AOLの共同創業者スティーブ・ケース。
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- AOLは、他のインターネット・スタートアップ企業が投げ出したものをピックアップして巨大な成功を収めた。
- これはジーン・ケース、AOLの元幹部で『Be Fearless』の著者が語ったこと。
- 一方、グーグル、フェイスブックといった現在の大手テック企業はAOLのイノベーションから恩恵を受けているとケースは記した。
AOLは他社の失敗を糧にして成長してきた。
AOLの元幹部ジーン・ケース(Jean Case)は新著『Be Fearless』で、他社が投げ出したものをピックアップするAOLの能力は素晴らしいと記した。
彼女はそのキャリアの初期、The Sourceという企業で働いていた。ケースによると「メール、会議ツール、コンテンツ制作に使える、コンシューマー向けのテキストベースの情報ツール」を手がけていた。
今の基準で考えると、動作速度は考えられないくらい遅かった。だがケースは、そのコンセプトは「本当にパワフルで、情報とコミュニケーションへのアクセスを多くの人に解放するものだった」と記した。
適切なマネタイズのみが必要だった。
The Sourceが失敗した後、ケースはのちにAOLとなる企業に移った。その企業はケースの夫、スティーブ・ケース(Steve Case)がマーク・セリフ(Marc Seriff)、ジム・キンゼイ(Jim Kinsey)とともに創業した。3人の共同創業者はいずれも、自分のビジネスで数度の失敗を経験していた。
AOLの前身であるQuantum Computer Serviceはアップルのパートナー企業だった。だが、あまりにも多くの対立があり、アップルとの取り引きから手を引いたとスティーブ・ケースは2016年、著書『サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る』に記した。
この経験から、3人の創業者たちは自分たちのブランドを作り、自分たちのマーケティングにお金を使いたいと考えるようになった。
1989年、Quantum Computer Serviceは名前をAmerica Online(AOL)に変更した。
ジーン・ケースが書籍に記したように、AOLはピーク時には3000万人近い契約者を抱え、株式公開を果たした最初のインターネット関連企業となった。
彼女はスティーブ・ケースは、コンシューマー・フレンドリーな価格設定や会員制プランなど、「競合が以前、あまり成長できなかったエリアでの取り組みにチームを引っ張っていった」と記した。
一方、現在の大手テック企業は少なくとも一部、AOLを真似することで成功している。
ケースは、フェイスブック、グーグル、ツイッターは「すべてAOLが導入したイノベーションの恩恵を受けている」と記した。そして彼女は以下のように付け加えた。
「イノベーターは、先行者の取り組みが足りなかったところを参考にして、大きな飛躍を遂げ、あるいは大きな賭けに出ている。失敗の教訓を十分に活用している」
(翻訳、編集:増田隆幸)