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「カーナビ不要論」は本当?スマホにない強みと活路がここにある

カーナビゲーション付きの車を運転

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顧客満足を専門とする国際的な調査機関のJ.D.パワーは、2018年10月に「2018年日本ナビゲーションシステム顧客満足度調査」を発表した。

この調査は自動車ナビの使い勝手や満足度、今後の購入意向等をユーザーに尋ねるもので、自動車純正ナビと市販ナビの2カテゴリーに分けて実施。J.D.パワーのオートモーティブ部門ディレクターである佐々木由至氏は、特に純正ナビに関心を寄せている。

「調査の裏側に見えるトレンドを読み解くことで、日本の自動車メーカーの課題が浮き彫りになる」からだ。純正ナビについての調査結果から、今後の車載ナビシステムメーカーの課題を探りたい。

スマホナビとカーナビの評価は「ほぼ同じ」

J.D.パワー「2018年日本ナビゲーションシステム顧客満足度調査」

出典:J.D.パワー「2018年日本ナビゲーションシステム顧客満足度調査」

皆さんは、車内でスマホのマップ機能を使用したことがあるだろうか?

J.D.パワー調査の中で「車載ナビとスマートフォンアプリのナビではどちらの機能が優れているか」をユーザーに尋ねたところ、結果は車載ナビ29%、スマートフォンのナビ機能25%と評価が拮抗した。さらに、「車載ナビとスマホのAIシステムで、どちらの音声認識機能が優れているか」についてはスマートフォン(AI)が優勢という結果になった。

従来、スマホのナビは精度、使い勝手とも車載ナビに劣ると考えられてきたが、もはや両者の優劣はつけ難い状況である。

■J.D.パワーの自動車に関する各調査の詳細はこちらから

北米で普及するミラーリング機能の脅威

J.D.パワー「2018年日本ナビゲーションシステム顧客満足度調査」

北米市場はミラーリング機能の普及で、日本を先行している。

出典:J.D.パワー「2018年日本ナビゲーションシステム顧客満足度調査」

昨今のナビ事情を語る上で外せないのがアップルが提供する「CarPlay」と、グーグルが提供する「Android Auto」だ。これらの機能はミラーリングでスマホを車に接続し、地図機能をはじめSNSや音楽など、スマホに入っている特定のアプリを車載用ディスプレイで利用できるというもので、年々急速に普及している。特に北米マーケットでは導入後わずか数年で、多くのドライバーの「必需品」となりつつある。

余談だが、2018年8月にJ.D.パワーがアメリカで発表したU.S. Tech Experience Index (TXI) Studyによると、CarPlayとAndroid Autoの満足度は、Carplayが1000満点中777点、Android Autoが748点で、北米のユーザーからはCarplayへの評価が大きく上回った。ただしナビゲーション分野では、Googleマップが圧倒的な1位となった。車載ナビ所有者のうち、最もよく使うナビゲーションはGoogleマップが56%と、Appleマップの23%を大きく引き離した。

これに対し、日本での自動車への機能装備率は10%程度にとどまり、北米に大きく遅れをとっている。

「日本ではカーナビが独自の発展をしており、国産車のCarPlayやAndroid Autoの標準装備は増えているものの、ユーザーへの浸透がいまひとつです。しかし、今後日本でも普及が進むにつれ、車載ナビとスマートフォンのいずれの機能を利用するかという問題がクローズアップされてくるでしょう。これはナビ先進国日本ならではの課題」と佐々木氏はコメントする。

自動車のオプション装備の中でも、ナビゲーションシステムは高額な部類に入る。ミラーリング機能の普及が進めば、ナビゲーション機能だけのために車載ナビを追加装備させる正当性を保つことは難しくなるだろう。

J.D.パワー「2018年日本ナビゲーションシステム顧客満足度調査」

出典:2018年日本TXI調査SM/2018 TXI StudySM(注)車両セグメントはミッドサイズ以上

次に音声認識機能について注目したい。実はこれについても日米のユーザーで大きな違いが見られた。

日本では装備率43%、そのうちよく利用するユーザーは8%。対して北米では装備率68%、よく利用するユーザーは24%である。

日本の装備率や消費者の関心は依然アメリカに比べ低いものの、今後の使用意向率は高く、これからの市場拡大を予感させるデータだ。にもかかわらず、音声認識機能に対するユーザーの評価は低い。J.D.パワー調査によると、タッチパネル操作に対する不具合経験や不満が30%程度であるのに対し、音声認識機能に対する不具合経験や不満は57%だ。ユーザーに受け入れられるようになるには、まだまだ改良の余地がありそうだ。

