「ウェブ面接で仕事確保→地方移住」人手不足に苦しむ宮崎・日南市が導入した“切り札ツール”とは

宮崎県日南市

美しき宮崎県の日南海岸。写真は「鬼の洗濯板」と呼ばれる波状岩。

Shutterstock.com

札幌、仙台、福岡……鉄道や飛行機の便がいい地方中枢都市では、近年、軒並み人口増が続いている。地方のまた地方から、都市部への流入が続いているためだ。反対に、地方の中小都市の人口減少には歯止めがかからない状況が続いている。

そんな苦境を背景に、各地方でさまざまな移住促進の取り組みが続くなか、東京から飛行機で1時間30分、さらに電車で1時間ほどの距離にある宮崎県日南市で、「これまでありそうでなかった」あるプロジェクトが始まった。

移住希望者と行政の相談窓口、あるいは移住希望者と人材を必要としている地元企業をつなぐ、オンライン面談サービスの導入がそれだ。

交通費をかけずに地方移住の準備を済ませる

日南市 ブルーエージェンシー

1月31日の協定締結式にて。中央がブルーエージェンシーの前田裕人代表。その右隣が日南市の﨑田恭平市長。

提供:Blue Agency

Business Insider Japanの記事でも以前取り上げた、ウェブ面接ツール「インタビューメーカー」を手がけるブルーエージェンシーは1月31日、日南市との連携協定を締結。移住希望者や求職者と日南市をつなぐウェブメディア「移職住(いしょくじゅう)」を立ち上げ、同市の移住コンシェルジュへの相談や、地元企業との面接をオンライン上で行えるよう、ウェブ面接機能を実装した。

移住希望者や求職者は、飛行機などの交通費をかけて現地を何度も訪れることなく、地元の行政や企業から直接情報を収集したり、移住後の生活基盤となる働き口を確保したりできるようになる。

インタビューメーカーは、2016年5月のβ版リリースからわずか1年で導入企業800社を突破。2017年5月には正式リリースを果たし、2018年8月時点で1000社を超えた。全日本空輸(ANA)、西武鉄道、アサツー・ディ ケイ(ADK)、東芝、コーセーといった有名企業が、導入事例にズラリと名をそろえる。

参考記事:全日空、東芝、ADK…2年で1000社以上殺到。就活経験ナシの25歳が作った「ウェブ面接ツール」

ブルーエージェンシーの前田裕人代表は、上記の記事でウェブ面接ツールのメリットを次のように語っている。

「就職や転職は人生にそう何度もない、人生を大きく変えるチャンス。にもかかわらず、地方に住んでいるとか、身体的なハンディキャップを負っているといった理由だけで、チャンスを得られないことがままある。両者の出会いのきっかけをつくり、チャンスを広げることが、自分のやるべきことだと思っています」

今度は方向が逆で、ウェブ面接ツールを使って距離が生み出す機会損失をなくし、都市部に住む移住希望者や求職者が地方と出会うきっかけをつくろうというわけだ。

本拠を地方に移すIT企業が起爆剤に?

blue_interviewmaker

ウェブ面接ツール「インタビューメーカー」のウェブサイトより。導入事例を一気に増やし、最近はフリーアナウンサーの内田恭子さんをPRキャラクターに起用。認知度拡大を進めている。

出典:Blue Agency HPより編集部キャプチャ

インタビューメーカー

ウェブ面接ツール「インタビューメーカー」は、ウェブ面接だけでなく、応募者のステータス管理や出稿中の求人広告管理や広告効果の計測など、採用管理システムを一括で提供する。

提供:Blue Agency

直線距離でおよそ900キロ離れた日南市まで足を運ぶことなく、東京で日南市の地元企業と出会えるこの仕組みは、ウェブメディア「移職住」を通じてだけでなく、リアルのイベントにも導入される。2月半ばに東京・新宿で開催される日南市の移住相談会では、初の「ウェブ就職相談」が行われる予定という。

日南市の移住定住相談窓口によると、関東在住のIターン希望者からの相談が増えており、2013年から2017年までの5年間で、相談件数は約3倍(145→431)、移住者数も約4倍(30→129)と移住者を増やしている。

「日南市は現在の﨑田恭平氏が2013年に市長に就任(当時33歳)してから、商店街や城下町の再生で実績を挙げ、IT企業の進出が続くなど注目を集めています。東京から九州への移住というとかなりハードルが高そうですが、ウェブ面接のような新しく合理的な採用手法と、あえて地方を拠点に選ぶIT企業のニーズは重なるところもあるでしょうから、その分野が起爆剤になるかもしれません」(地方創生事業を手がける人材コンサルタント)

ウェブサイト「移職住」には、開設時点で10以上の「ウェブ面接OK」求人が掲載されている。日南市がマッチングの実績を伸ばせるかどうか、人口減少と人手不足に苦しむ地方都市にとって「インタビューメーカー」が有効な人材確保ツールとなり得るのか、今後に注目したい。

(文・川村力)

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