ちょっとした支出を抑えても効果はあまり期待できない。
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- 自分の力でゼロからミリオネアになったグラント・サバティエ(Grant Sabatier)氏によると、わたしたちがお金の管理がうまくいかないと感じる主な理由の1つは、予算だ。予算があることで、常に何かが足りないような気分になってしまうからだ。
- サバティエ氏は、予算をダイエットに例えた —— 罪悪感を感じれば感じるほど、不安やストレスが高まって、続かなくなってしまうのだ。
- 貯蓄率を上げるには、交通費、住居費、食費といった大きな支出をコントロールする方がいいと、サバティエ氏は言う。
自分の力でゼロからミリオネアになったグラント・サバティエ氏は、お金に関する一般的な知識に従わないことで、30歳で早期リタイアを果たした —— サバティエ氏は予算を組まない。
これは経済的な独立を手に入れるためにサバティエ氏が編み出した7ステップの戦略の一部だ。
同氏は著書『Financial Freedom: A Proven Path to All the Money You Will Ever Need』の中で、「何にお金を使ったか、チェックすることは重要だが、自分の時間の大半を使うべきところではない」と述べている。「予算があることで、常に何かが足りないような気分になって、大半の人がお金を貯めたり、稼ぎを増やそうとすることをやめてしまう」という。
これが、お金の管理がうまくいかない主な理由の1つだ。
「予算はダイエットにとてもよく似ている。罪悪感を感じれば感じるほど、続かなくなってしまう」と、サバティエ氏は書いている。「『使いすぎた』とか『うまくいかない』と言って、あきらめてしまう。もしくは、予算を守るためには何から何まで削らなければならないほど、自分は困窮していると感じ始めて、イライラしてしまう」という。
「お金にスマートになれるよう力づけるツールになる代わりに、予算は不安とストレスの源になってしまう」と、サバティエ氏は指摘する。
同氏は、「全体から見れば小さな支出にあまり注意し過ぎても、あなたが持っているお金に大した影響はない」とし、予算を守ることがあまりにも負担になり過ぎていると付け加えた。
小さな支出を切り詰めても大した節約にはならないが、住居費や交通費、食費といった大きな支出をコントロールすれば、少なくとも貯蓄率を25%に引き上げることは可能だと、サバティエ氏は言う。
そして同氏は、それはわざわざ予算を組まなくても、今より家賃の安い部屋に引っ越したり、歩いて通勤したり、自炊をするといったいくつかの変化によって実現可能だという。
例えばカイル・スティンプソン(Kyle Stimpson)さんの場合、古くて手狭なエレベーターなしの部屋に住み、公共交通機関を利用、近所で買い物をし、自炊することで、収入の30~40%を3年間貯蓄に回した。そうすることで、最終的にミニ・リタイアに向けて8万ドル(約890万円)を貯めることができた。
アメリカ労働統計局によると、2016年の世帯支出の平均は5万7311ドル(約630万円)で、このうち3万5138ドル(約390万円)が住居費、交通費、食費だ。サバティエ氏によると、これをほぼ半分に抑えられれば、1年で1万7500ドル(約190万円)、ひと月あたり1458ドル(約16万円)が貯まる計算だ。
それでも予算を持たないのはリスキーだと思うあなたには、お金に関するブログ『ESI Money』を運営しているジョンさんの研究結果を紹介しよう。自分の力でミリオネアになった人々を数年にわたって取材してきたジョンさんによると、その多くが予算を組んでいなかったという。
ジョンさんはブログで、「ミリオネアたちが予算を必要としない理由は、理にかなっている —— 彼らは稼ぎが多く、自制心を持っている」とし、「言い換えれば、彼らは大金を稼ぎ、そのごく一部しか使わないから、十分な額が余る。誰が予算など必要とするだろうか? 」と書いている。
(翻訳、編集:山口佳美)