自動車産業の低迷が、世界経済を不況へ向かわせている? HSBCが指摘

窓に突っ込んだ車

最悪の時期は終わった?

Jason Paris / Flickr, CC

  • HSBCによると、アメリカでは新車に対する需要が低下している。
  • ホンダや日産、フォード、ゼネラル・モーターズ(GM)は、ヨーロッパで数千人規模の人員削減を発表している。
  • 貿易戦争が国際的な自動車の輸出に影響を及ぼし、需要の低下につながっている。
  • ただ、希望もある —— 「工業不況」はさほど長く続かず、すぐに回復するかもしれない。

HSBCの2人のエコノミストによると、世界の自動車熱は冷めてきていて、それが世界経済を不況へ向かわせる一因となっている。

それを示すため、彼らはアメリカにおける小売売上高と新車登録台数を比較したチャートを作成した。アメリカ経済は好調で、消費需要は上がり続けている。ただ、それが自動車にはあてはまらないのだ。

チャート

消費者はモノを買っている。ただ、車を買わないだけだ。

HSBC

HSBCのエコノミスト、ジャネット・ヘンリー(Janet Henry)氏とジェームズ・ポメロイ(James Pomeroy)氏によると、「自動車の需要が減少しているのは、環境政策の強化や都市化、オンデマンドの配車サービスや公共交通機関といった代替手段への投資が進んだ結果だ」という。

アメリカではしばらく小さめの「乗用車」の売り上げが減り続けている。だが、SUVやピックアップ・トラックの売り上げがそれを補ってきた。自動車全体の売り上げはほぼ横ばいだが、長期的には減少傾向にある。

そして、これはアメリカに限ったことではない。ヨーロッパの自動車産業も雇用の面で縮小している。

「世界の一部はすでに工業不況だ」と、HSBCのヘンリー氏とポメロイ氏はBusiness Insiderが入手した顧客向けのメモの中で述べている。

両氏は、国際貿易の縮小とそれが国際輸出に及ぼす影響を最も懸念している。企業や消費者が不透明な国際市場を嫌って生産を控え、雇用を減らす中、アメリカ対中国、イギリス対欧州連合(EU)の貿易戦争が製造業に大きな打撃を与えている。

「世界経済の弱点の多くは製造業に集中」

ダメージは一様ではない。政府の景気刺激策のおかげで、アメリカと中国は比較的好調を維持している。しかし、ヨーロッパと日本の工業生産は苦しんでいる。

HSBCのメモは、「ユーロゾーンやラテンアメリカのサプライズ指数は2018年の半ばから暴落していて、主要経済のコンセンサス予測はここ6カ月あまりで大きく引き下げられた」としている。

そして「ドイツの国内総生産(GDP)の年間成長率は1.5%と、4月のコンセンサス予測を0.9%下回った一方で、2018年のアメリカと中国のコンセンサス予測は、6月の予測から全く変わっていない。日本は0.7%下回っていて、直近のラテンアメリカのコンセンサス予測は年半ばを1.2%下回っている」という。

チャート

「サプライズ指標」は経済データが予想をどのくらい上回ったか、下回ったかの平均だ。

HSBC

「世界経済の弱点の多くは製造業に集中している。サービス業PMI(購買担当者景気指数)が1.6ポイント、少しずつ低下する一方で、世界の製造業PMIは2018年の初め以降、3.6ポイント低下している」と、HSBCのメモは指摘している。

しかし、トンネルの終わりにはすでに光がさしているのかもしれない。「工業不況」は2、3四半期と、長続きしない傾向がある。そして、主要経済の大半は製造業ではなくサービス業に基づいている。ドイツでは、複数のアナリストたちが製造業の2018年後半からの回復を見込んでいる。

HSBCのヘンリー氏とポメロイ氏は、「ヨーロッパや日本では、最悪の時期を脱したかもしれないという一時的な兆候が見られる」と述べている。

[原文:The failing automobile industry is pushing us toward a global recession]

(翻訳、編集:山口佳美)

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