LINEモバイルは2019年の事業方針説明会を開催。同社社長の嘉戸彩乃氏と女優の本田翼さんが登壇した。
- LINEモバイルでは4月からau回線の提供を予定。国内のどのSIMロック端末でも利用可能に
- 回線の即時開通に対応する店舗の拡充やおトクなキャンペーンも発表
- LINEモバイルは、2018年4月にソフトバンク傘下になってからも成長が続いている
LINEの格安スマホ事業であるLINEモバイルは2月20日、2019年の事業方針と新CMについて発表した。
同日に東京・表参道で行われた発表会には新CMに出演する女優の本田翼さんも登場し、同社が新戦略として掲げた「誰でも使える」「誰でも契約しやすく」「誰でもおトクに」という3つの「誰でも」についての詳細が明らかになった。
au回線のスタートでより「誰でも使える」サービスに
LINEモバイルは4月よりau回線での提供も開始予定。
まず、1点目「誰でも使える」というのは、日本で売られているどのキャリアの端末でも、という意味だ。
2月21日現在、LINEモバイルはNTTドコモとソフトバンクの回線のサービスを提供しているが、4月にはau回線の取り扱いをスタートすると発表した。料金はNTTドコモ回線とソフトバンク回線それぞれと同様の構成となる。
これにより、今どのキャリアの端末を使っているか、SIMロックの有無に関わらず、LINEモバイルでもそのまま端末を使い続けることが可能になる。
オンライン申込7割超の現状、オフラインも強化
運営がメッセージングサービス大手のLINEなだけに、ネットでの新規契約申込率は高い。
2点目の「誰でも契約しやすく」は、即日開通に対応する店舗の拡大を示す。LINEモバイルは、2019年2月時点で全国600カ所以上の即日開通店舗を有しており、この数字を「MVNO※最大級の規模」と表現している。
※MVNOとは:
Mobile Virtual Network Operatorの略で、日本語では仮想移動体通信事業者のこと。格安SIM事業者などとも呼ばれており、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクといった通信事業者から設備を借りてサービスを提供している。LINEモバイルでは、KDDI傘下のUQモバイルは除くとしている。
LINEモバイルはメッセージングサービスの「LINE」との親和性が高いため、新規契約者のうち約75%はオンラインからの申し込みとなっているが(2019年1月時点)、同社としてはオンラインで申し込みなどをしない層にもリーチしたい考えだ。
「3カ月間・月300円から」のキャンペーンは継続
嘉戸氏が「ビックリするほど成功」という3カ月間・月300円(税抜)のキャンペーン。
最後の「誰でもおトク」というのは、おもにキャンペーンについてだ。LINEモバイル社長の嘉戸彩乃氏は国内の主要キャリアの各種キャンペーンを振り返り「キャンペーン適用の条件が複雑」と指摘。下記2つのような自社キャンペーンについては、あくまでもシンプルなものを提供するとしている。
- SNS使い放題 新・月300円キャンペーン……LINEやTwitterなどのSNSの通信量がカウントフリーとなる「コミュニケーションフリープラン」(音声付き・月3GB)であれば契約から3カ月間は月額300円(税抜)になる。他社からの番号の移動(MNP転入)や新規契約のどちらでも対象。2018年11月より提供しており、キャンペーン終了時期は未定。
- らっきー★ふぇすてぃばる……毎月どこかの水曜日に何かおトクな施策を発表するというもの。第1弾は2月20日から3月31日までの間にLINEモバイルへMNP転入してきたユーザーの10人のうち1人に対し、1年間毎月最大1200円(税抜)の割引を行う。他にも全ユーザーが参加できるアイスの抽選キャンペーンなども実施予定。
2018年はソフトバンク傘下で純増数が急成長
現在、LINEモバイルはソフトバンク傘下のMVNOだ(写真は2月6日に開催されたソフトバンクの決算発表会の様子)。
LINEモバイルは、現在ソフトバンクの傘下のMVNOだ。LINEとソフトバンクは2018年4月に資本業務提携を締結。LINEモバイルへの出資比率はソフトバンクが51%、LINEが49%となっている。
嘉戸氏はソフトバンクとの提携後からこれまでを振り返り「ソフトバンクとの提携、回線の提供によって、LINEモバイルは大きく成長することができた」という見解を示している。
具体的な数量は示されなかったが、ソフトバンク回線の提供を開始した2018年6月と2019年1月の月間純増数を比較すると、その量は約3倍にも増加。その内訳もソフトバンク回線の方が後発ながらも多くなっており一定の成果をあげていることがわかる。
LINEモバイルの月間純増数はソフトバンク回線の提供後大きく成長した。純増数の内訳もソフトバンク回線の方が多い。
また、嘉戸氏はこの1年間の契約数の増加の要因として、月300円キャンペーンとLINE上などでしかけたオンラインプロモーション施策の結果をあげている。とくに月300円キャンペーンについては「ビックリするほど成功し、認知がグッと上がった」と話している。
政府が3キャリアに求めている「4割値下げ」の動きや10月の楽天の携帯電話事業への参入など、2019年はMVNO各社にとって非常に厳しい1年になると予想される。
嘉戸氏は「(3キャリアが)300円までやることはないだろう」としつつも、「大手キャリアや楽天、サブブランドがどうアプローチするかで変わってくることだと思う」と今後も業界の流れを見極めていく方針を明らかにしている。
(文、撮影・小林優多郎)