就活解禁!人気企業の選考通った学生のESを公開。面接の通過状況を公開する企業も【2019就活】

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東京・JR渋谷駅近くに登場した、就活の透明性を問いかける「#ES公開中」のキャンペーン広告。

撮影:ワンキャリア

2020年卒対象の就職活動が解禁となる3月1日、就活クチコミサイトのワンキャリアはJR渋谷駅界隈で、実際に学生が企業に提出したエントリーシート(ES)を匿名公開するキャンペーンを始めた。「#ES公開中」と掲げ、誰の目にもつくように、ESを配置した巨大広告を壁一面に張り出し、SNSでも拡散を仕掛ける。

「内定取得のためのハウツーに時間と気力を消耗するような就活ではなく、学生が本当に進路やキャリアを考えられる就活を」(ワンキャリア担当者)と、訴える狙いという。

経団連ルールでは内定解禁が6月とされながら、6月1日にはおよそ7割の学生が内定を得ているなど(2018年リクルートキャリア調べ)、ホンネとタテマエが渦巻く就活は、学生にとっても不安のかたまりだ。そんな中、#ES公開中以外にも、人事面接の通過状況や説明会内容を公開するなど「オープンでフェアな就活」を目指す企業も出ている。

なぜ実際のESを公開するのか

ワンキャリアが2週間にわたって公開するESは、同社が実施する就活生の人気ランキング上位計20社。これらの採用選考を近年に受けた学生が、実際に企業に提出したものだ。3月1日にはITと広告業界のESそれぞれ5社分ずつが巨大広告やウェブサイトに登場した。今後も、商社など人気業界のES公開を準備しているという。

同社が運営する就活クチコミサイトに登録している学生の同意を得て、個人情報は全て伏せた上で「志望動機」や「学生時代にがんばったこと」といった、ESではおなじみの項目を、公開する。

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実際に、過去に就活生が企業に提出したエントリーシート(ES)を公開する。個人が特定されない程度の修正は加えているが、ほとんど実物と、ワンキャリアは説明する。

提供:ワンキャリア

実際の社名こそ明かさないが、国内外の大手IT企業や広告代理店など、名だたる人気企業に実際に提出され、ES選考を通過した生のESを、誰でも見ることができるようになる。

渋谷駅付近の巨大広告のそばで、ESはラックで提供され、持ち帰り放題だ。

人気企業でES選考を通過した"模範解答”が出回ることには、否定的な意見も当然、予想される。それでもなぜ公開に踏み切るのか。

「今の就職活動は、ESを書いたり面接対策をしたりと、内定をとるノウハウに7割程度の時間やエネルギーを割いて、実際にどう働くか何をするかなど、キャリアや人生を考える時間は2〜3割ほどです」

ワンキャリアの担当者はこう説明する。

模範解答を公開することで「ESの上手な書き方など、本質的ではない部分にかける時間を圧縮して、空いた時間に人と会ってキャリアの話をしたり実際に企業の中に入ってインターンで働いてみたり、学生が前向きに進路と向き合える就活に変えたい」(担当者)という。

そもそも「内定がもらえるESの書き方」や「必勝面接法」など、ネット上には不確かな就活攻略法があふれている。「内定がゴールになりがちな就活のあり方を、企業にも学生にも問い直したい。就活に透明性をもたらしたい」というのが#ES公開中のメッセージと、ワンキャリア担当者は話す。

就活のブラックボックス化とどう向き合う

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2020卒の就活が解禁となった。しかし、実質、就活はもっと早くから始まっている。

撮影:今村拓馬

売り手市場とはいえ、毎年のように就活生は、「内定獲得」に奔走する。100枚近くESを書いても内定がとれなかったり、10数社の内定をとるために膨大な時間と体力を費やしたり。

その中で学生たちは「大人の世界ってこうなんだ、と思いました」(複数社の内定を得た2019卒予定の女子学生)と実感。就活そのものが、ホンネとタテマエを使い分ける必要のある、情報戦であることに疲弊していく。

就活ルールは今、迷走している。

外資系やベンチャーに優秀な学生を奪われる焦りから、日本の大企業を中心とした経団連は、現在の就活ルールの見直しを表明。一方で、政府や大学は早期化し過熱する就活を警戒する。「採用に直結するインターンは避けるべき」(文部科学省)などの見解を示してきた。

しかし、すでに3年生の夏のインターンで内々定を得る学生もいるなど、就活解禁前の学生の“獲得戦争”は事実上、野放しだ。都市部に企業が集中しているため、都市と地方の学生の間では情報格差が生まれるなど、多くの学生にとって、就活は中身のよくわからないブラックボックスと化している。

説明会や選考過程をオープンにして新たな人材

そんな実態を変えようと、企業が強者・学生が弱者の構図になりがちな就活を「もっとオープンにフェア(公平)に」と、人事面接の通過状況を公開したり、面接内容を公開したりといった企業も出てきている。

インターネット広告大手のサイバーエージェントは2019年卒向けから、対面での会社説明会を中止。代わりに、現場社員が会社や事業について説明した動画をオンライン上で見られる「サイブラリー」を始めている。オンライン上で会社説明会を開放したかたちだ。「地方格差をなくし、これまでに出会うことのできなかった全国の人材に接触できています」と、担当者は話す。

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サイバーエージェントがオンライン上で公開している、会社説明会。

さらに2019年は、選考過程に会社で数日間働くプロセスを入れて「できるだけ会社の中身を公開して知ってもらった上で、ミスマッチをなくしたい」(担当者)という。

IT企業のガイアックスは、新卒・中途も含めて採用データを2018年10月分から公開している。もともと通年採用なので、毎月の受験者数、その合否の数、大学群別の人事面接通過状況など毎月発表。受験倍率や、大学にこだわらない採用実績が確認できるようになっている。

ガイアックス担当者は「複業で働く人や起業家など、新たなタイプの内定者が出てきています」と、その効果を話す。

ソフトバンクはESの合否判定に、IBMの人工知能(AI)のワトソンを導入したことで話題を呼んだ。過去に「合格したES」「不合格だったES」を機械学習させ、ESの選考をこなすという。これも選考基準を明確にした、比較的、透明性の高い採用プロセスといえそうだ。

(文・滝川麻衣子)

編集部より:初出時、サイバーエージェントの会社説明会画像のキャプションで、サイボウズとあったのは、正しくはサイバーエージェントです。お詫びして訂正致します。 2019年3月1日 9:30

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