ホンダジェット エリート。
Benjamin Zhang/Business Insider
- ホンダジェット エリート(HondaJet Elite)が2018年5月、ワールドデビューを果たした。
- 2015年に生産を開始したプライベートジェット、HA-420 ホンダジェットのアップグレード版だ。
- ホンダジェット エリートは、より長い航続距離、より静かな客室、ギャレーなど数多くの機能を誇る。
- 価格は525万ドル(約5億8000万円)から。初代ホンダジェット(HondaJet)より35万ドル(約3900万円)ほど高い。
2015年、HA-420 ホンダジェット(HondaJet)の生産がスタート、ホンダは航空事業への参入を果たした。
ホンダジェットは、ホンダ・エアクラフト・カンパニー(Honda Aircraft Company)のCEO、藤野道格氏が率いた30年におよぶ研究開発の集大成。
ホンダはその高い技術力で世界的に知られている。ハイブリッド・スーパーカーから芝刈り機まで、同社製品すべてが世界クラス。
だが、ホンダがジェット機の製造をイチから手がけていることは、まだあまり知られていない。
関連記事:5億5000万円のホンダジェットに乗ってみた。プライベートジェットの新境地だ。
2017年秋、Business Insiderは初代ホンダジェットがアメリカ北東部で初めて行ったテストフライトに搭乗する機会を得た。最高だった。ホンダジェットは、速くて快適、そして革新的な設計で溢れていることを証明した。
2018年、ホンダはそのアップグレード版を発表した。その名もホンダジェット エリート(HondaJet Elite)。同社の高級スクーターに与えられていた称号と同じ。
スクーターのエリートは初代ホンダジェットと同じ時期に販売されていたが、現在生産されているのは飛行機のみ。
2019年2月、我々はノースカロライナ州リーンズバラにあるホンダ・エアクラフト・カンパニーに向かった。ホンダジェット エリートのテストフライトに搭乗するために。
ホンダジェット エリートの価格は525万ドル(約5億8000万円)から。初代ホンダジェットより35万ドル高い。
ホンダジェット エリートのフライトを見てみよう。
我々はノースカロライナ州グリーンズバラにあるホンダ・エアクラフト・カンパニーの本社を訪問した。
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エプロンで我々を待っていたのは、新型ホンダジェット エリート(HondaJet Elite)。
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2017年、我々は初代ホンダジェット(HondaJet)を見学する機会を得た。そしてその魅力、性能、革新的な機能のとりこになった。
Hollis Johnson
最新版はどのようにアップグレードされたのか見ていこう。
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サイズはそのまま。全長42.62フィート(12.99メートル)、全高14.90フィート(4.54メートル)、翼幅39.76フィート(12.12メートル)。
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特徴的なノーズデザインも変わらない。
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藤野氏によると、ノーズのデザインは、同氏が休暇中にハワイの免税店で見かけたサルバトーレ・フェラガモのハイヒールからインスピレーションを得た。
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ターボファンエンジンHF120も変わらない。
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GE Honda エアロ エンジンズ製HF120の推力は、変わらず2095ポンド。だが、より低騒音となるよう改良された。
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前にも書いたが、VTECは搭載されていない。
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VTEC(Variable Valve Timing and Lift Electronic Control system)は、ホンダが世界に誇る「可変バルブタイミング・リフト機構」。同社の多くの車に搭載されている。VTECエンジンは低回転時には燃費効率に優れ、高回転時には高出力を発揮する。クルマ好きにはとても有名だ。
ホンダジェットを何よりも際立たせているのが、エンジンの配置。
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エンジンは胴体後部ではなく、主翼上面に配置。
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ホンダによると、このデザインによって、広く、静かな客室を実現したことはもちろん、
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主翼の設計を一新し、
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T字尾翼を微調整して性能を向上させた。
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その結果、離陸距離はわずか3491フィート(1064メートル)。上昇率は毎分4100 フィート(1250メートル)。
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トランク(後部荷物室)は57立方フィート(1.61立方メートル)、
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客室のすぐ後ろにある。
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ノーズにも9立方フィート(約0.25立方メートル)の「フランク」(前部荷室)がある。
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多くのジェット機と違い、ホンダジェットの燃料給油口は1つ。機体後方、右エンジンの近くにある。
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給油中!
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胴体構造にカーボン複合材を採用。従来のアルミニウム構造よりも軽くて強い。
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乗ってみよう!
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客室の広さは、全長17.8フィート(5.43メートル)、全幅5フィート(1.52メートル)、全高4.83フィート(1.47メートル)。大人は身をかがめることになる。
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客室の定員は4名。向かい合わせのシートはフローティング・ボールジョイント・システムを備える。
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つまり、前後左右に動かすことができる。
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初代ホンダジェットはドアの前にもシートがあった。
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エリートでは、スタイリッシュなカーボンファイバーで覆われたギャレーに変わっていた。
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だが、定員は変わっていない。
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ホンダジェット エリートのトイレはシートベルト付き。フライト中に乗客が座ることができる。
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シートの下はフル機能のトイレ。
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トイレの向かいにはコバルトブルーの洗面台。
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トイレには小さな天窓が2つ。
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近くで見てみると、機体のカーボン複合材が見える。
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6つ目の客席はコックピットの中、機長の右側の副操縦士席。
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これは、ホンダジェットが1人で操縦できる設計になっているから。
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フライト中、客室は驚くほど静か。初代よりさらに静かだった。
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高度3万フィート(9144メートル)での最大巡航速度は時速422ノット(時速782キロメートル)。
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航続距離は2661キロメートル。初代から延びたのは燃料タンクを追加したため。
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コックピットには初代ホンダジェットも搭載したGarmin G3000次世代オールグラスアビオニクスシステムのアップグレード版。3つの14.1インチ高解像度ディスプレイと、
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2つの5.7インチタッチスクリーン。
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コックピットとその操作は分かりやすく、シンプルな設計。
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エンジンスタートボタンはプッシュボタン式。ホンダ アコードと同じ。
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サイドスティックではなく操縦桿を採用。
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副操縦士席からの眺めは素晴らしい。
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客室からの眺めも息をのむほど。大きな窓から自然光が降り注ぐ。
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サンシェードもある。スマートフォン、または内蔵のタッチパッドで操作できる。
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タッチパッドで温度調整と、
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サウンドシステムの調整も可能。
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ステレオについて言えば、ホンダジェットには従来のスピーカーがない。代わりに、客室は数十のトランスデューサー(変換器)に囲まれている。機体の革張りの壁を振動させ、音楽に包まれているように感じる。
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シートは豪華な革張り。ソフトで快適、そしてしっかりと体を支えてくれる。
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格納式のテーブルが機体の両サイドに。
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テーブルの下には光るホンダジェットのサイン。
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すぐにグリーンズバラに戻る時間になった。フライトはそれほど長くはなかったが、ホンダジェット エリートの魅力を十分に味わうことができた。
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我々にとって、初代ホンダジェットはゲームチェンジャーだった。ホンダジェット エリートは、より速く、より静か、より豪華になっている。
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(翻訳:Ito Yasuko、編集:増田隆幸)