決算説明会に出席したライザップグループの瀬戸健社長(左)と、松本晃取締役(構造改革担当)。
撮影:小島寛明
事業の立て直しを進めているRIZAP(ライザップ)グループの松本晃取締役が2019年2月14日、決算説明会の席上、構造改革の「ロードマップ」を示した。
ライザップは2018年11月、2019年第2四半期の決算説明会で、通期の決算予想を159億円の黒字から70億円の赤字に下方修正したことから、立て直しの行方が注目されている。
松本氏は説明会で、「一つひとつしっかりやれば、2019年にはそれなりに回復して、2020年にはV字回復ができるんではないか」との見通しを示した。
2018年4月~12月期の連結決算は、純損益が81億円の赤字となった。売上収益は前年同期比73.9%増の1724億円だった。
立て直しのロードマップ
撮影:今村拓馬
ライザップは、相次ぐ企業買収で急速に肥大化を進めていた。2018年9月の時点で、グループ内の企業数は85社に膨れ上がっていた。その一方で、買収した赤字企業の再建に手間取り、大幅な決算見通しの下方修正に追い込まれた。
松本氏が決算説明会で示したライザップ再生への「ロードマップ」は、次のようなものだ。
- けじめ
- コーポレートガバナンス改革
- グループ企業の仕分け
- グループ企業の再編
- ホールディングスの簡素化
- 経費削減
- 事業領域の明確化
1. けじめ
ライザップグループには12人の取締役(うち社外取締役3人)がいたが、2018年12月末付で7人が退任した。
松本氏は「少しは間違ってしまったので、けじめはしっかりつけましょうと。一番最初にけじめをつけたのが瀬戸さん。それ以外に何人かの方が、自らの意思でけじめをつけられた」と説明する。
四半期決算について説明する瀬戸健社長。
撮影:小島寛明
2. コーポレートガバナンス改革
12人いた取締役は、5人体制に変更。瀬戸健社長が代表取締役を務める一方で、社内の取締役を瀬戸氏と松本氏の2人にしぼり、残る3人を社外取締役とした。社外取締役を過半数とすることで、社外からの監視機能を強化した。
そのうえで、執行役員制度を導入。5人の執行役員の事業執行を、5人の取締役が監督する形だ。
3. グループ企業の仕分け
ライザップグループは現在、監査法人とともに、グループ企業の仕分け作業を進めている。松本氏によれば、おおまかに以下の3グループに仕分けをしているという。
- グループA:成長産業
- グループB:今後、キャッシュを生む企業
- グループC:問題のある企業
2018年12月には、SDエンターテイメントの事業のうち、ゲーム、ボウリング、映画館事業については、ライザップの事業領域との関わりが薄いとして、譲渡を決めている。
また2019年1月25日には、化粧品の販売などを手がけるジャパンゲートウェイを名古屋の投資ファンド、萬楽庵に譲渡した。
瀬戸氏は「大きな投資をさせていただいたが、投資回収に至らず、我々はこれを来期に引き継ぐわけにはいかないので、売却の決定をした」と説明している。
2019年3月末までには、グループ企業の売却に、一定のめどをつける方針だ。
4. グループ企業の再編
2018年9月の時点で85社に膨れ上がったグループ企業の中には、事業領域が重なる企業も少なくない。「似通った会社はまとめて、1人の社長がコントロールをしたほうがいい」と松本氏。今後、1カ月から1カ月半以内には、再編の方向性を示すという。
5. ホールディングスの簡素化
松本氏は「ホールディングスが肥大化している」と指摘。持株会社の簡素化を進め、司令塔としての役割を明確化する考えだ。
6. 経費削減
グループ全体で来期中に、50億円の経費を削減する。現在は、グループ企業、部門ごとに、無駄な経費の洗い出しを進めているという。
7. 事業領域の明確化
ライザップグループは、2018年11月に企業買収の凍結を打ち出すまで、さまざまな事業分野の企業買収を重ねてきた。現在のグループ企業の事業領域は、出版社、DVDのレンタル店チェーン、不動産会社など極めて幅が広い。今後、事業領域の明確化を進める方針だ。
松本氏は「健康という軸にどんなものを加えるか。医療を加えたらおもしろいんじゃないかと言っているが、まだ具体的な案はない」と述べた。
(文・小島寛明)