インスタ世界記録「卵」の広告掲載料、スーパーボウル30秒スポットよりも高額

この記事は、Business Insiderのプレミアム・リサーチ・サービス「Business Insider Intelligence」の調査レポートをもとにしています。


インスタグラムの「いいね!」世界記録を持つ「卵」の最初のブランド広告は、スーパーボウルの30秒スポット広告よりも高額になる可能性がある。ベイナーメディア(VaynerMedia)のダイレクト販売のトップ、ニック・シャーマ(Nik Sharma)氏がアトランティック(The Atlantic)にコメントした。

インスタグラム・アカウント「world_record_egg」の初投稿

Instagram

シャーマ氏によると、最も人気のインスタグラム投稿の広告スペースには「少なくとも1000万ドル(約11億円)の価値」がある。一方、今年、CBSがスーパーボウルの30秒スポット広告の料金として広告主に請求した最高額は525万ドル(約5億8000万円)

2月1日現在、インスタグラムアカウント「world_record_egg」の投稿は5190万件の「いいね!」を集めている。1日以降も同アカウントは卵の画像を投稿し続けている。徐々に殻のひびが大きくなってきており、間もなく生まれるようだ。現在、フォロワーは970万人

ブランドの関心を引きつけている「卵」の力は、口コミ情報が将来の一流広告スペースになり得ることを示している。さまざまなブランドが今、この「卵」に広告を掲載しようと競っているだろう。「なぜなら2019年は、口コミがブランド確立のチャンスとなるから」。

ただし「卵」そのもののスポンサーになることが真のチャンスになるわけではなさそうだ ── アカウントの運営者は「卵」を反トランプ的なアピールに利用しているようだ。

さらに「卵」は多くの模倣アカウントを生み出した。ブランドが模倣しているケースもある。いずれもソーシャルでの影響力を活用し、多くのアテンションを集めようとしている。ブランドはどのようにして、このチャンスを評価すればよいのだろう。

「卵」が評価されていることは、ブランドが大きな力を持つテレビから全般的に離れつつあることのサインかもしれない。

スーパーボウルの広告と比べて、「卵」は広告スペースとして高額なだけでなく、ブランド認知度、リーチ、インプレッション、コンバージョンといった多くの重要なROI指標において、より価値が高く、効果検証も直接的だろう。

その要因は以下の2つにある。

  • 若者のメディア習慣の変化:スーパーボウルの人気は衰えていない。ニールセンによると、第52回スーパーボウルは1億411万人が視聴した。だが、若者のテレビ離れは進んでおり、NFLの視聴者は年配者と男性に偏っている。一方、インスタグラムは今、世界中で10億人ものユーザーを引きつけている。アメリカの若者は全員と言っても過言ではない。パイパー・ジャフレー(Piper Jaffray)によると、アメリカの10代の85%が少なくとも月に1回はインスタグラムを利用すると回答した。インターネットが若者にとっての新しいゴールデンタイムとなっている。グーグル/イプソス(Google/Ipsos)によると、アメリカの10代の71%が1日3時間以上、オンラインで動画を見ると回答、また51%が1日3時間以上、SNSを利用すると回答した。
  • 口コミ情報の自己再生力:さらに、口コミ情報は従来のテレビ広告よりも寿命が長い。絶えず繰り返され、再生され、時間とともに進化する。人気の高い口コミ情報は永久に存在し得る。インターネットユーザーが将来、いつでも復活させるからだ。これはスーパーボウル広告には当てはまらない。スーパーボウル広告はゲームとともに忘れられてしまう。

ソーシャルメディアの口コミ情報に賭けることがブランド投資の未来であるなら、少なからぬリスクと反動もある。何がオンラインで話題になるかは、概ね予測不能。自然発生的で、気まぐれで、「いいね!」やシェア、ビューなどで雪だるま式にアテンションが集まる。

こうした成り行き任せな現象の活用にこだわると、ブランドは強引、無分別、あるいは無計画に出費を重ねることになる。つまり、ブランドは浪費のリスクを負う。口コミ情報の風向きは急変する恐れがあるし、実際、急変する。

さらに、口コミ情報を活用すると決めたブランドは、効率的なクリエイティブを運用していくために、チームを迅速に動かす必要がある。一方、スーパーボウル広告を行うブランドはプランニングに優雅に数カ月もかける。

リスクはあるものの、ブランドが口コミ情報を通して、アテンションやコメントを活用、あるいは自身で運用することのポテンシャルは極めて大きい。

ネットフリックスのようにオーガニックな口コミ情報の拡散から恩恵を受けたブランドも、次第に、ほぼ成り行き任せだったプロセスをよりコントロールしようと試み始めている。

例えば、ネットフリックスは今、数百のバズフィード(BuzzFeed)の人気クイズづくりに貢献した19歳の人物を雇おうとしている。ブランドが探し出し、雇わなければならない人物は、口コミ情報を広げる方法とその理由、口コミ情報とインターネットカルチャーの多種多様で、小さな兆候に詳しい人物。

そうしたエキスパートならより確実に、絶好のチャンスなのか、そうではないのかを見抜くことができる。そして不適切な広告出費を防ぐことができる。

[原文:Battle of the ad phenomena: The Instagram Egg vs. The Super Bowl (FB, CBS, NFLX)

(翻訳:Ito Yasuko、編集:増田隆幸)

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