スターバックスの元CEO、ハワード・シュルツ氏。
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- スターバックスの元最高経営責任者(CEO)ハワード・シュルツ氏は2月7日(現地時間)、パデュー大学で行った政策に関するスピーチの最中、聴衆に繰り返し拍手を要求した。
- ツイッターではすぐに、2016年の米大統領選のキャンペーン中に「拍手して」と頼んだジェブ・ブッシュ氏を引き合いに、批判の声が上がった。
- シュルツ氏は自身を「中道派の独立候補」と称し、アメリカ人は穏健な政策という「良識」を求めているとして、2020年の大統領選への立候補を検討している。
- スピーチの中でシュルツ氏は漠然とした政策のアイデアを述べたが、詳細は明らかにしなかった。
スターバックスの元CEOハワード・シュルツ氏は2月7日、パデュー大学で行った政策に関するスピーチの最中、聴衆に繰り返し拍手を要求した。
シュルツ氏のチームが大統領選への立候補に向けた「重要な政策スピーチ」と位置付ける演説の中で、シュルツ氏は国の債務を減らし、医療コストを削減し、ワシントンD.C.の秩序を回復させるためのいくつかの漠然とした提言を示した。
最初にシュルツ氏が拍手を求めたのは、パデュー大学の授業料が2020年には2012年当時よりも安くなるだろうと同氏が述べた後だった。聴衆の反応がなく、シュルツ氏は「ここで拍手してくれなきゃ」と付け加えた。
スピーチの後半では、トランプ大統領が2016年の大統領選の際、納税申告書の公表を拒否したことを批判し、シュルツ氏は —— ほぼ全ての民主党員がしてきたのと同じように —— 大統領選の候補者は全員、納税申告書を公表すべきだと主張した。
この発言にはうっすらと拍手が起きた。
シュルツ氏は「立候補を決めたら、わたしは間違いなく自分の納税申告書を公表する」と続けた。
そして再び「拍手して」と言い加えた。
これを受け、ツイッターではすぐに、2016年の大統領選のキャンペーン中に「拍手して」と頼んだジェブ・ブッシュ氏を引き合いに、批判の声が上がった。
ハワード・シュルツ「拍手して」。
ビリオネアのスターバックスの創業者で、大統領になりたがっているハワード・シュルツに、「拍手して」と頼む痛ましい瞬間が訪れた。
シュルツ氏は、アメリカ人は共和党支持者と民主党支持者の両方が合意できる、穏健な解決策という「良識」を見つけられる独立候補を必要としているとの考えから、中道派としての立候補を検討している。同氏はトランプ大統領だけでなく、2020年の大統領選への立候補を表明しているエリザベス・ウォーレン上院議員やカマラ・ハリス上院議員といった多くの民主党の有名議員らを激しく攻撃した。
「トランプと極左の民主党の間の選択になれば、ドナルド・トランプが再選を果たすだろう」と、シュルツ氏は述べた。
約15分間のスピーチの中で、シュルツ氏はアメリカにとって最も差し迫った問題が「解決されていない」のは、「極右と極左の利益にかなわない」からだと主張した。
同氏は、共和党が求めるオバマケアの廃止も、左派が求める「メディケア・フォー・オール(連邦政府が徴収した税金で医療費をまかなう制度)」も、どちらも「実行可能ではない」と述べ、どちらの政党もシュルツ氏の言うこれまでになく増大している医療費の原因への対応に失敗していると指摘した。
「真実は、ヘルスケアのコストが負担しきれないケアの最大のけん引役になっているということだ」と、同氏は言う。「だが、競争が増すことでコストの下がる、説得力ある計画が出てくるのを待つのか、病院や製薬会社に料金に関するさらなる透明性を求めるのか、予防的なケアに投資するのか、いずれも進んでいない」
同氏はこうした大まかな提言はしたものの、具体的な医療に関する政策のアイデアは一切示さなかった。
アメリカでは、シュルツ氏の動向はメディアから大きな注目を集める一方で、同氏の立候補に対する一般の支持はあまり広まっていないようだ。
データ・サイエンス会社「Optimus」が2月7日に公表した調査の結果、シュルツ氏となじみがあるという人のうち、18%が好ましい意見を、40%が好ましくない意見を持っていることが分かった。また、同調査では、シュルツ氏が独立候補として立候補することで、民主党を支持する有権者の票を奪い、結果的にトランプ大統領の再選のチャンスが高まりそうなことも分かった。
Change Researchの最新の世論調査の結果は、さらに悲惨だ。回答者の40%がシュルツ氏を好ましくないと答え、同氏を好ましいと答えたのはわずか4%だった。
(翻訳、編集:山口佳美)