2月13日、ついにメルカリのモバイル決済「メルペイ」の一部機能が公表された。先行公開された機能はApple PayでのiD支払いだった。
- 約1年3カ月間の沈黙を破り、ついにメルカリのモバイル決済がスタートした
- 今回公開されたのはApple Pay対応iPhone向けのサービス。Android向けにも今後提供予定
- メルカリの売上金やポイントを、コンビニなど全国の「iD加盟店」で利用できる
メルカリの決済子会社メルペイは2月13日、Apple Pay対応のiPhone向けにメルペイのサービスを先行公開した。iPhoneのメルカリユーザーはアプリを最新(バージョン4.0.0)にアップデートすると、新しいUI(ユーザーインターフェース)とメルペイサービスを利用できる。
全国の「iD」加盟店で利用可能に
今回公開されたApple Payでメルペイを利用する場合は、店頭では「iDで支払う」と伝える必要がある。
今回、メルペイが利用したのはApple Payの仕組みを使った「iD」ブランドでの決済だ。メルカリユーザーはアプリで利用設定を行うと、Walletアプリ上にメルペイが登録され、コンビニやドラッグストアなど、全国約80万カ所(メルペイのプレスリリースでは約90万カ所)での決済が可能となる。
iOS向けメルカリアプリのバージョン4.0.0では、新しいUIが実装され、画面下部にメルペイのタブが用意されている。
決済にはメルカリの売上金とポイントの両方が利用できる。メルカリの売上金を利用する場合は、メルペイの資金移動口座(メルペイ上の口座)をアプリ上で開設し、そこにいったん残高を移す必要がある。
なお、メルペイの資金移動口座にはメガバンクを含む銀行各行がひもづけられるため、売上金がない場合などは、銀行口座からメルペイへのチャージが可能だ。
Androidでの「iD」問題はどうなる?
実際にメルペイをApple Payにセットアップしてみたところ、アプリだけでスムーズに設定できた。しかし、Android向けへの展開を考えると疑問点がいくつかある。
今回のサービスインは、あくまでもiPhone向けの先行施策であるとメルペイは公表している。気になるのは、今後Androidユーザー向けの展開や、中小規模店舗でも比較的導入がしやすい2次元コード(QRコードやバーコード)決済への対応があるかどうかだ。
メルカリが同日に公開したお知らせページには、「Android版についても今後対応予定」と告知しているが、メルペイ広報は「時期や詳細は未定」と答えている。
Google Payの対応サービスと、対応しているクレジットカード事業者。
出典:グーグル
Apple Payに近いAndroid向けウォレットサービスと言えば「Google Pay」が現在日本で展開中で、「LINE Pay」や「Kyash」などがこの仕組みを利用してQUICPay+での非接触決済サービスを実現している。
ただ、今回のiPhone向け先行施策でメルペイが活用したのはQUICPay+ではなくiDだ。iDブランドは現在Google Pay上で採用された実績はない。さらに、Androidのおサイフケータイ上のiDは、現状でau端末では利用できない(iDの運営会社はNTTドコモ。おサイフケータイ対応のソフトバンク端末、ワイモバイル端末、一部のSIMフリー端末では利用可能)。
詳細発表は2月20日に
2月20日には完全招待制の独自イベント「MERPAY CONFERENCE 2019」の開催が予定されている。
出典:メルペイ
また、非接触決済以外の決済方法について問い合わせたところ、メルペイ広報は「今後の展開について2月20日のMERPAY CONFERENCE 2019で発表する」と答えている。
メルペイが会社として設立してから約1年と3カ月。ついに公のサービスとして第1歩を踏み出した同社だが、“フリマアプリのキャッシュレス決済”がどのような真価を発揮するかが分かるのは、少し先になりそうだ。
(文、撮影・小林優多郎)