日本車の弱みは「音声認識技術」の低さ

J.D.パワー「2018年日本ナビゲーションシステム顧客満足度調査」

日本車に対する音声認識技術は低評価となっているが、そこに勝機があるともいえる。

出典:J.D.パワー「2018年日本ナビゲーションシステム顧客満足度調査」

「今後はナビ上でメールやSNS等のコミュニケーション、ドライブアシストといった機能、サービスを使う、いわゆる『コネクト化』が進んでいくでしょう。ただし、使い勝手が悪いとユーザーの不満が顕在化してきます。そこで気になるのが音声認識機能に対する北米での評価です」と佐々木氏は懸念する。

北米では日本車勢の評価は他国と比べて格段に低く、「2018年の北米市場調査では、トップは韓国車、次いでドイツ車、北米車と続き、日本車は業界平均以下でした」(佐々木氏)

これはあくまで北米での評価だが、前述の通り、AIとの音声認識技術との比較や、音声認識に関する不具合経験率からすれば、日本における日本車の音声認識技術もまだ十分とは言えなそうである。

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J.D.パワー「2018年日本ナビゲーションシステム顧客満足度調査」

自然言語によるカーナビの操作は顧客満足が最も高い操作方法。ユーザーの期待値は高い。

出典:J.D.パワー「2018年日本ナビゲーションシステム顧客満足度調査」

カーナビにおいても求められるのは画面の美しさより使い勝手の良さである。道案内中心の時代と違い、ドライブアシストやメールなど、利用するコンテンツが増えた今、より簡単にカーナビを使うには音声での操作が望まれる。ユーザーが発した音声をきちんと認識できないようなカーナビは、ユーザーの支持を得にくくなるだろう。

操作方法別の顧客満足度を見ても、母国語での自然言語による操作が最も高く、潜在的な期待値は高い。日本車メーカーは音声での操作技術を早急に高める必要があるだろう。

求める機能の上位は「安全・安心」

:J.D.パワー「2018年日本ナビゲーションシステム顧客満足度調査」

ナビについては防犯・安全機能、ドライブ支援機能の拡充が第一に望まれている。ナビ単体ですべてのコネクトサービスを完結するのではなく、スマホとの相互補完がカギとなる。

出典::J.D.パワー「2018年日本ナビゲーションシステム顧客満足度調査」

さらに、次回購入するナビに欲しい機能を尋ねた質問で上位にランクされたのは、「車両盗難防止や事故等緊急時の連絡支援機能」「ドアロックやエアコン等、車両をスマートフォンで遠隔操作する機能」「事故や急病時の緊急通報」といった防犯・安全機能やドライブ支援機能だった。

「自動運転系の技術と絡めたとき、今どこに、どのような状態でいるかといった地図・位置情報は安全性能と大きく関わります。こういう安心、安全に関わる機能は、やはり車載機器に搭載し、常に十分な機能、性能を発揮できる必要があります」(佐々木氏)

スマホと相互補完する道に鉱脈あり

J.D.パワーのオートモーティブ部門ディレクター、佐々木由至氏

J.D.パワーのオートモーティブ部門ディレクター、佐々木由至氏。

今後、運転中の道案内もカーナビの地図機能であればGoogleマップなどのスマホアプリで十分だと考えるユーザーは、ますます増えていくだろう。そうなったとき、日本のナビメーカーは、使い勝手がよい上に無料でダウンロードできるスマホアプリに対し、ナビゲーション機能だけでは太刀打ちできなくなる。

実際、最近では、運転支援やセキュリティーに関する機能を搭載した車載ナビが出ている。愛車を車上荒らしから守る監視機能や、周囲の安全確認機能、ドライブレコーダー内蔵のもの、愛車の状態を知らせ必要に応じてディーラーでのメンテナンスの納車予約をしてくれるものなど、さまざまである。

「日本はミラーリングや音声認識の利用率では遅れていますが、カーナビの技術開発では諸外国に先行しており、普及率もずば抜けて高い。車載ナビで培った技術、蓄積をベースに、ユーザーの期待にマッチしたコネクテッド機能を充実させていけば、車載ナビはスマートフォンと共存し、相互補完する道が開けるでしょう。ここが今後の日本車メーカーの取り組みの大事なポイントになってくると思います」(佐々木氏)

車載カーナビの未来イメージ

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コネクトで多様化するカーナビ機能の操作手段として、日本の弱点である音声認識/音声操作機能は改善必須の課題。すぐにも音声認識の精度を高めるなど使い勝手の向上に努め、コネクテッドサービスのコンテンツ開発に力を入れていく必要がある。

むしろ、その取り組みこそが日本車の新しい魅力を構築する突破口となる可能性を秘めている。日本のナビメーカーにとっては、車載システムならではの付加価値の機能の追及し、使い勝手を磨き上げていくことが肝要だ。

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