トランプ大統領の元顧問弁護士マイケル・コーエン被告。2019年2月27日、下院監視・政府改革委員会で証言した。
AP Photo/Alex Brandon
- アメリカでは2月27日(現地時間)、トランプ大統領の元顧問弁護士マイケル・コーエン被告が下院監視・政府改革委員会で証言し、大きな注目を集めた。
- 5月6日に収監予定のコーエン被告は、トランプ大統領を守るために嘘をつき、罪を犯したが「わたしはもうトランプ氏をかばっていない」という。
- 専門家は、コーエン被告の衝撃的な証言の数々は、トランプ大統領や大統領の家族を含む側近にとって、その地位を脅かすものになるだろうと指摘する。
- コーエン被告の証言のポイントを整理しておこう。
アメリカでは2月27日、トランプ大統領の元顧問弁護士、マイケル・コーエン(Michael Cohen)被告が下院監視・政府改革委員会で「元ボス」に不利となる数々の証言をして、大きな注目を集めた。
脱税、詐欺、選挙資金法違反、連邦議会での偽証など複数の罪で有罪となる前、コーエン氏はトランプ大統領の側近の1人だった。2017年に大統領の顧問弁護士になる前は、10年以上にわたってトランプ一族が経営するトランプ・オーガニゼーションの代理人を務めていた。
コーエン被告は27日の公聴会で、トランプ大統領を守るために嘘をつき、捜査をミスリードしてきたと発言。その上で「わたしはもうトランプ氏をかばっていない」と述べ、大統領とのやりとりの詳細を明かした。法律の専門家は、コーエン被告の証言はトランプ大統領や大統領の家族を含む側近にとって、その地位を脅かすものになるだろうと指摘している。
コーエン被告の証言の主なポイント:
- コーエン被告は、ニューヨーク州南部地区連邦検事局がトランプ大統領に関するまだ明らかになっていない「不正行為もしくは違法行為」を捜査していると述べた。
- コーエン被告は、2017年に自身が連邦議会でした証言は、トランプ大統領の顧問弁護士ジェイ・セクロウ(Jay Sekulow)氏と、大統領の義理の息子ジャレッド・クシュナー氏の顧問弁護士アビー・ローウェル(Abbe Lowell)氏が手を加えたものだったと述べた。ロバート・ミュラー特別検察官は2018年、コーエン氏が議会に対して虚偽の証言をしたとして、同氏を偽証罪で起訴した。
- コーエン被告は、2016年の大統領選で勝つために、トランプ大統領がロシアと手を組んだことはあり得るとの考えを示した。「トランプ氏にとって、勝つことが全て」で「勝つために必要なことならやるだろう」と述べた。
- コーエン被告は、トランプ一家が選挙キャンペーン中、ロシアに「譲歩」した可能性があると述べた。当時、トランプ一家はモスクワにトランプタワーを建設しようとしていたからだ。
- コーエン被告は、トランプ大統領が息子のドナルド・トランプ・ジュニア氏を含む自身の選挙担当者とヒラリー・クリントン候補(当時)の選挙キャンペーンの足を引っ張ろうとするロシアの複数のロビイストが、2016年6月にトランプタワーで会っていたことを事前に知っていたと述べた。被告は2016年6月上旬、トランプ氏と一緒にいた部屋にトランプ・ジュニア氏が入って来て、父親に「ミーティングはうまく行った」と言い、父親が「OK、よかった……また聞かせてくれ」と答えたのを覚えていると語った。
- コーエン被告は、内部告発サイト「ウィキリークス」がクリントン候補の膨大な量のEメールを暴露する計画をトランプ氏が事前に把握していたと述べた。これは2016年の民主党全国大会を数日後に控え、クリントン候補の選挙活動に打撃を与えた。
- コーエン被告は、トランプ・オーガニゼーションの財務責任者を長年務めるアレン・ワイセルバーグ(Allen Weisselberg)氏が大統領選の直前、ポルノ女優のストーミー・ダニエルズさんへの違法な口止め料の支払いに、トランプ氏が直接関与したことを目撃していると述べた。被告は、トランプ氏が「我々にワイセルバーグ氏のオフィスへ行き、これ(ダニエルズさんへの13万ドル)をどうにかしろと指示した」とき、自身とワイセルバーグ氏は2人ともトランプ氏のオフィスにいたという。
- コーエン被告は、ワイセルバーグ氏とトランプ・ジュニア氏が「金融詐欺」で共謀したのではないかとほのめかした。被告は、彼らの行為がニューヨーク州南部地区連邦検事局の捜査対象になっているかどうかについては、コメントを避けた。
[原文:The 8 biggest takeaways from Michael Cohen's blockbuster testimony against Trump]
(翻訳、編集:山口佳美)