過去最高益のソフトバンクが大規模通信障害後も「スマホ中心」である理由

ソフトバンク 決算会見

2018年度第3四半期決算を発表するソフトバンクの宮内謙社長。

ソフトバンク 決算サマリー

ソフトバンクの2018年第3四半期の決算サマリー。

出典:ソフトバンク

ソフトバンク株式会社は2月5日、2018年12月の東証一部上場後初めてとなる2018年度第3四半期決算を発表した。

累計売上高は2兆7767億円で前年同期比5%増、累計営業利益は6349億円(同19%増)、純利益は3959億円(同19%増)となり、増収増益決算となった。ソフトバンク社長の宮内謙氏は「過去最高益、最高売上」と上場後も変わらぬ好業績をあげていることアピールした。

同日公表された2018年度の業績予想も同様で、売上高3兆7000億円(前年から3%増)、営業利益7000億円(同10%増)、純利益4200億円(同5%増)となっている。

全国規模の通信障害後も、通信事業は稼ぎ頭

ソフトバンクショップ

都内のソフトバンクショップ。ワイモバイルの看板も掲げた「ダブルブランドショップ」は全国1500店舗以上で、好調だという。

ソフトバンクと言えば、2018年12月6日13時39分ごろから18時4分までの4時間25分の間、全国3060万回線で音声通話およびパケット通信が利用できない、またはつながりづらい状況が発生した通信障害が記憶に新しい。障害の原因はエリクソン製の交換機の異常によるもので、12月27には、ソフトバンクから総務省へ「通信障害に関する重大な事故報告書」が提出されている。

これを受け、ソフトバンクは2018年12月7日時点の予想として「業績および1株当たり配当金の予想値に変更はございません」とリリースを発信していた。今回公表された数値を見ると、2018年度第3四半期の個人向けモバイル事業の売上高は、4087億5300万円と前年同期比で約3.7%増。個人向け携帯電話(スマートフォンおよびフィーチャーフォン)の回線解約率も0.81%と、前期比では0.1%増加しているが、前年同期比では0.02%減とほぼ例年通りの水準に落ち着いている。

ソフトバンク スマートフォン契約者

ソフトバンク内の各ブランドのスマートフォン累計契約数は、2146万契約。細かい数字は公表されなかったが、このうち2割ほどがサブブランドのワイモバイルによるものだという。

宮内氏は「スマホはインターフェースとしてまだまだ発展する。世の中的には通信事業はまだ伸びないんじゃないかと言うが、これからもっと大きなビジネスチャンスがあると心から思っている」と、同社の決算では初めて公表するスマートフォンのみの累計契約数の成長率(今期は前年同期比で10%増の2146万件)を出しつつ、通信事業の成長余地を強調した。

スマホを中心とした新サービスの成長を目指す

ソフトバンクの戦略

ソフトバンクはスマートフォン戦略として、スマートフォンの更なる普及とスマートフォンの活用シーンの拡大を目指している。

ソフトバンクが「スマートフォン推し」の理由は、通信事業の好調さだけではない。スマートフォンで利用できるさまざまな日本向けサービスを、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資する企業とソフトバンクのジョイントベンチャーなどとして提供し、ある程度の成果を上げ始めているからだ。

ソフトバンクが共同で提供するサービス

ソフトバンクがグループ会社もしくはジョイントベンチャーなどを通して提供しているサービスは、どれもスマートフォンが中心。

決算会見では代表例として、モバイル決済の「PayPay」、配車サービスの「滴滴出行(DiDi)」、レンディングサービスの「J.Score」、証券取引アプリの「One Tap BUY」などを挙げられていた。

とくに、2月4日に第2弾の100億円還元キャンペーンを発表したPayPayについて宮内氏は「現在は赤字」としつつも、「少なくても数年後には黒字転換するのではないかという計画」と話す。

また、シェアオフィスを提供する「WeWork」についても国内メンバー数が約9500人に達し、入居率はほとんどの拠点で99%を超えていると発表。宮内氏は「2019年度には4万席、将来的には10万席程度」と目標としている規模感を明かし、「(売上高が)1000億円を超えるユニコーン企業が(WeWorkから)3年以内に生まれる」のではと予想した。

WeWork

ソフトバンクと親会社のソフトバンクグループは、2020年度内に本社を東京都港区海岸一丁目に移転予定。新オフィスのデザインはWeWorkが担当し、WeWorkの新拠点も同時に設置される予定。

出典:ソフトバンク

上場後もなお、スマートフォンを中心にビジネスを広げるソフトバンクだが、政府が押し進める「4割値下げ」や「通信と回線の完全分離」の施策の影響を受けつつも、順調な成長を続けられるのかは注目される。なお、親会社であるソフトバンクグループの決算説明会は、2月6日16時から開始予定だ。

(文、撮影・小林優多郎)

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