強気のLINE 37億円の最終赤字も、600億円戦略投資へ ── LINE Payなど3年以内の収益化を宣言

LINE 決算会見

1月31日、東京・新宿のLINE本社で2018年12月通期決算説明会が開催された。

LINEは1月31日、2018年12月期の通期決算を公表した。売上高は前年比24%増で過去最高となる2071億8200万円、営業利益は前年比35.8%減となる161億1000万円と増収減益。また、2018年の最終損益は37億1800万円の最終赤字となった。通期決算の赤字は、LINEが2016年7月に上場して以来初めて。

LINE 通期業績

LINEの2018年の通期業績。売上収益は前年比で増加したものの、主に戦略事業への投資が増えた。

同社は赤字のおもな要因として、AIやモバイル決済、コマースなどを含む戦略事業、コア事業である広告事業のシステム全面改修などの投資損失が影響していると説明。出澤剛社長は2018年当初から前述の内容に関して先行投資を進めると話していた。

2018年にLINEが掲げていた戦略事業に関する投資額の規模は300億円。決算会見で出澤氏は、「2019年は600億円規模の戦略事業に対する投資を行う」と発言した。

投資規模600億円の大部分はLINE Payへ

LINE Payの2018年

LINE Payの2018年サマリー。

600億円の使い道は何か。戦略事業としては2018年から引き続き、金融、コマース、AIが挙げられているが、出澤氏はその大部分が「LINE Payへの投資」だと語る。

2018年は、LINEだけではなく数多くのモバイル決済事業者にとってに非常に大きな成長がともなう年だったLINE Payに関しては、グローバルでの決済高が2018年で前年比126%増となる1兆687億円を達成。日本においてはJCBの提供する非接触決済「QUICPay」との提携により、加盟店数が133万カ所まで増加した。

LINE Payの支払い手段

LINE Payにはさまざまな支払い手段が提供されている(写真は2018年11月に開催されたLINE FinTech Conferece 2018で撮影)。

出澤氏は2019年、ユーザーと加盟店の拡大に加え、「キャンペーンや還元施策など、ユーザー向けマーケティングを強化する」と語った。また、同社の取締役CSMOの舛田淳氏も決算会見で「業界をあげてモバイルペイメントのほうが便利、トクをするという環境をつくるのが大事。2019年に関しては、LINE Payを使う必然性を設定していく、というのが基本的な考え方」と方向性を明かしている。

収益化は「3年以内」、最も早いのは金融分野か

LINE 金融分野

LINEが最も早い収益化を見込んでいるのが「金融分野」。

決算会見では投資額の増加だけではなく、投資を行ってきた戦略事業の収益化についても触れられた。現在は戦略事業のほとんどの分野で投資額が先行しているが、出澤氏は「3年以内の収益化達成を目標とする」と発言した。

各分野における3年間の具体的なロードマップは明らかではないが、同社の金融分野に対する期待はやはり大きい。

金融分野は、LINE Payや保険、投資事業など、2018年に同社が最も手を広げた分野だ。2019年には野村證券との「LINE証券」やスコアリング事業の「LINEスコア」のリリースが予定されている。今回の“3年以内の収益化”の対象外だろうが、2020年の事業スタートを目指す銀行業「LINE Bank構想」も進んでいる。実際、出澤氏は「金融がとくに速く収益ポイントに達するだろう」との見解を示している。

LINE Payなどの購買データの広告利用がスタート

LINE 広告

LINEが提供する広告掲載の一例。

出典:LINE

金融事業の収益化は、2019年に1歩前進する。LINEの最も大きな収益は広告事業だが、同社はLINE PayやLINEショッピング、LINEデリマなどのコマース事業で得たユーザーの傾向データを基にしたマッチング広告をスタートする見込みだ。

LINEはすでにユーザーの位置情報やトークルームなどの情報(会話の中身自体ではなくテキストなのか、どんなスタンプなのか等の抽象化された情報)を持っている。LINE Payなどの購買傾向の情報も加わることで、LINE NEWSのディスプレイ広告やSmart Channel広告などで「服飾系の商品をよく買う人には、ファッション系の広告を表示する」といった機能が実現し、広告価値の向上につながるというわけだ。

LINE 出澤剛

2019年は広告分野のさらなる成長を見込んでいるものの、2018年から引き続き「全体としては投資先行となる」と語る出澤氏。

同社はLINE Pay単体では、2019年内にグローバルMAU(月間アクティブユーザー)を1000万人にすると宣言。また、出澤氏は「(グローバルでの決済高も)現在の2倍程度の規模にしたい」と話している。

2018年は「キャッシュレス元年」と言われたが、2019年もその勢いを緩めないLINEのキャッシュレス施策に今後も目が離せない。

(文、撮影・小林優多郎)

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