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「カスタマーエクスペリエンスセンター」開設で加速するパナソニックの“現場プロセスイノベーション”とは

“GEMBA”より転載(2019年1月15日公開の記事)

現場プロセスイノベーションと障子された大型パネル

GEMBAではこれまで、少子高齢化による労働人口の減少や、働き方改革などの社会課題と密接に結びつく企業課題の解決に向けた、SCM(サプライチェーンマネジメント)におけるさまざまな取り組みを取材してきた。本記事でお伝えする内容は、そうした各社の取り組みを一層刺激するものになるかもしれない。 4つのカンパニーを持つパナソニックのなかで、BtoB事業を担うコネクティッドソリューションズ社(以下、CNS社)は、創業100年の老舗家電メーカーとしての歴史を持つパナソニックが培ってきた知見を顧客企業の困りごと解決に生かすビジョン「現場プロセスイノベーション」を掲げている。2017年4月の設立から丸2年の節目を前に、去る12月17日、CNS社本社・住友不動産汐留浜離宮ビル(東京・銀座)において、これまでの「現場プロセスイノベーション」の推進状況と、今後の加速策が発表された。当日の記者発表会の模様を緊急レポートする。

「現場プロセスイノベーション」とは

「現場プロセスイノベーション」事業に注力する3つの理由

CNS社社長・樋口泰行氏はこの日の記者説明会の冒頭で、同社が現場プロセスイノベーション事業に取り組む理由を「パナソニックのDNAとの親和性」「戦略的意味+ニーズの高まり」「コア技術・製品を保有」の3点にまとめて説明した。

①パナソニックのDNAとの親和性が高い

手作業の生産ラインが主流だった高度成長期の当時、パナソニックは製造現場の業務プロセス改善のため、自社のノウハウを活かし、部品実装機を自社開発した。それを生産設備として外販するなど、もとより「現場プロセスイノベーション」を推進するDNAを持っている。

② 戦略的意味+ニーズの高まり

以前GEMBAでも取材した、東京大学ものづくり経営研究センター長・藤本隆宏が提唱する理論にもあるように、上空(GoogleやAmazonなどグローバルのプラットフォームリーダー)と地上(ものが動く製造業などの現場)をつなぐ“低空”において、ERP(Enterprise Resources Planning、ここでは業務プロセスの改善につながる「現場から得られるデータ」を統合的かつリアルタイムで管理・分析するためのシステム)のような「統合コントロール・レイヤー」にニーズが高まっている。CNS社はそこに活路を見出し、顧客の持つ「つくる・運ぶ・売る」というバリューチェーンを革新する価値提供をしていく。

③ コア技術・製品を複数保有

CNS社が上記の統合コントロール・レイヤーを担おうとしたときに、パナソニックが製造業で培ってきたノウハウ、自動化技術、ロボティクス技術、顔認証技術などのコア技術や、それらを活用した製品を保有していることは大きな強みとなる。

以上を踏まえて、CNS社は主に製造・物流・流通の領域で、これまで20件超のプロジェクトを推進中。なかでも店舗自動化ソリューションを活用した中国大手火鍋チェーン「海底撈」と共同で取り組んだ「スマート火鍋店」は、社会的にも多くの関心が集まった。樋口氏はそれらのプロジェクトについて「大きな手応えを感じている」という。

樋口泰行氏

パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社 社長の樋口泰行氏。

上流から現場まで一気通貫に——現場プロセス本部を新設

同社が掲げる「現場プロセスイノベーション」の加速のために、2019年1月1日付でCNS社内に新設される組織が「現場プロセス本部」である。同社上席副社長 兼 パナソニック システムソリューションズ ジャパン社長・片倉達夫氏が組織発足の経緯と概要を解説した。

「現場プロセスの改善は、お客様の独力だけで解決するのは困難です。我々は現場プロセスイノベーション創出に向け、その先導組織として現場プロセス本部を設立します」(片倉氏)

およそ350名でスタートするという現場プロセス本部を「上流から現場まで一気通貫した体制」とすべく、ここには「60年間にわたるBtoBソリューションの知見」「ロボティクス・オートメーションの技術力」「グローバル325ヶ所の工場で培った改善ノウハウ」などの強みを持った人材を集結させる。かつ、新たに「コンサルによる上流工程からの価値訴求」「組織一体化によるスピードアップ」「脱・自前主義で、他社協業による新たな領域拡大」などを目指し、「現場プロセスイノベーションの価値を倍増させていく」と、片倉氏はその展望を語った。

