ヴァージン「クルーズ船」進出はブランソンの怒り?

リチャード・ブランソン

ヴァージン・グループの創業者リチャード・ブランソン氏。

Hollis Johnson/Business Insider

リチャード・ブランソン率いるヴァージン・グループはクルーズ業界に進出しようとしている。

起業家の象徴的存在とも言えるブランソンは2月14日(現地時間)、ヴァージン・ヴォヤージュ(Virgin Voyages)は正式に営業を開始し、2020年4月の初航海のチケットの販売を始めたと語った。

ベインキャピタル(Bain Capital)とのジョイントベンチャーであるヴァージン・ヴォヤージュは、ブランソンにとって初めてのクルーズ業界への進出。さらにブランソン個人にとっても、初のクルーズ体験になる。つまり、ヴァージンが現状を打破することが期待できる。

「業界を根本的に変え、ヴァージンで働くすべての人、ヴァージンとかかわるすべての人が誇りに思えるような何かを根本的に生み出せないかぎり、その業界に進出しようとは絶対に思わない」とブランソンはBusiness Insiderとのインタビューで語った。

ブランソンとクルーズ業界の関係は愛憎が入り混じっている。

「クルーズ船には一度も乗ったことがない。クルーズ船に魅力を感じたことはない」とブランソンは2月14日、記者にそう語った。

にもかかわらず、大人限定クルーズ船を27歳の頃から思い描いてきた。

現在のヴァージン・ヴォヤージュは、当時のビジョンからそれほど離れていないとブランソンは語った。

「基本的に、若々しい心を持つ洗練された人たち、素敵な時間を過ごしたいと思っている人たちをターゲットにしている」

ヴァージン・ヴォヤージュの創業は2014年。ブランソンがクルーズ業界に参入した背景にはベインの市場調査があった。調査では、ヴァージンのブランド名がつけば、クルーズ船に乗ったことのない「膨大な」人々がクルーズ船に乗ってみたいと考えていることが示された。

つまり、ヴァージン・ヴォヤージュのゴールは、主流のクルーズラインから顧客を奪うことではなく、むしろ業界の顧客基盤を拡大することにある。

ヴァージン・ヴォヤージュの最初のクルーズ船「スカーレット・レディ」はイタリアで建造中。

ヴァージン・ヴォヤージュの最初のクルーズ船「スカーレット・レディ」はイタリアで建造中。

Virgin Voyages

ブランソンは今回、強力な援軍を得てクルーズ業界に参入する。

ヴァージン・ヴォヤージュのCEOを務めるのは、ディズニー・クルーズラインの元社長トム・マカルピン。ヴァージン・アトランティック航空の旅客機のムードあふれる照明に包まれたスタイリッシュな客室を手がけたディー・クーパーがデザインとカスタマー・エクスペリエンスを担当する。

乗客にとって、ヴァージン・ヴォヤージュでの体験は、従来のクルーズ船とは大きく異なるものになる。たとえば、すべての乗客に無料Wi-Fiが提供され、ビュッフェはない。

ビュッフェのかわりに20を超えるレストランがあり、クルーズ料金に含まれる。

さらに乗客はチップを払う必要がない。船のクルーには収入をチップに頼る必要のない給料が支払われるとマカルピンはBusiness Insiderに語った。

ヴァージン・ヴォヤージュは環境保護を重視するブランソンの姿勢にも沿っている。マカルピンは14日、船上での使い捨てプラスチックの使用を認めないと発表した。

それにより、今は最終的に海に流出しているプラスチック製のボトルやストロー、マドラー、個包装パックの数を抑制できることをヴァージン・ヴォヤージュは期待している。

ブランソンが所有するプライベート・アイランド。

ブランソンが所有するプライベート・アイランド。

Necker Island

「この方針は思い切ったもので、犠牲も大きい。なぜならクルーズ業界はウォーター・ボトルを販売することで多額の利益を得ているから。だが、我々はこれが正しいことだと考えている」とマカルピンは記者に語った。

ヴァージンによれば、代わりに船の各所に配置する給水ステーションで、ろ過水や炭酸水を無料で提供する。

ヴァージンはまた、サンゴ礁を破壊しない日焼け止めの開発にも取り組んでいる。

ブランソンにとって、環境に配慮したクルーズ船は個人的にも重要な問題。

長らく英領ヴァージン諸島に暮らすブランソンによると、クルーズ船による人の排泄物の海中投棄を禁じる規制がないため、クジラやイルカといった海洋生物が海域から姿を消す事態になっている。

「ヴァージン諸島には、海への排泄物の投棄を禁じる法律はない」とブランソン。クルーズ船は「マイアミに戻って排泄物を降ろさずに、その費用の1万5000ドルを浮かすためだけに、海のさほど遠洋ではない場所で汚水を丸ごと捨てている」

「法的に許されているとしても、そうした行為をヴァージンの船が行うことを目にすることは決して、絶対にない」

ヴァージン・ヴォヤージュは最初のクルーズ船「スカーレット・レディ(Scarlet Lady)」を2020年にマイアミから就航させる計画ベインキャピタルによれば、スカーレット・レディはヴァージン・ヴォヤージュが運航する3隻のクルーズ船の1隻目。各船の排水量は11万トン、2800人近い乗客を収容する。

[原文:Richard Branson reveals how his new adults-only cruise line, Virgin Voyages, will turn the cruise industry upside down

(翻訳:梅田智世/ガリレオ、編集:増田隆幸)

ソーシャルメディアでも最新のビジネス情報をいち早く配信中

あわせて読みたい

Popular

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み