スタバ・カナダが売れ残り食品を100%寄付。食品ロス大国の日本でも削減の法制定へ

スターバックス店舗

アメリカだけでなく、カナダでも売れ残った食品の寄付を発表したスターバックス(写真はカナダ国内の店舗ではありません)。

REUTERS/Benoit Tessier

スターバックス・カナダは2月4日、売れ残った食品を100%寄付すると発表した。

サンドイッチ、サラダやヨーグルトなど、要冷蔵で消費期限があるメニューも多い中、このような取り組みをスタートさせる。カナダ国内の1100店舗で、口がつけられなかった商品を年間150万食以上、提供するという。

スターバックスはBusiness Insider Japanの取材に対して、「アメリカでも同様の取り組みを2016年に開始し、これまで1000万食を必要とする人へ届けてきた。カナダでも広がることを大変嬉しく思っている」と回答した。

8世帯に1世帯が困る一方、60%もの食品を廃棄

starbucks

Twitterではスターバックス・カナダに対して、「素晴らしい!他のチェーン店やレストランも見習ってほしい」などの声が目立つ。

出典:スターバックス・カナダHPより

スターバックスは、セカンド・ハーベストという食品ロスに取り組む団体とともに事業を進める。同団体は企業や個人から、まだ食べられる食品を集め、生活困窮者などの食べ物を必要としている人や組織に届けるフード・バンクだ。

スターバックスがセカンド・ハーベストをパートナーとして選んだのは、同団体がカナダの食品ロスの実態調査に力を入れてきた実績もあるからだろう。セカンド・ハーベストは1年にわたり、食品の生産から消費・廃棄までの過程を調査し、カナダでは8世帯に1世帯(12.6%)が満足に食べられていないにもかかわらず、生産された食品のうち約60%が廃棄されていることを明らかにした。

近年では、食品業界のカーボン・フットプリント(原材料調達から消費・廃棄に至るまでの全体のサイクルを通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算する仕組み)のうち6割は、結局廃棄される食品により生まれているという。

食品廃棄

カナダでは400万人もの人々が食に関して、何かしらの不安を感じているという。

Justin Sullivan/GettyImages

スターバックスは、すでに寄付していた菓子パンなどに加えて、冷蔵を必要とするサンドイッチやヨーグルトなども提供できるよう、入念な調査と品質保証のテストを繰り返してきたとしている。適切な温度の維持方法や、味や食感の保ち方について、ガイドラインやトレーニング方法も策定した。

パートナーのセカンド・ハーベストは、地域コミュニティとも協力して、規定の食品安全基準を保ちながら、食べ物を収集できるようにする。

要冷蔵品も安全に提供できる

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出典:スターバックス・カナダFacebookページ

国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の「目標12:つくる責任つかう責任」には、「2030年までに小売り・消費レベルにおける世界全体の1人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」 という項目がある。

スターバックス・カナダは、食品ロスに対する消費者の意識の高まりや気候変動の深刻な状況を挙げ、これからも環境や社会にやさしい取り組みを実施していくとしている。

スターバックス・カナダのバイス・プレジデントのルイサ・ギロット氏は、今回の取り組みの発表に際し、「カナダで400万人以上の人々が食べ物に困っている中、食品ロスは、飲食業界で働くすべての人の重要な問題だ。現状を受け入れるべきでない。品質を確保しながら、消費期限のある要冷蔵食品を安全に提供できるようになったため、我々は問題解決に取り組んでいく」と語っている。

廃棄される恵方巻は10億円分

日本では、節分を過ぎて大量廃棄される恵方巻が、2019年も話題になっている。

関西大学の宮本勝浩教授は、廃棄される恵方巻の損失額が約10億円にものぼるというデータを発表した。

事態を重く見た農林水産省は1月、小売業界に対して、需要に見合った量の販売をおこない、廃棄量を減らすよう呼び掛けていた。

日本国内で、まだ食べられるのに廃棄される食品は、年間646万トンにも上る。1人当たりに換算すると、毎日お茶碗1杯分の食品を廃棄していることになる。この646万トンは、飢餓に苦しむ人々に向けた、世界の食糧援助量の2倍にも相当する。

しかも、生産・廃棄されるためには、膨大な量の水、肥料、エネルギーなどが費やされている。結局、誰も食べずに捨てられる食品を生産・廃棄する過程で、地球環境まで悪化させるのは無駄なだけでなく、環境に対して無責任なことでもある。

日本でもフードバンク支援の議員連盟

フードバンク

アメリカでは1960年代以降、食べられるのに廃棄される食品の多くがフードバンクを通して、生活困窮者等に寄付される動きが広まった。

Ariel Skelley/Gettyimages

一方、日本でも日々の食事に困る人もいる。

東京都の「子供の生活実態調査」(2017年)では、保護者の1割が過去1年の間に、お金が足りず、家族が必要とする食料を買えないことがあったと答えている。

厚生労働省によると、日本の相対的貧困率は16.1%にのぼる。日本でも、食べ物に困っている人は少なくないのだ。

日本ではまだ、全国規模で食品会社や飲食店が廃棄前の食品を表立って寄付する段階には至っていない。だが、2018年12月には上記のセカンド・ハーベストのようなフードバンクの支援を推進する議員連盟が、日本でも発足した。

アメリカやカナダでは、善意で寄付した食品であれば、その後受益者に害が及んでも、故意や重過失がなければ法的な責任が免除される、という法律が1990年代に施行されている。このような法律があるからこそフードバンクによる食品の寄付が普及し、スターバックス・カナダのような取り組みが可能となっている。

日本の超党派議員連盟は、今国会で「食品ロスの削減の推進に関する法律」の成立を目指している。

大倉瑶子:米系国際NGOのMercy Corpsで、官民学の洪水防災プロジェクト(Zurich Flood Resilience Alliance)のアジア統括。職員6000人のうち唯一の日本人として、防災や気候変動の問題に取り組む。慶應義塾大学法学部卒業、テレビ朝日報道局に勤務。東日本大震災の取材を通して、防災分野に興味を持ち、ハーバード大学大学院で公共政策修士号取得。UNICEFネパール事務所、マサチューセッツ工科大学(MIT)のUrban Risk Lab、ミャンマーの防災専門NGOを経て、現職。インドネシア・ジャカルタ在住。

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