片倉達夫氏

CNS社 上席副社長 兼 パナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社 社長の片倉達夫氏。

共創によるお客様接点のハブへ——カスタマーエクスペリエンスセンター開設

さらにCNS社は2019年1月10日から、本社内に主に顧客企業を対象とした、プレゼンテーションエリア、展示エリア、共創エリアから成る「カスタマーエクスペリエンスセンター」(以下、CXC)という施設をオープンし、本格稼働を始める。この日はCXCのお披露目会も行われた。

「ここは、パナソニックの総力を結集した“お客様接点”のハブになる場所」。お披露目会のスピーチ冒頭、そう話したのは同社常務 兼 エンタープライズマーケティング本部本部長である山口有希子氏だ。

山口有希子氏

CNS社 常務 兼 エンタープライズマーケティング本部本部長、山口有希子氏。

山口氏によれば、CXCは見学して終わってしまうような「旧来型のショウルーム」とは一線を画する。そもそもCNS社は中長期的な“変革のフレームワーク”を「3つの階層」に分類しており、「組織のカルチャー&マインドを変える“風土改革”(1階層目)」と「選択と集中の実践を行う“事業立地改革”(3階層目)」の中間層を「ソリューションのレイヤーアップによる“ビジネスモデル改革”(2階層目)」としている。

「2階層目のレイヤーアップを遂行するためには、我々も、製品・技術起点で提案する“プロダクトアウト型”から、お客様起点で提案する“共創型”へと舵を切らなければなりません。お客様の本質的課題を理解し、お客様とともに考え、本当にお役立ちするソリューションをご提案する拠点——それがCXCなのです」(山口氏)

CXC内は3つのテーマで分類されている。まずはCXC中央にある「プレゼンテーションエリア」(テーマ1「Discussion」)。ここでは4Kプロジェクターなどが導入されるため、対話やプレゼンテーションにおいて迫力ある映像・音響機器システムを利用できる。また、遠隔地の開発・製造現場とはパナソニックのビデオ会議システム「HDコム」での対話が可能だという。

CXCの概要を説明する山口氏

プレゼンテーションエリアでCXCの概要を説明する山口氏。

また、CXC内には各分野に精通したエバンジェリストとしてパナソニック社員を配置。センターに来場した顧客と対話を重ねながら、課題解決策を提案する。

プレゼンテーションエリアの外に出れば、「展示エリア」(テーマ2「Exhibition」)があり、樋口社長が記事冒頭で語っていた、パナソニックの「コア技術」を生かした最新ソリューションの展示がずらりと並ぶ。実際の技術・ソリューションを目で見て、あるいは実際にモノを動かしながら“体験”することで、新たな課題や施策が見えてくる仕掛けだ。

それでは、製造・物流・流通にまつわる技術・ソリューションを中心に、展示の一部を見てみよう。

半自動式の部品実装機「パナサート1号機」

1968年に自社開発された半自動式の部品実装機「パナサート1号機」。生産設備の外販の歴史はここから始まった。

荷仕分け支援システムを説明するパネル

「荷仕分け支援システム Visual Sort Assist」はプロジェクションマッピングで荷物に映像を追従しながら投影し、物流倉庫などでの作業を効率化する。

「超低床型自動搬送ロボット」

さまざまなメーカーのかご台車に対応するため、台車を下から持ち上げる発想で作られた「超低床型自動搬送ロボット」。2018年にグッドデザイン賞を受賞した。

顔認証技術によるシステムを説明するパネル

顔認証技術によるシステムは、監視カメラに映った映像と連動して迷子や要注意人物を検知できるだけでなく、顧客分析など流通・小売現場での活用も期待されている。

最後に、展示エリアに隣接する「共創エリア」(テーマ3「Co-Creation」)はカフェエリアも設けられた開放的な空間。ここは、さまざまな課題を持った顧客と対話・ディスカッションを行うためのエリアだという。

現場プロセス本部の設置とCXCの開設により加速し始めたCNS社。 2019年が明けてすぐの1月13日には、サプライチェーンマネジメント(SCM)市場へ、ソフトウェアを供給するリーディングカンパニーであり、4千以上ものグローバルの顧客へEnd-to-Endでソリューションを提供している米国のJDA Software Groupと共同開発に関する覚書を締結したことを発表。今後両社の強みを生かし、企業間バリューチェーンを向上するSCMソリューションで顧客価値の実現を目指すと発表した。

2018年10月に発表した中国大手火鍋チェーン「海底撈」との「スマート火鍋店」、そして、CXC開設と今回の発表。ますます加速するパナソニックの「現場プロセスイノベーション」の今後の動向に注目したい。

“GEMBA”より引用転載(2019年1月15日公開の記事)

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