「新年の辞」を述べる金正恩委員長。
BBC
- 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は1月1日に発表した新年の辞で、アメリカが北朝鮮への制裁を緩めなければ、北朝鮮は軍事力に頼らざるを得なくなるかもしれないと述べている。
- 2月28日、金委員長とアメリカのトランプ大統領は、ベトナムで開催された首脳会談を予定よりも早く終わらせた。トランプ大統領によると、金委員長が十分な核施設の放棄を拒否し、アメリカが北朝鮮に対する全ての制裁を解除することを拒否したためだ。
- 新年の辞の中で金委員長は、アメリカが「制裁をかけることに固執するなら」北朝鮮の「主権を守る新たな道」を探すことになるだろうと述べた。
- 北朝鮮は2018年4月、核ミサイルの実験を止めたという。
金正恩委員長は1月1日に発表した新年の辞で、アメリカが北朝鮮への制裁を緩めなければ、北朝鮮は自らの国の主権を守るため、新たな、恐らくは軍事的な道を探すことになるだろうと述べている。
2月28日、アメリカのトランプ大統領はベトナムで開催された首脳会談で、金委員長とは合意に至ることができなかったと述べた。金委員長が一部の核施設を放棄する代わりに全ての制裁解除を求め、トランプ大統領が譲歩することを拒否したためだという。
新年の辞の中で金委員長は、アメリカが制裁を解除しなければ、北朝鮮は自国を守るために「新たな道を探さざるを得ないかもしれない」と述べた。トランプ大統領は28日、報道陣に対し、アメリカの全ての制裁は今も続いていると語った。
革製の椅子に座り、黒のスーツ、グレーのネクタイ姿で新年の辞を述べた金委員長は、制裁解除がなければ軍事的措置を取る可能性を示唆していた。
「アメリカが世界の目の前で結んだ約束を守らず、我々の忍耐力を見誤って一方的に何かを強制したり、我々の共和国に制裁と圧力をかけることに固執するなら」「我々は国の主権や最も重要な国益を守り、朝鮮半島の平和と安定を実現するため、新たな道を探さざるを得ないかもしれない」
新年の辞(動画)はこちら:
演説の中で金委員長が言及した国を守るための代替手段は、核ミサイルの実験再開かもしれない —— これは北朝鮮が2018年4月に止めたとし、金委員長が米朝首脳会談で、今後も行わないと約束したものだ。
また、金委員長の新年の辞は北朝鮮にある核施設が既存の12カ所から増えている可能性も示唆している。
米朝首脳会談の前、アメリカの情報機関や北朝鮮の専門家たちは、北朝鮮が核兵器を放棄することはないだろうと、繰り返し警告していた。1月に公表された情報機関の報告書は、北朝鮮の指導者は核兵器を「体制の存続に欠かせない」ものと見なしているとの考えを繰り返していた。
(翻訳、編集:山口佳美)