2018年6月にシンガポールで初会談したトランプ大統領と金委員長が、ベトナムで再び会談に臨む。
Reuters
- アメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は2月27日~28日、ベトナムのハノイで2回目の米朝首脳会談を行う。
- 期間中は一連の会談に加え、非公式の晩餐会や記念撮影も予定されている。
- 金委員長はハノイのホーチミン廟や観光客に人気のハロン湾などを訪れる可能性もある。
- 今後のスケジュールをチェックしよう。
北朝鮮の金正恩委員長とアメリカのトランプ大統領は2月27日~28日、2回目の米朝首脳会談を行う。トランプ大統領は北朝鮮の非核化を推し進めたい考えだ。
会談はベトナムの首都ハノイで開催され、金委員長は26日午後、トランプ大統領よりも先に現地入りした。
期間中のスケジュールをチェックしておこう。
※以下、時間は全てベトナムの現地時間。日本との時差は-2時間。
26日午前:金委員長、ベトナムに到着
韓国の聯合ニュースによると、金委員長を乗せた専用列車は26日午前8時10分頃、ベトナムの国境の街ドンダンに到着した。
その後、自動車に乗り換え、ハノイへ向かった。
ニューヨーク・タイムズによると、金委員長は北朝鮮とベトナムの友好を示すため、ベトナム戦争で北朝鮮の数百人規模の空軍兵士が展開したバクザン省といったベトナム北部の地域を通ってきた可能性が高い。これらの地域には、北朝鮮兵の墓もあるという。
26日午後:金委員長、ハノイに到着。滞在するホテルから報道関係者を追い出す
ドンダンで26日、金委員長の乗ったリムジンと並走する北朝鮮のボディーガードたち。
REUTERS/ Stringer
金委員長の車列 —— リムジンと並走するボディーガード抜きには語れない —— は26日午後、ハノイに到着した。
5つ星ホテルのメリア・ハノイに金委員長は滞在する。数日前からホテルのメディアセンターで準備をしてきた報道陣は突然、1時間後に別の場所へ移るよう指示された。金委員長はアメリカのジャーナリストたちと同じホテルには泊まりたくなかったようだ。
26日夜:トランプ大統領、到着
米朝首脳会談が開かれるベトナムへ向かうため、大統領専用機に乗り込むトランプ大統領。
Associated Press
ホワイトハウスの代表取材記者によると、トランプ大統領は26日午後9時、ハノイのノイバイ国際空港に到着した。
滞在先のホテルまでは車でさらに約1時間半ほどと見られる。ニューヨーク・タイムズ、聯合ニュース、シンガポールのザ・ストレーツ・タイムズは、トランプ大統領は金委員長のホテルから約5マイル(約8キロメートル)離れたJWマリオット・ホテルに滞在すると報じている。
サラ・サンダース大統領補佐官やミック・マルバニー大統領首席補佐官代行の他、ソーシャルメディア担当のダン・スカビーノ氏、大統領補佐官のスティーブン・ミラー氏らも随行している。
27日午前:トランプ大統領、ベトナムと貿易協定を結ぶ
ホワイトハウスの代表取材記者によると、トランプ大統領は午前11時、ベトナムのグエン・フー・チョン国家主席(共産党書記長)と会い、ベトナムの代表団との二国間交渉に参加、いくつかの貿易協定に署名する予定だ。協定の詳しい内容は分かっていない。
その後、トランプ大統領はベトナムのグエン・スアン・フック首相とのワーキングランチなどを予定している。
27日夜:トランプ大統領と金委員長、ベトナムで初めて会う
トランプ大統領と金委員長は27日夜に会う予定だ。シンガポールで2018年6月に開かれた初の米朝首脳会談以来となる。
非公式の晩餐会の前に、1対1で話す —— 恐らく通訳のみ同席 —— 計画だと、ホワイトハウスの代表取材の記者は述べている。
晩餐会にトランプ大統領は、マルバニー大統領首席補佐官代行とマイク・ポンペオ国務長官を同席させると見られている。ポンペオ長官は初の米朝首脳会談の下準備で、何度か金委員長に会っている。
金委員長は、アメリカとの重要な交渉役を務めてきた金英哲副委員長ともう1人誰かを同席させると報じられている。
この「もう1人」は金委員長の妹、金与正氏かもしれない。 金与正氏は昨年の初めての米朝首脳会談でも兄に付き添っていて、中国で列車が一時停車したときには、兄のためにクリスタルの灰皿を持っていた。
日本のテレビ局のカメラが、妹の与正氏が灰皿を持っている姿を捉えていた。
AP/YouTube
28日:最大で4回の会談
アメリカも北朝鮮も、28日のスケジュールは明らかにしていない。
ただ、聯合ニュースはトランプ大統領と金委員長は期間中に5回会談すると報じている —— つまり28日だけで最大4回会談を行うということになる。
両者はベトナム戦争中に作られた秘密の地下壕がある5つ星ホテル、ソフィテル・レジェンド・メトロポール・ハノイで会うと、聯合ニュースは報じている。
昨年のシンガポールでは、昼食の後、2人は突然ホテルの中庭を一緒に歩き、トランプ大統領は大統領専用車「ビースト(The Beast)」を金委員長に見せた。
そのわずか9カ月前には、トランプ大統領は北朝鮮を「炎と怒り」で脅し、金委員長はトランプ大統領を「老いぼれ」と呼んでいた。
シンガポールで会談中、ホテルの中庭を歩くトランプ大統領と金委員長。
Associated Press
トランプ大統領は、今回のハノイでの首脳会談に大きな進展を期待しておらず、非核化に向け、金委員長があいまいな約束をした昨年の首脳会談のフォローアップと位置付けている。
これまでのところ、非核化に向けた大した進捗はなく、アメリカの情報機関は、北朝鮮は恐らく核兵器を手放す気はないだろうと警告し、トランプ大統領を苛立たせた。
28日~3月3日:ホーチミン廟やインスタ映えのハロン湾を観光?
26日、ドンダンの駅に到着した金委員長。
REUTERS/Athit Perawongmetha
金委員長の滞在するメリア・ホテルが3月3日までセキュリティーの強化を継続するとしていることから、正恩氏は日曜日までハノイに滞在する可能性が高いと、聯合ニュースは報じている。
聯合ニュースとニューヨーク・タイムズは、金委員長が北朝鮮大使館から数ブロック先にあるホーチミン廟を訪れるのではないかとの見方を伝えている。 ホー・チ・ミン氏は1945年、フランスからの独立を求める戦いでベトナムを導いた共産主義革命家だ。
ホーチミン廟(2015年11月)。
Kham/Reuters
他にも、インスタグラムで有名な観光地、ハロン湾を訪れるかもしれない。ハノイからは約100マイル(約160キロメートル)だ。首脳会談に先駆けて先週、ベトナムを訪れた北朝鮮高官がハロン湾にも立ち寄っていると、ニューヨーク・タイムズは報じている。
ハロン湾は金正恩委員長の祖父、金日成氏が1964年に訪れた場所だ。
Wikimedia Commons
インスタグラムに最近アップされた写真がこちら。ハロン湾で撮影された写真はまだまだある。
金委員長がホーチミン廟やハロン湾を訪れる理由の1つは、今の北朝鮮を作った祖父の金日成氏に近付くためかもしれない。
日成氏はホー・チ・ミン氏と会い、1964年にはハロン湾を訪れている。
2011年に北朝鮮の指導者となって以降、金正恩氏は髪型まで変えて似せるなど、祖父のようになろうと努めてきた。
(翻訳、編集:山口佳美)