度(摂氏約8度)になる ── 31日朝の気温から華氏で60度近い上昇(摂氏では30度以上の上昇)となる。


極渦とは、北極圏と南極圏の上空の成層圏を循環する低気圧性の冷たい空気の塊。冬、循環は時々弱くなることがあり、冷たい空気が循環から分離して、南下、さらにジェット気流によって運ばれる(ジェット気流、いわゆる偏西風は、北極圏の空気と南側の空気を分けている)。

極渦が弱まると冷たい空気が南下し、ジェット気流で運ばれる。

極渦が弱まると冷たい空気が南下し、ジェット気流で運ばれる。

BI Graphics/NOAA

極地の空気の塊は昔から存在したが、2014年に初めて「極渦」と名付けられた。同じような寒波(今回ほど深刻ではないが)がアメリカ大陸の大部分を襲った時だ。

「極渦」現象はより頻繁に発生するようになるだろう

トランプ大統領はツイッターに反論を投稿しているが、極渦の影響は地球温暖化についての科学的コンセンサスと相反するものではない。

極渦は、数日もしくは週単位に及ぶ地域的な気象現象を引き起こす。後者は、大気中の温室効果ガスの濃度上昇が引き起こす地球規模の現象と考えられている。世界の平均気温は依然として過去最高レベル、そして海水温も観測史上、最も高くなっている。

事実、近年の研究によると、冬に極渦現象が発生する頻度は過去40年間で増加している。おそらく気候変動が原因だろう。

不明点はあるものの、研究者たちは極渦現象と北極の温暖化を結びつけ始めているとインサイドクライメイト・ニュース(InsideClimate News)は伝えた。カンバセーション(The Conversation)によると、北極の気温は、地球上の他の地域の2倍の速さで上昇しているため、北極と低緯度に位置する大陸の気温差は縮まりつつある。

気温差が小さいことは、気圧差が小さいことを意味し、ジェット気流を弱めることにつながる。その結果、ジェット気流が蛇行し、流れがより長くなってしまう可能性がある。

ジェット気流の蛇行が大きくなれば、極渦の本来の流れも壊れてしまう。


[原文:A polar vortex is engulfing the US. Here's what that really means, and why these events might be getting more common.

(翻訳:Yuta Machida、編集:増田隆幸)

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