地球表面の20%の大きさ ── ハッブル望遠鏡、海王星の巨大渦を発見

1989年にボイジャー2号が撮影した海王星の写真。

1989年にボイジャー2号が撮影した海王星の写真。

NASA/ JPL

  • ハッブル宇宙望遠鏡は、はるか遠くの惑星の観察を続け、天候の変化を観測している。
  • ハッブルは海王星に、新たな謎の「黒い嵐」を発見した。その直径は約6800マイル(約1万1000キロメートル)におよぶ。
  • またハッブルは、天王星の北極の周りに渦巻く「巨大極冠」の新たな画像も撮影した。

太陽系外縁部の観測で、ハッブル宇宙望遠鏡は海王星を覆う雲の中に謎の「黒い渦」を見つけた。NASAが発表した。

NASAは2月7日(現地時間)、この嵐の発見についてSTScI(宇宙望遠鏡科学研究所)と共同発表を行った。STScIは、世界中の科学者の提言をもとにハッブル望遠鏡の観測対象の選定などを行う機関。

下の画像に写っている嵐は巨大。直径は約6800マイル(約1万1000キロメートル)、ニューヨークから南アメリカの南端までの長さで、地球の表面の約20%を覆う大きさ。

海王星の「黒い嵐」。

2018年9月にハッブル宇宙望遠鏡が撮影した海王星の「黒い嵐」。

NASA/ESA/A. Simon (GSFC)/M.H. Wong and A. Hsu (UC Berkeley); Business Insider

STScIのプレスリリースによると、この黒い嵐は海王星の北半球に滞留しているようだ。隣に白い雲を「伴って」いる。

こうした白い雲は、嵐が周囲の大気を取り込み、嵐の上空に巻き上げ、冷却し、凍らせることで発生する。今回の場合、白く凍りついている物質はほぼ間違いなくメタン。

「こうした雲は、地球上で空気が山の上に押し上げられてできるパンケーキ型の雲に似ている(だが海王星に硬い地表は存在しない)」とSTScIは述べた。

海王星の表面で今回のような黒い嵐が発見されたのは6度目。地球上で発生する最大級の嵐は通常、数日〜数週間以上は続かないが、海王星で見つかった新たな黒い渦は数年間続くと考えられている(現在、木星の大赤斑が最も長い寿命を持つ巨大嵐で、少なくとも400年以上存在している。だがその規模は縮小している)。

消滅した海王星の謎の嵐

海王星は、黒い嵐が発生することで知られている。

最初に2つの嵐が観測されたのは1989年、NASAの探査機ボイジャー2号が世界で初めて、そして今でも唯一、海王星を通過した時。記事の一番上の写真がその時のもの。

ハッブル宇宙望遠鏡は1993年以降、2018年9月に発見された今回の黒い嵐を含めて、4つの嵐を観測した。

直近では、ハッブルは2015年の黒い嵐の発見と2017年まで続いたその研究に貢献してきた。この研究によって、黒い嵐が致死性の(そして臭い)硫化水素でできていると思われることが判明した。

海王星を黒い渦

ハッブル宇宙望遠鏡が2年以上にわたって、海王星の巨大な黒い嵐が消滅する様子を撮影した画像。楕円形の嵐の長さは観測期間中に約3100マイルから2300マイルへと縮小した。

Credits: NASA, ESA, and M.H. Wong and A.I. Hsu (UC Berkeley)

黒い嵐は海王星の赤道へと北上し、消滅すると予想された。しかし、実際の動きは科学者たちを驚かせた。黒い嵐は予想とは逆方向、南極の方向へと移動し、ゆっくりと消滅した。

「この黒い嵐がどのように形成され、どれくらいの速度で渦巻いているかを示すものはなにもない」とスペインのバスク大学(Basque Country University)の科学者で、プロジェクトに参加していたアグスティン・サンチェズ=ラベガ(Agustín Sánchez-Lavega)氏は、2018年2月のプレスリリースで述べた。

この時の研究で使われた画像と今回の画像を比較することで、研究者たちは謎を解く新たな手がかりを得ようとしている。過去の画像を見ると、「雲の動きの活発化」が、今回の新たな黒い嵐が発生し、発見される数年前から起きていた。

「画像は、黒い嵐は海王星の大気の奥深くで発達し、嵐の上部が高高度に達した時にだけ観測できるようになったことを示した」とNASAとSTScIはプレスリリースに記した。

天王星

天王星に季節的に発生する巨大な極冠雲。

NASA/ESA/A. Simon (GSFC)/M.H. Wong and A. Hsu (UC Berkeley); Business Insider

直近の太陽系外縁惑星の観測でハッブル宇宙望遠鏡は天王星の「巨大極冠」、あるいは「帽子」のような巨大な雲も観測した。科学者たちは、この現象は天王星での季節的な気候の変化によるものかもしれないと考えている。

「これらの画像は、ハッブルが遠く離れた極寒の惑星、天王星と海王星の気候パターンを長期間にわたって撮影したきた成果の一部」とNASAは語った。

そしてNASAは次のように付け加えた。

「気象学者が地球の気象を数枚の画像から予測できないように、天文学者も定期的で持続的な観測なしに太陽系惑星の大気の動きを解明することはできない。天文学者たちは、ハッブル宇宙望遠鏡による太陽系外惑星の長期的な観測が、はるか遠くの世界に渦巻く謎を解明する手助けになることを願っている」

[原文:The Hubble telescope has discovered a 'dark vortex' raging on Neptune that would swallow 20% of Earth's surface

(翻訳:忍足 亜輝、編集:増田隆幸)

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