シャープの新型ロボホン「2020年度末までに3万台」、家族・法人向けに展開を強化

ロボホン

シャープのモバイル型ロボット「RoBoHoN」の第2世代モデルが登場した。

シャープは2月18日、モバイル型ロボット「RoBoHoN(ロボホン)」の第2世代モデルを発表した。第2世代には第1世代と同様のWi-Fiモデル、LTE/3Gモデルに加え、着座タイプの廉価モデル「RoBoHoN lite」が登場した。

いずれのモデルも発売日は2月27日、ロボホン本体の予想価格はLTE/3Gモデルが18万円、Wi-Fiモデルが12万円、liteモデルが7万9000円の予定(いずれも税別)。

長谷川祥典氏

シャープの専務執行役員 スマートホームグループ長兼IoT HE事業本部長の長谷川祥典氏。

ロボホン第1世代の発売から約3年(第1世代の発売は2016年5月26日)。シャープの専務執行役員 スマートホームグループ長兼IoT HE事業本部長の長谷川祥典氏は発表会で、ロボホン第1世代の累計販売台数について2019年1月末まで「約1万2000台」と明らかにした。

長谷川氏は、今回発表した廉価版を含む新モデルと新サービスで「よりたくさんのユーザーの方に使っていただきたい」と語っており、第2世代機については「2020年度までに3万台を売りたい」と語っている。

第2世代と第1世代の違いはあまりない

第2世代ロボホン

第2世代ロボホンは第1世代と比べて細かなサイズの違いや内蔵プロジェクターの有無、胸のエンブレムと足・耳のカラーリングが第1世代と異なるが、前掛けのパーツは共通しているなど大きな違いはほとんどない。

実を言うと、ロボホン第2世代機と第1世代機の違いは言うほど大きいものはない。

約3年ぶりのアップデートということで、SoCはクアルコム製8コアCPU搭載の「Snapdragon 430」、Wi-Fiは2.4GHz帯に加え5GHz帯にも対応、背面のディスプレーは2インチから2.4インチにやや大型化、ロボホンの額にあるカメラもやや広角化するなど、細かいブラッシュアップは加えられている。

しかし、発表会の説明員は「動作や処理スピードなどに細かな違いはあれど、第2世代だから使えるといった特別な機能はない」と発言している。

RoBoHoN lite

RoBoHoN liteは着座専用のモデル。足が動かない分、製造コストを抑えられている。

唯一例外は、今回発表になったRoBoHoN liteだ。RoBoHoN liteは物理的に立ち上がらない“着座”専用のモデルで、脚部に利用している多数のモーターを取り除くことで価格の低廉化を実現している。SoCやカメラ性能などは第2世代機と同等になっており、「足を動かす以外」のモーションやそれに付随しない機能は問題なく利用できる。

この理由について長谷川氏は「互換性を重視している」と話し、「新世代向けアプリを旧世代でも使えるというのは続けていきたい。既にロボホンを買っていただいたユーザーにもコミットしたい」と語っていた。実際、第2世代と同時に発表された新サービスはいずれも第1世代、第2世代のロボホンで利用できる。

なお、第1世代機は広島県にある自社工場で製造していたが、第2世代からは親会社である鴻海(ホンハイ)精密工業の工場に移管する。部材コストの低廉化を目的とした取り組みだが、長谷川氏は「ロボホンの耐久性は変わらない」「開発メンバーは第1世代の頃と変わらない」と語っている。

家族での利用を意識した新サービス

見守りサービス RoBoHoN

家の様子を外出先などで確認できる「留守番」アプリなどが新登場。

ロボホンはスマートフォンと同じくアプリをインストールしたり、サービスを契約することで利用範囲を拡大できる。第2世代機の発表と合わせて、以下のアプリやサービスが発表された(以下のかっこ内の価格はすべて税別。いずれも月額税抜980円〜の「ココロプラン」の契約が別途必須)。

  • 人を見つけると教えてくれたり、リアルタイムで部屋の様子を確認できる「お留守番」(月額300円)
  • グラフィカルな外観でプログラミングできる「ロブリック」(8900円)
  • 5月配信予定で、体重や歩数の管理と食事メニューのアドバイスをする「ヘルスケア」(月額300円)
  • 6月にジョイサウンドと提携して配信するカラオケアプリ「ボクと歌お」(童謡以外の利用で月額300円)
  • 3月以降順次配信。他社製IoTリモコン経由や対応家電を直接操作できる「家電連携」

シャープのIoT HE事業本部 IoTプロダクツ事業統轄部 市場開拓部長の景井美帆氏は、「個人のロボホンとしてだけではなく、家族のロボホンとして進化していく」と、新サービスのターゲットを子育て世代などを含む家庭向けであることを明らかにしている。

HEMSや教育などB2B2Cを含めた法人向けを強化

RoBoHoN lite HEMS

HEMSと連携し、リアルタイムの発電量などを教えてくれる「RoBoHoN lite HEMS」。ECHONET Lite規格に対応した家電や住設機器の操作も可能。

また、法人分野についても展開を強化。その代表的な例として、HEMSとの連携機能を有した「RoBoHoN lite HEMS」を発売する(価格はオープン、発売日は2月27日)。

※HEMSとは:
Home Energy Management Systemの略。住宅全体で利用するエネルギーを管理・制御するシステムのこと。例えば、太陽光発電の設備を入れている場合は発電量をリアルタイムでチェックできる。

従来ではHEMSの情報は、管理サイトなどをスマホなどで表示して確認する必要があるが、RoBoHoN lite HEMSは腕の動きや発話で発電状況などの情報を逐次教えてくれる。

ロブリック RoBoHoN

RoBoHoN Liteで単価を下げ、ロボットプログラミングのアプリを用意することで、教育現場への更なる普及を目指す。

同社は前述の通り、2020年度末までに3万台の販売を目標にしているが、長谷川氏はその内訳について「個人が半分、法人も半分程度」にしたいと語っている。現時点の第1世代の販売台数の内訳は「個人向けが85%、法人向けが15%」(同氏)とのことで、目標達成に法人強化は必須事項だ。

長谷川氏は、有望視している法人向けのターゲットについて「教育、観光、接客の3分野の可能性が高い」と語り、「私の感覚では教育用に数が出るのでは」と話している。

(文、撮影・小林優多郎)

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