REUTERS/Lucy Nicholson
Q. Netflixの決算で覚えておくべき3つのKPI(編集部:主要業績評価指標)とは?
A. 以下の3つの数字は覚えておきましょう。
1: 有料会員: 四半期あたり880万人増加
2: 売上: YoY +27.4%の$4.2B(約4,200億円)
3: コンテンツ投資: 2018年の1年間で$3B(約3,000億円)をコンテンツへ投資
今日の記事は、読者の方であれば毎度おなじみの、Netflixの決算に関してです。株主へのレターから、詳しく見ていきましょう
Letter to shareholders: 2018 Q4 Results and Q1 Forecast
2018年の10月から12月の四半期で、売上がYoY(編集部:前年比)+27.4%の$4.2B(約4200億円)、営業利益は$216M(約216億円)で、営業利益率が5.2%という結果でした。
フリーキャッシュフローは四半期で$△1.3B(約1300億円)と、巨大なコンテンツ投資を続けています。
冒頭でNetflixのKPIで覚えておくべき3つを訊きましたが、以下で詳しく見ていきたいと思います。
1.有料会員数: 四半期あたり880万人増加
初めに、有料会員数の推移を見てみましょう。
投資家から見て、Netflixで最も好調に推移しているKPIが、この有料会員数の増加になります。今回の四半期では、880万人もの有料会員数をたったの3か月間で増加させました。
ガイダンスとして公開されていた760万人よりも、大分大きい数字で着地したことになります。
このグラフが時系列での有料会員数の推移になりますが、2018年はそれまでの数年間よりも早いペースで有料会員を増加させたことになります。
また2019年も、第1四半期に890万人も有料会員を増やす予定だというガイダンスが発表されています。
2.売上: YoY +27.4%の$4.2B(約4,200億円)
次に売上を見てみましょう。売上に関しては、ガイダンスで発表されていたYoY+27.8%には届かず、YoY+27.4%の$4.2B(約4200億円)という結果になりました。
決算発表で述べられた原因としては為替変動が挙げられていました
Netflixのビジネスモデルでは有料会員数と売上は基本的に比例しますので、あまり大きなサプライズはありませんが、四半期当たり$4.2B(約4200億円)、そしてYoY +20%以上の成長というのは、非常に力強い成長だと言えるでしょう。
アメリカとそれ以外で詳しく見てみると、アメリカ国内は利益率は29.6%と非常に高いのに対し、有料会員数の増加は四半期あたり153万人と、落ち着いてきています。
一方でアメリカ国外を見てみると、利益率は3.9%とアメリカ国内に比べると見劣りしますが、有料会員を四半期あたり731万人も追加するという具合に、大きく成長していることがわかります。
このようにNetflixのビジネスをアメリカ国内と国外に分けてみると、国内ではしっかり利益を稼ぎながら、アメリカ国外でマーケティングに大きく投資をして、有料会員数を増やしているのが見て取れます。
3.コンテンツ投資: 2018年の1年間で$3B (約3000億円)をコンテンツへ投資
最後に、コンテンツ投資に関して見てみましょう。
2018年の1年間で、約$3B (約3000億円)の金額をコンテンツ投資に当てたとされており、2019年も同じ水準で推移すると発表されています。
Netflix says its cash burn will peak this year, then go down
このグラフにあるように、Netflixのフリーキャッシュフローはどんどん悪化しているようにも見え、投資家はかなり心配している人も多くなってきています。
While Netflix projected its free cash flow to be similar this year, it also said it will "improve each year thereafter (assuming, as we do, no material transactions.)"
ここで書かれているように、2019年は2018年と同程度の投資を行う予定ですが、その次の年つまり2020年からは、キャッシュフローが徐々に改善していく予定だと決算発表で発言しています。
一つの例ですが、EliteというNetflixのオリジナルドラマがスペイン語で公開され、約2000万世帯を超える人達に〓閲覧〓され、この図にあるように、出演しているキャストのInstagramのフォロワーを大きく増やすことになっています。
このように、Netflixが若手の俳優女優のローンチパッド(発射台)になっており、Netflix経由で新しい人気スターがどんどん生まれてくる時代になったとも言えるのではないでしょうか。
シバタナオキ:SearchMan共同創業者。2009年、東京大学工学系研究科博士課程修了。楽天執行役員、東京大学工学系研究科助教、2009年からスタンフォード大学客員研究員。2011年にシリコンバレーでSearchManを創業。noteで「決算が読めるようになるノート」を連載中
決算が読めるようになるノートより転載(2019年2月11日公開の記事)