キャンプファイヤーで融資も可能に。クラウドファンディングの9割を占める巨大市場に挑む

CAMPFIRE Owners

クラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」が新事業に乗り出す(現在は事前登録受付中)。

出典:CAMPFIRE OWNERS

クラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」などを運営するCAMPFIRE(キャンプファイヤー)が、2019年春から融資型のクラウドファンディングサービス「CAMPFIRE Owners」を始める。2月7日、発表した。

「融資型クラウドファンディング」は市場の9割

矢野経済研究所のデータ。

国内クラウドファンディングの市場規模は約1700億円だが、その9割を占めるのが「融資型(貸付型)」だ。

出典:矢野経済研究所

すでに個人規模の資金調達の手段として知られるようになってきているクラウドファンディング。矢野経済研究所の調査によると、2017年時点でその市場は約1700億円で、ここ数年で飛躍的に伸びている。

その一方で意外と知られていないのが、クラウドファンディングにはさまざまな種類があるということだ。

支援した見返りにイベントに参加できたり、本が届いたり……といったお返しがくるものは「購入型」。同調査によると、この購入型のクラウドファンディングは事業者が最も多いが、市場規模でいうと全体の1割にも満たない。

一方、市場の9割を占めるのが「融資型」(ソーシャルレンディング)。支援には利子がつき、例えば10万円支援した1年後に11万円になって返ってくるといった金銭的なリターンが期待できる点が、購入型とは異なる。

融資型のクラウドファンディングはここ数年、新しい資産運用の形として注目を集めている。ソーシャルレンディング比較サイト「クラウドポート」によると国内の事業者は25にものぼる。

リスクには「調達額の上限を設ける」

クラウドファンディング事業者としては国内大手のキャンプファイヤーは、現在サービス開始から今までの流通総額は101億円。

「融資型」にも参入することでさらに利用者の裾野を広げ、2021年内に「CAMPFIRE Owners」単体で流通総額を1000億円に伸ばしたいという。

強みとしては、調達金額が10万円からと、小口の資金ニーズに対応していく点だ。ターゲットはNPO法人や古民家再生プロジェクトなど「社会性は高いけれど、お金にはなりにくい」事業にも積極的に支援をしていく、と同社広報は語る。

一方でソーシャルレンディングは、投資の意味合いも含まれているため、元本割れ(運用した結果、損失が出ること)や貸し倒れ(貸し付けた資金が帰って来ないこと)のリスクもつきまとう。2019年1月には、業界最大手とされる「maneoマーケット」で投資家に対して、約束した分配金が支払われないケースが急増している、と朝日新聞が報じている。

こうしたリスクに対し「審査により、調達金額の上限を設けること」と「(元本割れなどの)リスクを支援者にもしっかりと説明し」対応するとした。今までキャンプファイヤーが運営してきたマイクロファイナンスのサービスのノウハウも活かしていくという。

「CAMPFIRE」をはじめとして「polca(ポルカ)」「CAMPFIREファンクラブ」「CAMPFIRE Bank」など、個人がよりかんたんに資金調達ができるサービスを次々と打ち出しているキャンプファイヤー。

創業者の家入一真氏が掲げる、誰でも金融サービスにアクセスできる「お金がなめらかに流通する世界」の構築に向けて、さらにアクセルを踏んでいく。

(文・西山里緒)

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