新しいナビゲーション技術と自動ゴミ収集機能などがついたアイロボットの最上位ロボット掃除機「ルンバi7/i7+」が日本に上陸する。
- アイロボットは日本でも最上位のロボット掃除機「ルンバi7/i7+」を発売する
- i7/i7+は家の間取りを記録し、学習。i7+はさらに自動ゴミ収集機能が付いた
- 人気モデルの「ルンバe5」と今後割引する従来モデルと合わせて、日本でのロボット掃除機の普及率向上を目指す
アイロボットジャパンは2月19日、ロボット掃除機の最上位モデル「ルンバi7/i7+」の日本発売を発表した。
発売時期はi7が2月22日、i7に自動ゴミ収集機が付属するi7+が3月8日の予定。直販価格はi7が9万9880円。i7+が12万9880円だ(いずれも税抜)。
米アイロボット・コーポレイション CEOのColin Angle氏。
i7/i7+ともに2018年9月にアメリカで先行発売されていた製品と同等だが、日本正式発表に合わせて米アイロボット・コーポレイションのColin Angle(コリン・アングル)CEOが来日。発表会で、「最初のルンバ以来、最も優れたルンバ」と本製品を説明した。
ルンバ史上最も賢く、家の構造を覚えられるように
ルンバi7は、従来のフラグシップ機と比べると、間取りの学習後であれば効率的な清掃ルートを覚えられるため、より素早く清掃が完了する。
ルンバi7の最大の進化は、家の地図を記録し学習するようになった点だ。従来のルンバのハイエンドシリーズも部屋の構造を理解し地図を作成していたが、セキュリティー的な側面と、椅子などの家具の配置が変わったとしても対応できるようにするため、清掃のたびに地図情報を破棄していた。
一方、今回のi7では地図を記録し、より効率的なルートで可能となった。ユーザーは、ルンバの作成した地図をアプリでチェックし、それぞれの部屋に名前を付けておけば、指定した部屋だけを清掃することもできる。
なお、従来モデルまで懸念されていたセキュリティーについては、地図データはアイロボットの「クラウド上に暗号化した状態で保存し、安全性を確保している」(アングル氏)という。また、家具の配置が変わったとしてもルンバは記録だけではなく、清掃の都度、学習も行うため常に最適なルートを導き出すとしている。
地図データやルンバi7が掃除した場所などは、スマートフォン向けアプリで確認できる。
地図の記録・学習は、高速化したチップと新しいアルゴリズムの採用で実現している。
アングル氏は、「ロボット掃除機にとって、居場所を知ることが重要である」と発表会で話している。また、それは「スマートホーム全体にとって重要な意味を持つ」と語る。
もし、スマートスピーカーや掃除機を含めたロボットなどのIoT機器が共通の地図を持ち、それぞれの設置位置を把握できるのであれば、その場所やそこにいる人に応じたサービスが、ユーザーがいちいち指示を出さなくても提供されるというわけだ。
家から「掃除が消える」i7+だけの特徴
i7+だけの特徴である「クリーンベース」。「掃除したルンバの掃除」がいらなくなる。
また、i7+にはアングル氏が「家の中から掃除の存在、ルンバの存在が消える」と話す機能がある。それが、自動ゴミ収集機「クリーンベース」だ。
クリーンベースは、充電台を兼ねたルンバのホームベースにゴミ収集のための機構を備えたものだ。i7+は今までのルンバと同じく清掃作業を終了すると、クリーンベースに戻って来るが、そこではルンバが充電されるだけではなく、ルンバ本体に集めたゴミがクリーンベースに吸引される。
クリーンベースに取り付ける専用の紙パック。
クリーンベースには専用の紙パック(3枚セットで直販価格1980円税抜)をセットしておき、フィルターがゴミでいっぱいになったらそのまま可燃ゴミとして捨てられる。フィルターはi7のダスト容器30杯分で満タンとなる。
仮に1週間に1回ルンバで掃除をして、その1回で1杯分のゴミを集めたとしても、半年以上は紙パックを交換しなくてもいい計算だ。アングル氏はこの特徴と、学習した部屋ごとに清掃スケジュールを設定できる機能を合わせて「掃除の存在が消える」と表現したわけだ。
「1家に1台」を目指し、既存のラインアップを更新
ルンバの2019年春のラインアップ。予算に合わせて機能の有無を選べる。
アイロボットジャパンはi7/i7+の発売に合わせて、既存モデルのラインナップも以下のように更新した(以下、いずれも税抜)。
- 現行フラグシップ「ルンバ980」は、i7/i7+の販売と同時に生産終了
- ハイミドルの「ルンバ960」は、直販価格が8万9880円から6万9880円へ2万円値下げ
- エントリーモデルの「ルンバ643」は、直販価格が3万9880円から2万9880円へ1万円値下げ
同社の現在の売れ筋は、2018年10月に発売した5万円を切るミドルレンジの「ルンバe5」だ。
アイロボットジャパン社長の挽野元氏は、e5の発売以降、e5が急激に販売数を伸ばし他のアイロボット製品を追い抜くまでになっていると明かした。
「他のモデルの売り上げもけん引している」(挽野氏)という「ルンバe5」。
同社は日本で最終的には“ロボット掃除機を1家に1台”になる状態を目指すと宣言している。その1ステップとして「2023年までに日本での世帯普及率を10%にする」と目標を掲げているが、同社調べでは2019年2月時点では4.9%に留まっている。
同社はこの“目標10%”達成に向けて、お手頃な価格とある程度の性能を兼ね備えたe5と、今回のフラグシップi7/i7+、そして価格改定を行った960と643という、幅広い価格レンジのラインアップで2019年の日本市場に挑もうとしている。
(文、撮影・小林優多郎)